[過去ログ] 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?380 (1002レス)
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(1): 警備員[Lv.2][新芽] 2024/10/26(土)18:35 ID:+muTgUYs0(1/15) AAS
八甲田山雪中行軍隊のその後(Lv.1怖/10)に続き、聞いた話でも良いでしょうか?
怖さはLv.3くらいなんですが
71
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:06 ID:+muTgUYs0(2/15) AAS
 これから書く話は、八甲田山雪中行軍遭難資料館のガイドさんから実話として聞きました。当時は「多くの住民が知る話」とのことでした。
 20~30年ほど前にテレビの再現映像でも観ましたが、聞いた話とは異なる点がありましたので書き残したいと思います。

『銅像茶屋』
72
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:06 ID:+muTgUYs0(3/15) AAS
>>71
続き

■賑わう西側

 通常、八甲田山や奥入瀬渓流と十和田湖を訪れる時には、むつ湾に面する青森市から八甲田山の【西側】を通る「八甲田・十和田ゴールドライン」を使う。
 積雪深(せきせつしん)が5mを超えることもある酸ヶ湯温泉旅館までは、JRの路線バスが通年運行している。

 途中にはJRバスや観光バスの休憩所として賑わう「萱野高原」(かやの こうげん)があり、3軒ある土産店の前には「1杯飲めば3年生きる、2杯飲めば6年生きる、3杯飲めば『死ぬまで生きる』」と洒落た効能を掲げた通称「長生きのお茶」が無料で提供されている。観光客のほか、県民の憩いの場ともなっており、春から秋までは移ろいゆく風景の中で子どもたちの楽しげな声が響いている。
73
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:07 ID:+muTgUYs0(4/15) AAS
>>72
続き

■寂れる東側

 一方、青森市の市街地から八甲田山の【東側】を進むと、青森市幸畑に「八甲田山雪中行軍遭難資料館」があり、そこから南側にある田代平湿原へ向かう途中に「銅像茶屋」という休憩所がある。
 昔から土産店が2軒あり、昔、青函連絡船への搭乗時刻を待つ人々の身体を温めるために発案されたという「生姜みそおでん」やソフトクリームも提供していた。令和の現在では、冬期は数メートルの積雪で閉ざされる場所であるためか、建物の老朽化が進み、1軒は閉店しており、すっかり寂れてしまっている。
 店の前には普通乗用車が20台ほど駐められる駐車場があり、男性用には1つ、女性用には2つ個室がある小さな公衆トイレも建っている。

 店と公衆トイレの間にある階段を登った小高い丘の頂上には「歩兵第五連隊第二大隊遭難記念碑(八甲田山雪中行軍遭難・後藤伍長銅像)」、通称「後藤伍長像」が建っている。単身、雪の中に仮シ状態で佇み立っていたことで、救援隊に雪中行軍隊の遭難と概ねの方向を知らせることとなり、英雄と称えられた後藤房之助伍長の銅像である。伍長は奇跡の生還を果たし、晩年は地元の宮城県で議員を務められた。
74
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:09 ID:+muTgUYs0(5/15) AAS
>>73
続き

 青緑色の姿となった銅像は台座を含めて高さが約7mあり、銃剣を支えに堂々と立つ姿の下にある台座には、遭難シ亡者の氏名が記されており、訪れる人たちが悼んでいる。幸畑にある資料館に隣接する陸軍墓地とともに雪中行軍遭難事件の慰霊の象徴となっているが、北八甲田山中の深い谷と山々を望むことができることもあり、知る人ぞ知る観光スポットとなっている。

 銅像茶屋前には東側と西側のルートをつなぐ道路があり、東西のルートを俯瞰してみると8の字のようになっていることから、ゴールドラインは別名「エイトライン」とも呼ばれる。しかし、東側ルートの道路は幅が狭く急なカーブが多いためか通る車が少なく、夕闇が訪れる頃にはほぼ誰も通らなくなる。

 山中の道路に街路灯は無く、銅像茶屋にある土産店の灯りも消えるため、日が落ちると駐車場の隅にある自動販売機の光が照らすだけとなる。今と違って照明はLEDではなく、当時の技術の中でできるだけ消費電力を抑えるために小さな蛍光灯が光を発しているだけであるため、現代の街と比較すると驚くほど弱々しい。それは山の中腹にある広い休憩所では、いかにも心許ない明かりなのだが、むしろそれを楽しんでいる若い男女もいた。
75
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:10 ID:+muTgUYs0(6/15) AAS
>>74
続き

■夜のドライブ

 昭和50年代の夏のことだ。ある一組の男女が夜のドライブを楽しんでいた。タイヤを哭かせながら山みちを上り西側の萱野高原に立ち寄ったが、土産店は3軒とも閉まっており、長生きのお茶が入ったヤカンも仕舞われていて何も無かった。
 そこで彼は、雪中行軍の霊が出ると噂されていた後藤伍長像を見に行くことにした。彼女は早く街の明かりの中に戻り遊びたかったが、肝試しのつもりで了承した。

 萱野高原を南へ2,3km走り8の字の途中を横断して、後藤伍長像がある銅像茶屋に着いた。車のヘッドライトを消灯すると、辺りを照らすのは古びた自動販売機の光だけだ。その明かりは黄色味を帯びていて明滅を繰り返している。明らかに弱った状態のまま放置されている蛍光灯だけが照らす駐車場は、自動販売機から10mほど離れるとほのかに暗く、端は黒闇と言って良いほどだった。
76
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:11 ID:+muTgUYs0(7/15) AAS
>>75
続き

■トイレ

 彼女がトイレに行きたいというので、彼はヘッドライトを灯し、車の前方を公衆トイレに向けて照らした。笑みを浮かべながら一緒に行こうか?などと言う彼に対し彼女は車の中で済ませても良いのよと返した。彼はトイレでお願いしますとふざけた。

 彼女は車のヘッドライトに照らされたトイレに向かって15mほど歩き、個室へと入っていったようだ。
 山中ということもあり、カーラジオに雑音が入りだし、やがてほとんど聴き取れなくなった。受信周波数を変えてみるが、ザーッジーッと意味のない音しか聞こえてこない。
 チッ、仕方ねぇなぁと思って前を見ると、白っぽい人がトイレに向かって歩いていくのが見えた。深夜、山中で、夜間に通行する人はほとんどいない東側の道の途中にある休憩所。周囲を見回しても闇の中に他の車は見つけられない。
77
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:11 ID:+muTgUYs0(8/15) AAS
AA省
78
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:12 ID:+muTgUYs0(9/15) AAS
>>77
続き

■救助

 銅像茶屋から街までは、急いでもおよそ20分はかかる。
 幸畑でようやく見つけた公衆電話から仲間に連絡し「とにかく幸畑まで来て」もらった。呼んだ数人の内3人が来てくれた時点で彼はあのトイレへと向かった。
 おおよその話は車中でしたのだが3人は信じてはくれなかった。それでも、彼女一人が山中の闇夜に残されているという異常事態は理解してくれた。

 銅像茶屋に着いた時、あれから1時間以上が経過していた。トイレをヘッドライトで照らすが、誰も居ないし異常は見て取れない。ダッシュボードの収納スペースにしまってあった懐中電灯を点け、4人はトイレへ向かった。

 彼が先頭に立ち、女性用トイレの中にある閉じた個室の扉をなんとか蹴破ると、彼は震えだしてしまった。ほかの3人は、どうしたんだよ?と彼の脇から個室の中を覗くと、そこには個室の壁にもたれながら座り込み、斜め上を向いて薄笑いを浮かべる彼女が居た。しばらく、4人全員が茫然自失のまま立ち尽くした。
79
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:13 ID:+muTgUYs0(10/15) AAS
>>78
続き

■2人

 彼女は4人に助け出されたあと救急病院に搬送された。数日の検査入院のあと、結局は○○病院という精神科の閉鎖病棟に入院した。(トイレ内の彼女は白髪になっていたという話も聞くそうだが、実際にはそれはなかったようだ)

 彼は、彼女が精神病院に入院する前に消息を絶った。周りは逃げたのだろうとか、彼女の仇討ちに亡霊のところへ行ったのではないかとか、さまざまな憶測を交わしていたが、彼の消息はまったくつかめなかった。
80
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:14 ID:+muTgUYs0(11/15) AAS
>>79
続き

■テレビ

 それから数十年以上(30年くらい)たってからこの話がテレビの特別番組で再現されていた。兵隊の亡霊が車を取り囲んでゆっさゆっさと揺らしたなどという描写があったが、それは脚色だろう。

 ただ、その番組で興味深かったのは、テレビスタッフがトイレや後藤伍長像の前後左右などに固定カメラを設置し、三夜撮影した映像である。2日目までは何も映っていなかったが、最終日(3日目)の夜の映像には、はっきりと白い靄のような透けた人の形の列が映っていた。それらは後藤伍長像に向かって登る階段の右手、トイレの斜め上の後方に向かって歩いていた。

 昔のテレビの心霊特別番組である。今となってはその映像も見つけられない。検証されてもいないから真偽は定かではない。それでも、もし彼らの通り道に不浄な施設を建ててしまったのなら、詫びながら冥福を祈るばかりである。
81: 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:17 ID:+muTgUYs0(12/15) AAS
>>80
最後

※終わりに

 消息を絶った彼の視点の話の割には、ずいぶん具体的な気がしました。それは彼女の救出に向かった友人たちと家族や病院関係者などが、不明な点を補い埋めながら語り継がれた結果だと思われます。

 雪中行軍遭難事件に関する場所に限らず、心霊スポットにいるものははじめから悪いものだったわけではなかったのかもしれません。しかし、ただ佇んで居る場所すらも見知らぬ人々の騒々しさで壊されるのでは、憎悪が生まれるのも仕方ないのかもしれません。
 心霊スポットはレジャースポットとは違うことを肝に銘じておきたいものです。

(終わり)
83
(1): 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:21 ID:+muTgUYs0(13/15) AAS
長文駄文たいへん失礼しました
ほかに実体験が10話ほどあるのですが怖い!という実話はなかなか無いので聞いた話を書きました
逆に彼女視点を想像して読んでいただければ幸いです

お気に召されなかったらすみません
85: 警備員[Lv.5][新芽] 2024/10/26(土)21:27 ID:+muTgUYs0(14/15) AAS
>>82
同意です

結果としてカップルは不幸な結果になったのですが、英霊は若者を怖がらせよう(追い払おう)としたのか、それとも純粋に興味があって集まったのか、それはわかりません

いずれにしても曰くがある場所を訪れる際は、慰霊と畏敬の気持ちを持つべきという教訓として私は受け取りました
87
(1): 警備員[Lv.6][新芽] 2024/10/26(土)21:53 ID:+muTgUYs0(15/15) AAS
>>86
久しく過疎&荒れ気味だった「洒落怖」がエログロヒトコワなどではなくオカルト分野の怖い話で盛り上がることを願っています
守ってきた皆様のために
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