【リレー小説】TPパニック 〜 殺し屋達の絆 〜 (924レス)
上下前次1-新
484: 2020/04/14(火)16:31 ID:gIne9Pam(1) AAS
茨木は寿を殺せないわけがあった。
ステゴロの鬼というのは表の顔、
本職は公安警察のスパイ…つまりカタギである。
485: 2020/04/14(火)18:39 ID:WfLo+Mpu(1) AAS
「そいつ俺のこと殴りやがったんだぜェ?」
鬼頭はしつこく絡んだ。
「お前、そいつの知り合いなら極道のお前が代わりに指詰めて詫びするか、お前がそいつ殺すかすんのが筋ってもんじゃねェのか? ア??!!」
茨木は黙った。
鬼頭はさらに続ける。
「っていうかよォ、見てみてェんだわ。イバラキケイっつったら有名な喧嘩師だけどよ、本当に強ェかどうか見たいからよ、そいつ殺せ、な?」
「……小物が!」
茨木は小さく吐き捨てた。
486: 梶井基次郎 2020/04/14(火)23:49 ID:z6uIGusU(1) AAS
得体の知れない恐怖で(^3^)/
487: 2020/04/15(水)03:01 ID:GtD5nFHs(1/23) AAS
ララがキンバリーについてホテルの広い一室に入ると、中にいた6人の男達がこっちを見た。
ヤクザばっかりの部屋になぜ自分がいるのかわからなくなって、ララはキンバリーに小声で言った。
「あの……。あたし、帰ります」
「どこへ?」キンバリーは不思議そうに聞いた。
「……中国へ」
「ダメよ。仕事が済むまでは帰して貰えないわよ」
「いや、帰りたい……」
省2
488: 2020/04/15(水)03:09 ID:GtD5nFHs(2/23) AAS
「やぁ、キンバリーさん」
一番偉そうな、しかし穏やかそうな痩身のヤクザが立ち上がって挨拶をして来た。
兵藤 直樹という名の花山組幹部である。
「兵藤さん、お久しぶりです」
キンバリーは明るく微笑み、日本語で挨拶をした。
「その少女が……例の?」
兵藤はララを一瞥しながら言った。
「ええ。『黒色悪夢』の部下のララちゃん」
「いや……。これは……ちょっと……」
兵藤はララをチラチラと見ながら苦笑した。
省1
489: 2020/04/15(水)03:15 ID:GtD5nFHs(3/23) AAS
「いや、うまいと思うなァ」
ソファーのど真ん中で四肢をいっぱいに広げて寛いでいた男が少し離れたところから言った。
「完璧なカモフラージュだ。こんな可愛い娘がまさか殺し屋の手配者とは誰も思わないよ〜」
それを言うその男も、この部屋には場違いだった。
いかにもヤクザといった高そうなスーツは着ているが、童顔に高い声は、まるで普通の高校生のようだ。
490: 2020/04/15(水)03:19 ID:GtD5nFHs(4/23) AAS
「……この子が?」
キンバリーが兵藤に聞く。
「えぇ」
兵藤は頷いた。
「飛島 優太。最強かつ最凶のヒットマンと呼ばれる男です」
「そうは見えないわね」
「まだ18歳の高校生なんですが、既に48人の同業者を殺しています」
491: 2020/04/15(水)03:22 ID:GtD5nFHs(5/23) AAS
「よろしく! キンバリーさん」
飛島は手を上げ、フレンドリーな笑顔を見せた。
「ところで『黒色悪夢』がしくじったらしいね」
「1人殺ったわ」
キンバリーはそう言って可笑しそうに笑った。
「でも、マルコム・タオには歯が立たずにみっともなく負けたのよ」
ララは日本語がわからないので持たされたジュースを居心地悪そうに飲んでいた。
492: 2020/04/15(水)03:33 ID:GtD5nFHs(6/23) AAS
飛島は飛び上がるように立ち上がると、ララのところへやって来た。
「君、可愛いなぁ。同い年ぐらい?」
ララは答えた。
「ティンブットン、リーワン、ぶはぉいーすぅ(ごめん日本語わからん)」
飛島はそれを聞くとにっこり笑って言った。
「俺さ、俺の世界はさ、喧嘩が5割、あとの5割は性欲で出来てんだよね〜」
「?」
省14
493: 2020/04/15(水)03:40 ID:GtD5nFHs(7/23) AAS
そこへノックの音がし、「失礼します」と言って茨木が入って来た。
飛島が急につまらなそうな顔になって茨木を見る。
「お久しぶりです、兵藤さん」
茨木は膝に手をついて頭を下げ、兵藤に挨拶をした。
「彼の名前はイバラキケイ。最強の喧嘩師だよ。飛島だけではと思い、日本からもう二人呼んだんだ」
兵藤はキンバリーにそう紹介すると、不思議そうに茨木のほうを見た。
「あれ? もう1人は? 鬼頭 洋と一緒に来た筈だろう?」
「すんません、兵藤さん」
茨木は答えた。
「あんまり無礼な奴なんで、食っちまいました」
494: 2020/04/15(水)06:44 ID:eYiojqzZ(1/2) AAS
正しくはパクったのである
495: 2020/04/15(水)07:20 ID:ie8dM0S/(1) AAS
場面はタオ・パイパイの研究室に移る。
「そうか、まさかキンバリーが裏切るとは」
手術台に腰かけたタオ・パイパイが誰かと連絡を取っている。
「うんうん…いや、まだ手を出さなくてもいい。」
496: 2020/04/15(水)09:06 ID:GtD5nFHs(8/23) AAS
タオ・パイパイがなぜそのことを知ったか。
彼は昨夜のマルコムの目に仕掛けたカメラの映像をもう一度観ていたのである。
「これが黒色悪夢か……」
その動きを観察し、ニヤリと笑う。
「なるほどな。奇妙な手品を使う奴じゃ」
そしてふいに気になった。その数時間前、マルコムがどうして黒く変わる前の黒色悪夢と一緒にいたのか。
省3
497: 2020/04/15(水)09:17 ID:QbzczbJp(1/2) AAS
場面は再びホテルへ。
「はぁ、やっとおわった。」
ララはベッドへ大の字にして横たわった。
「メイはまだおきんのか」
相部屋のジャンが尋ねた。
「うん」
498: 2020/04/15(水)10:17 ID:GtD5nFHs(9/23) AAS
ララにはキンバリーの気持ちがわからなかった。
あの部屋には5人の日本人に混じって1人、台湾人もいた。
「陳氏」としかわからないが、ニコニコと笑顔の柔らかな白髪の老人だった。
陳氏はキンバリーとは顔馴染みのようで、親しげに中国語で会話をしていた。
それを横から聞いた限りでは、陳氏は殺し屋を使ってキンバリーの実の妹を殺したらしいのだ。
499: 2020/04/15(水)10:20 ID:GtD5nFHs(10/23) AAS
「ポクを恨んでおるかね、キンバリー?」
陳氏は笑顔を崩さずに言った。
「父親が違うとはいえ、モーリンは君の実の妹だ」
「いいえ、おじさま」
キンバリーはサバサバとした笑顔を返したのだった。
「モーリンも、弟(四男)も、標的リストに入っていますのよ」
500: 2020/04/15(水)10:22 ID:GtD5nFHs(11/23) AAS
実の弟妹を殺すなんて、ララには考えられなかった。
妹のメイファンを殺したいほど憎んだことは、確かに自分にもある。
しかし本当に殺してしまったら、恐らく自分もすぐに後を追うことだろう。
501: 2020/04/15(水)10:25 ID:GtD5nFHs(12/23) AAS
このホテルにいれば安全だ、とキンバリーはララに言ってくれた。
タオ・パイパイが裏切り者の陳氏を血眼で探しているが、見つけられていない。
それがこのホテルの安全性を物語っている、と。
安全なのは嬉しい、いいことだ。
その反面、ララは退屈だった。
ララはベッドに身を投げると、呟いた。
「楽しい旅になるはずだったのにな……」
502: 2020/04/15(水)10:31 ID:GtD5nFHs(13/23) AAS
「あーあ。お外に出たいな」
ララが呟くと、すぐ側で男の声がした。
「へい!」
ビクッとしてララが飛び起きて見ると、いつの間にかベッドの脇の椅子に座り、飛島 優太がニコニコしながらこちらを見つめていた。
「ララちゃん! レッツゴー、アウトサイド、ウィズ・ミー。OK?」
省2
503: 2020/04/15(水)10:40 ID:GtD5nFHs(14/23) AAS
タオ・パイパイにとってキンバリーがどれだけ可愛かったか、他人にはわかるまい。
血の繋がらない自分をパパと呼んでくれ、小さい時から側にずっといてくれ、太陽のように明るい笑顔をいつも見せてくれた。
殺し屋の修行で殺気の籠った目に育った実の子達と違い、キンバリーは愛に溢れた子だった。
マルコムの目に映っていた映像だけでは地獄のタオ・パイパイですら信じられなかった。信じたくなかった。
確定的な証拠がない限りは──
「……こういう時こそ、アイツじゃ」
タオ・パイパイは呟くと、四男の部屋に繋がるインターホンのボタンを押した。
「通称カメレオン・ホンフー(デブ)。同じ部屋にいても相手に気づかれない天性のスパイ。名前は忘れたが四男を使ってキンバリーを探るのじゃ」
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