【リレー小説】TPパニック 〜 殺し屋達の絆 〜 (924レス)
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111: 2020/03/20(金)09:46 ID:X1T2IJ5z(1/8) AAS
「最近」マルコムは父に言った。「仕事の質が変わりましたよね」
「む」タオ・パイパイは少し嫌そうな顔をした。
「依頼元に変化があったのですね」
「それは……」
「もちろん」マルコムは父が何か言おうとするのを遮った。「依頼人のことを知りたいとは思いません。僕らは依頼された仕事をただこなすだけでいい」
「うむ」
「ただ、そのことが兄さん達や妹の快楽殺人鬼ぶりに拍車をかけている」
112: 2020/03/20(金)09:53 ID:X1T2IJ5z(2/8) AAS
「お前にだけは話しておこう」
タオ・パイパイはそう言うと、ソファーに深く座り直した。
「以前は台湾内部の抗争に関わる仕事が主だった。しかし、お前が言う通り、ここ最近、事情が変わって来たのだ」
「大陸と……日本のヤクザですね?」
「何でもお見通しだな、お前は」タオ・パイパイは瞠目し、すぐに目を瞑る。「その通り。今は内部で結束するべき時なのだ」
113: 2020/03/20(金)10:00 ID:X1T2IJ5z(3/8) AAS
「台湾独立運動が本格的に始まったのですね」マルコムは言った。
「しっ!」タオ・パイパイは声をひそめた。「どこに耳があるかわからんぞ」
114: 2020/03/20(金)10:01 ID:X1T2IJ5z(4/8) AAS
「そうなると中国とは戦争です」マルコムは小声で言った。
「あぁ。そのために、今フォルモサ(台湾)に入り込んで来る大陸側の人間及び内部の外省人をふるいにかけておる」
「僕らはまるで裁判官、そして死刑執行人というところか」
「そう言うと聞こえが悪いが、これは必要なことなのだ」
115: 2020/03/20(金)10:08 ID:X1T2IJ5z(5/8) AAS
「そしてそこに日本のヤクザも絡んで来る」マルコムはそう言うと、コーヒーを飲んだ。
「ウム。大陸との取引のある日本のヤクザが全面的協力を申し出た」
「中国人は本当に根回しが得意だな。我々も見習わなければ」
「無理だよ。我々は真面目すぎるくせに面倒臭がりで、しかもそのくせ自分大好きなのだ。統率力では中国に敵うべくもない」
「しかも優しすぎる」
「とにかく」タオ・パイパイは話を戻した。「ワシら一家を日本のヤクザが狙っておる」
116: 2020/03/20(金)10:16 ID:X1T2IJ5z(6/8) AAS
「何となくそんな話ではないかと思ってはいました」マルコムはそう言うと、ソフトキャラメルを一個、口に放り込んだ。
「そんな時に一家が互いの命を狙い合っておる。これではいかん」
「ターゲットが国際的になって来て、みんな自分の凄さを競うように楽しんでますし、ね」
「かと言って台湾独立の話など大っぴらにはできん。襲い来る巨大な敵を相手に家族一丸とならなければならんのに……」
「ええ」
「お前、兄弟のことは好きか?」
マルコムは少し答えにくそうに笑うと、答えた。
「兄さん達のことは尊敬していますよ。妹は可愛い。趣味がいいとはとえも言えないが……」
117: 2020/03/20(金)10:22 ID:X1T2IJ5z(7/8) AAS
「あと姉さんにはいつも世話になっています」マルコムはようやく本心からのことを言えてほっとした。
「あの、えっと、何と言ったっけな、デブの……」
「四男は情けない奴ですが、可愛い奴ですよ」
「そうか」
「そしてキム。キンバリーはオレだけじゃなく、一人除いて兄弟全員から愛されている唯一貴重な存在です」
「それだ」タオ・パイパイは身を乗り出した。「キムの力で兄弟をまとめることは出来ないか?」
118: 2020/03/20(金)10:29 ID:X1T2IJ5z(8/8) AAS
「どうでしょうね」マルコムは面白くなさそうな顔で言った。「少なくとも僕とジェイコブ兄さんは、かえって……」
「わかった」タオ・パイパイは諦めたようにマルコムの言葉を遮った。「とりあえず台湾独立のことは口外するな。それだけだ」
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