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大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 (542レス)
大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/
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399: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [sage] 2014/07/06(日) 12:56:44.46 ID:XQ+2+4mO0.net 400 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/399
400: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/07/13(日) 00:46:23.97 ID:OhTbmveZ0.net http://userimg.teacup.com/userimg/9211.teacup.com/kokou/img/bbs/0002513.jpg http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/400
401: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/08/16(土) 23:34:10.68 ID:DVRK04iR0.net 月の影 ディアナ(月)同盟軍は、宇宙機動艦隊を主力として、艦隊を横に並べて防衛線を張った。地球方向からは、無数の星のように光る地球連邦軍の大艦隊が接近してくる。 ディアナ軍旗艦の宇宙戦艦「ライファー」の同盟軍総司令官・バルバス提督の司令室に、敵から画像通信が入った。通信員がバルバスに報告する。 「提督、連邦軍から交信です」 「出せ」 すると、正面のスクリーンに、一人の男が映し出される。地球連邦軍総統・イクナシオンであった。バルバスは見上げて感嘆した。 「ああ、きさまか・・・」 相手も軍艦の司令室に居るらしい。宇宙服ではなく、軍服を着ている。無数の勲章が胸に輝いていた。 「バルバス、無駄な抵抗は避けよ。勝敗は目に見えている。俺は月の人間の血を流したくないのだ。 なぜ、降伏しない?ただ俺を総統として迎え入れれば、自由と平和が約束されるのだ。まだ間に合う。 いま、おまえが一言、全軍に停戦を命令すれば、誰も死なずに済むのだ。さあ、停戦命令を出せ」 バルバスは、右の拳を握り締めた。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/401
402: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/08/16(土) 23:42:39.42 ID:3T4xfdkq0.net デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね デブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ねデブ豚死ね http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/402
403: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/08/17(日) 02:14:33.20 ID:idEaQTKA0.net 「地球は独裁制で、おまえが考えた事はすべての人間が命令に従がうが、月は議会制である。私はただの将軍であって、独裁者ではない。 地球が攻めてくるならば、抗戦する事を、月の全ての国家が決定したのだ」 イクナシオンは、笑った。 「ならばバルバス、今停戦を発令すれば、その場で、私はおまえをディアナ軍総司令官に任命する。月の軍隊は、おまえのものだ。 悪い話ではあるまい。考えてもみよ。我が軍の艦隊は三八六隻、宇宙戦闘機は四八〇〇機、・・・おまえの軍は、いったいどれだけなのだ?」 バルバスはスクリーンを睨みつけた。 「私は嘘は嫌いだ。艦隊はおまえの十分の一以下、戦闘機も二十分の一だ」 「フフフ・・・バルバス、やめておけ。物理的に計算しても、我が軍が四十隻失っても、おまえは全滅する」 バルバスは、「フッ」と、苦笑した。 「そうだな・・・おまえの言う通りだ・・・」 「おお、バルバス、同朋よ、理解してくれたか。では、停戦命令を出せ」 「分かった・・・」 バルバスは、立ち上がった。大声で怒鳴る。 「この通信の発信源を突き止めたか?」 司令室の部下に聞いた。 「発見しました!」 「よし、宇宙潜水艦隊に攻撃命令!」 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/403
404: あぼーん [あぼーん] あぼーん あぼーん http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/404
405: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/08/17(日) 12:18:21.33 ID:idEaQTKA0.net 聞いていたイクナシオンは、 「きさまあ!俺を騙したな!」 「男は針の穴のチャンスに賭けるのだ!」 バルバスが喚くと同時に、地球軍艦隊の後方で、突然、数隻の潜水艦が姿を現した。 「総統、敵の潜水艦です!」 イクナシオンの司令室が騒ぎ始める。振り向きざま、通信を切った。それと同時に、数十発の魚雷が旗艦に向かって飛んできた。 「しまった!」 一発が旗艦の戦艦に命中する。 ディアナ軍のバルバスの旗艦では、「敵の旗艦に命中!」と、報告があった。 「よし、戦闘機、全機発艦!空母を叩け!」 地球軍艦隊の中央後方で大きな爆発が起こり、明らかに全軍が動揺しているのが分った。 「駆逐艦は突進しろ!戦艦・巡洋艦は、ミサイル発射!」 バルバスの怒号が司令室に響く。 地球軍の後方に現われた潜水艦隊は、魚雷を撃つと姿を消し、また現われては魚雷を撃つ、という攻撃を繰り返した。 とにかくイクナシオンの旗艦が被弾して、命令が全軍に伝わらないので、動きようがない。 ディアナ軍は、次に空母を集中して狙った。戦闘機が発進できないまま、次々に被弾する。 イクナシオンはようやく、旗艦から小型船で脱出して、 「全軍、反転帰投せよ!」 と、撤退命令を出した。地球軍の大艦隊が、全軍、反転を始めた。 バルバスは大声を張り上げる。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/405
406: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/08/24(日) 01:24:12.55 ID:usCpQtSH0.net 「深追いするな!イオン砲の届くところまでにしろ!艦隊は動くな!哨戒機、敵の被害状況を調べて報告せよ!」 数百の煙を吐きながら、地球連邦軍艦隊は、地球へ向かって帰投をしていく。 やがて、哨戒機の部隊から連絡が入った。それを印刷して手に取り、バルバスは読み上げた。 「旗艦戦艦中破、空母二隻撃沈・八隻大破、十三隻被弾、戦艦七隻大破・・・」 読み上げると、 「よし、戦闘機を帰艦させよ。月に帰投する!」 のちに「第一次宇宙海戦」と呼ばれた戦闘は、ディアナ軍の圧勝で終った。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/406
407: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/10/06(月) 00:58:20.46 ID:HPfkqg020.net 月の空軍基地の門で、エミリは待っていた。手には携帯電話を持っていた。そのメールをまた見てみた。 「数日間の休暇が出た。十三月三日、基地の門で待っていてくれ」 それを見て、また、「うふふ」と、一人で笑う。 やがて、基地から軍人たちが、ぞろぞろと出てきた。エミリは集団の中を探した。 「おい、おい・・・」 手を振って走り寄ってきたのは、「中尉」の階級章を付けた若者だった。 「ウルコフ!」 叫ぶと、相手の男に飛び上がって抱きついた。 「やっと休暇が取れた。何か食べに行こう!」 ウルコフが誘う。駐車場に行き、自動車に乗って、エンジンをかけると、車体が少し浮いて、車輪が格納された。車は発進する。レストランに行った。二人で入る。 食事を注文すると、エミリは、ウルコフの顔ばかり眺めていた。そして、 「月でみんなが噂してるよ。バルバス将軍がイクナシオンを破ったって」 嬉しそうに話す。 「ああ、だから休暇が出た。当分、月に攻撃をかけてくる様子はないから、今のうちに休んでおけ、と、将軍の命令だよ」 「へえ、イクナシオンは死んだの?」 「とんでもない。あの怪物が簡単に死ぬか」 「じゃあ、まだ戦争は続くの?」 「ああ、今、参謀本部は作戦を立てている。軍事機密だから詳しくは言えないが、まだ思案している最中のようだ」 「休暇はいつまで?」 「一応、三日だけど、いつ収集がかかるかは、分らない。何せ、イクナシオンが、月も支配しようと挑んできているからなあ」 エミリは運ばれてきたスパゲティを食べながら、 「あなたは、宇宙戦闘機パイロットでしょ?敵の軍艦をやっつけたの?」 ウルコフはウナギ丼を食べながら、 「俺は爆撃が専門じゃない。爆撃機の護衛が専門だから、船は攻撃しないよ」 「ふーん」 と、じっと見つめてから、 「死なないでね」 と言った。ウルコフは、 「それは、保証できないな。イクナシオンは、一人で地球を統一した英雄だ。それと闘っているんだからな」 「そんなに強いの?」 「強いってもんじゃない。今度襲ってきたら、負けるかも・・・」 「負けたらどうなるの?」 「イクナシオンを神として崇めて、娯楽は禁止され、毎日6回の礼拝をさせられ、美人はみんな、イクナシオンの妾にされる」 「ヒャッ」 奇妙な声を、エミリが張り上げた。ウルコフは「あははは」と笑い、 「大丈夫、おまえは取られないよ」 「どういう意味だ」 エミリは少し、不機嫌になった。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/407
408: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/10/27(月) 23:09:54.77 ID:jo0KnOGa0.net エミリを家まで送ると、ウルコフは自宅に戻った。母・マチアが待っていた。 「やあ、母さん、数日だけ戻れたよ」 母は嬉しそうに、 「ますます父さんに似てきたよ。さあ、入りな」 ウルコフは靴を脱いで入った。そして仏壇に行って、父の位牌に手を合わせた。軍服姿の写真が飾ってあった。 「食事にするかい」 台所から母が声をかけた。 「ああ」 二人で、食卓についた。母が食事を用意して、一緒に食べ始めた。母が話しかける。 「前の戦争に、出てたんだろ」 「ああ」 「やっぱり最前線かい」 「もちろんさ。戦闘機乗りだからな」 「・・・」 母は少し黙ってから、 「父さんも立派なパイロットだったけど、・・・エミリちゃんを悲しませてはいけないよ」 「でも母さん・・・」 箸で新香を摘まむと、 「俺は軍人なんだぜ。しかも今度の敵は、月の国じゃない。地球なんだ。宇宙戦争なんだよ。どうなるか分ったもんじゃない」 マチアは暗い表情で、 「息子はおまえだけだ。もし死んだら、私はどうすりゃいいんだ」 「・・・」 それには、答えられなかった。 「無茶はしないさ・・・」 そう、言い訳をするのが精一杯だった。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/408
409: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/11/06(木) 00:27:08.47 ID:v1MvVrGs0.net その頃、ディアナ連合軍・作戦会議室。 バルバス提督を中心に、ディアナ軍の軍幹部が集まっていた。テーブルには、地球の首都・ニューヨークの画面が映っていた。参謀の一人が指揮棒で説明する。 「特殊部隊に偵察させたところ、このような物体が造られていました」 バルバスが聞く。 「なんだこのピラミッドのようなものは?」 「はい。エネルギーレベルを計測させたところ、我々の使用している液化水素燃料の一億倍以上のレベルを計測しました」 「一億・・・なら、核融合だな。やつらは開発に成功したのか」 「そうらしいのです。ここから、プラズマを放出して、すべての兵器の動力源としているところまで、突き止めました」 「そうか・・・では、これを破壊すれば、敵は動力源を失う訳だ」 「もちろん、予備として液化水素は持っているでしょうが、核融合を武器にした兵器は使用できなくなります」 「核兵器だと?もう開発しているのか?」 「いいえ、まだです。しかし、このピラミッドを破壊せねば、月を丸ごと消滅させる核兵器を開発してしまいます」 「急がねばならんな・・・どうやって破壊するか・・・」 他の参謀が意見した。 「この建物の耐久性はどうなのだ?」 「はい、それこそ水爆にも耐えられます。イオン砲など、何の役にも立ちません」 バルバスは、腕組みして手で顎を弄った。 「この穴は何だ?」 「これですか、排気孔です。核融合の排気を行なっている穴です」 「うーむ・・・ここに、ミサイルを撃ち込んだらどうだ?」 「穴の直径は、わずか十メートルです。しかも長さは核融合炉まで、数キロメートルあります」 「まっすぐなのか?」 「ええ、超高温の排気熱を放出させますから、曲がっていては、排気通路が溶解しますから、まっすぐです・・・何か知恵でも?」 バルバスは考え込んで、 「排気通路の構造など、それほど耐久性は無いだろう?」 「ええ、それが何か・・・」 「なら、方法があるかも知れん」 皆は、顔を見回した。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/409
410: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/11/14(金) 23:12:47.35 ID:C37R+rh00.net ウルコフは翌日は、朝からエミリとディズニーランドに行った。エミリは思いっきりはしゃいでいた。 ベンチに座ると、 「ねえ、私たち、そろそろ結婚しない?」 ウルコフは驚いて、 「軽いノリだな。そんな大事な事を・・・」 「あら?それとも他に誰かさんがいらっしゃるのかしら??」 顔を覗き込んできた。ウルコフは顔を背けて、 「いねえよ・・・」 そう答えると、エミリは、 「じゃあ、迷うのは、なぜかしら??」 更に突っ込んできた。その時、ウルコフの携帯電話が鳴った。 「はい・・・私です。・・・分りました」 電話を切ると、 「すまん。一旦、基地に戻れとの命令だ。すぐにまた出られるそうだから、待っててくれ」 エミリはプーと、頬を膨らませた。 「ちぇ、いいとこだったのに・・・」 ウルコフはエミリを家まで送ると、基地に戻った。 基地では、戦闘機のパイロットが三十人ほど集められていた。見たところ、部隊はばらばらで、知らない兵士ばかりである。待っていると、バルバス提督と、参謀本部の数人が部屋に入ってきた。最前列中央の大尉が、号令した。 「起立!」 「敬礼!」 皆が敬礼すると、バルバスも敬礼した。 「休め!」 皆が着席する。バルバスは、重く口を開いた。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/410
411: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/12/02(火) 22:12:14.79 ID:KTH143560.net 「諸君、休暇中にご苦労。地球を攻撃する作戦が決まった」 皆は緊張して聞いている。 「ここに集められたのは、我がディアナ軍の宇宙戦闘機パイロットでも、最も優秀な兵士だ。誇りを持て。そして、簡潔に話すが、今度の作戦で、必ず戦死する任務に就くパイロットが、必要になった。人数は、三十人だ。いいか・・・」 皆は提督を凝視した。 「必ず戦死する。従って、この任務は、志願者だけにする。一日だけ考える時間を与える。志願するものは、明後日、午後十三時、再びこの部屋に集まれ。 そして、もうその者は、二度と家に帰る事は無い。これは命令ではない。志願である。志願した者だけに、作戦を伝える。そして、すぐに、任務に就いてもらう。 家族と別れ、遺書を書き、思い残す事のないようにしてから、ここに戻ってこい。なお、これは極秘であるから、志願しなくとも、記録として残らない。まったくの諸君らの自由意志である。以上」 「起立!」 「敬礼!」 「解散!」 号令が終ると、皆は部屋を出て行った。ウルコフは、突然、雷に打たれたような衝撃を受けていた。 ウルコフは、まず自宅に戻った。自分の部屋に閉じ篭って、思案する。 (必ず戦死する任務・・・) ディアナ最高のパイロットの称号と引き換えに、自分の命を投げ出せ、という意味だ。 (どうする・・・) 母が部屋の外から、「ウルコフ、エミリちゃんが来たよ」と、声をかけた。「ああ」と、部屋を出て行く。 エミリと、車に乗った。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/411
412: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/12/21(日) 03:52:26.39 ID:esiAHA3c0.net 「どこに行きたい?」 神妙な顔で聞く。 「どこでも」 ウルコフは、 「一番、行きたいところは、どこだ?」 と、念を押した。 「何よ・・・変な奴・・・じゃ、海!」 「よし」 車を発進させて、海岸に向かった。砂浜で、並んで座った。空には、青い地球が浮かんでいた。それを見上げながら、 「エミリ・・・」 「なによ・・・あんた、おかしいよ。基地で何を言われたの?」 しばらく黙ってから、ウルコフは、 「・・・おまえには、嘘はつけない。でも、母には、本当の事を言わないで欲しい」 「・・・はあ?」 怪訝な顔をする。 「何が言いたいのよ?」 「エミリ・・・母には、俺は戦闘で戦死したと、伝えておいてくれ」 エミリは、じっと、黙って目を見つめていた。 「・・・死ぬの?」 「ああ・・・必ず・・・」 「そんな命令、あり?」 「いいや、断われば、降りられる」 「じゃ、降りて」 「それは、できない」 「どうして?」 「志願するからだ」 「だから、志願しないで」 「それは、できない」 「どうして?」 「・・・分らない」 エミリは、抱きついてきた。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/412
413: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/12/24(水) 21:22:12.81 ID:pybFwX7G0.net 「行かないで・・・」 ウルコフは、泣き出した。 「分らない・・・でも、それが俺の運命のような気がする」 エミリも、泣き出した。 「自分から死を選ぶのが、なぜ運命なの?」 「理屈じゃない」 「私は・・・許さないからね!」 立ち上がった。エミリは、車の方に歩いていく。ウルコフも立ち上がって、追いかけた。 「エミリ!おまえを愛している。だから、真実を話している。でも、母にだけは、志願したとは、言って欲しくない。頼む!」 両手でエミリの肩を掴んだ。 「離してよ!」 エミリは払いのける。二人は、黙って車に乗り、エミリの家まで送り、ウルコフは、家に帰った。 夕食が出来ていた。母と食事する。ウルコフが明るく話し掛けた。 「母さん、いよいよ、地球との決戦が近いうちにある。何人死ぬか分らない。覚悟しておいてくれないか?」 母は息子の顔を見て、 「おまえが死ぬ事なんて、考えたくもないよ。どうして軍隊になんか、入ったんだい」 「今さら何を・・・父さんに憧れたからじゃないか」 「私はいいよ。一人でも生きていけるから。でも、エミリちゃんは、どうするんだい?」 「ははは・・・心配ないよ。俺は死なないって!」 精一杯、明るく振舞った。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/413
414: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2014/12/29(月) 20:19:41.84 ID:vv771Dj80.net その夜は、眠れなかった。しかし、遺書は、書かなかった。 翌朝、またエミリが家までやってきた。 ウルコフは支度すると、 「じゃ、母さん、デートしてくる」 明るく笑って、出かけた。 エミリは、 「教会に行きたい」 と、言った。 「分った」 車を走らせ、町の教会に入った。エミリは、 「結婚式の真似だけでもしたい」 と、わがままを言った。ウルコフは、 「分った」 というと、神父に会いに行って、事情を話して、真似事をしてもらうことにした。 新婦は、教会にあったヴェールだけを頭に被った。二人が神父の前に立つ。 神父は「聖書」を持って、問いかけた。 「ウルコフよ、汝、健やかなるときも、病むときも、これを愛し、永久に妻とする事を誓うか?」 「はい。誓います」 「エミリよ、汝、健やかなるときも病むときも、これを愛し、妻となり、その魂を夫に委ねる事を誓うか?」 「はい、誓います」 「では、誓いのキスを・・・」 ウルコフは、そっとヴェールを上げて、エミリに口づけした。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/414
415: 悲痛痔 [] 2015/01/04(日) 19:22:24.42 ID:3ex4rwON0.net 前からおんぶ http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/415
416: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2015/01/05(月) 02:39:42.97 ID:1v20ia7W0.net 家に帰ると、ウルコフは、マチアに、「母さん、明日の朝は、おはぎとしるこにしてくれ」と頼んで、その夜はぐっすり眠った。 朝起きると、おはぎとしるこが作ってあった。 「うまい、うまい」 バクバク食べる。 母は微笑んでいた。 「じゃあ、今度はいつ帰れるか、分らない」と、車に乗り込んだ。 母は見送って、「いつでも戻ってきな」と、手を振った。 「ああ」 それが、最後の母への言葉だった。 運転しながら、胸ポケットから、写真を取り出した。 それは、母・マチアの写真だった。 ウルコフは、基地のあの部屋に戻った。 人数を数えると、三十人、戻っていた。 全員だった。 待っていると、バルバス提督たちが入ってくる。 「起立!」 「敬礼!」 「休め!」 バルバスは、人数を数えると、 「済まない・・・どうしても、この作戦しか、思い浮かばなかった。今から、作戦を説明する。作戦室に入れ」 全員を、作戦室に集めた。 指揮棒で、テーブルの地図を指しながら、説明してゆく。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/416
417: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2015/01/11(日) 01:14:37.99 ID:rx3BUvTF0.net 「このピラミッドは、核融合原子炉だ。エネルギーレベルは、液化水素の数億倍ある。もしこのエネルギーで兵器を造られたら、月を丸ごと破壊するほどの核兵器が出来てしまう。 また、この原子炉を破壊すれば、敵の兵器のすべての動力源を止める事ができる。そこで、破壊する方法だが・・・」 皆を見回してから、 「ピラミッドの四辺に、四つの排気孔がある。直径は十メートル、長さは数キロメートルで、直線である。ここに、正確な角度で、しかもブレが無い方法で、ミサイルを撃ち込むしかない。 しかし、ミサイルは必ずブレを生じる。たとえ穴に命中させても、数キロの通路を飛んでいるうちに、摩擦で爆発してしまう。そこで、・・・」 と、また、皆を見渡してから、 「一つの方法を考えた。宇宙戦闘機・デリアスなら、胴体直径は宇宙戦闘機の中で最も細い。即ち、爆弾を胴体の内部に詰め込み、機体ごと、排気孔に突入させる。 マッハ以上で、正確な角度で突入すれば、翼が吹き飛んで、胴体だけ原子炉まで、一気に滑り落ちる。分るか?脱出する方法は、無い」 パイロットの一人が質問した。 「胴体が原子炉に当たれば、原子炉は爆発するのですか?」 これには、参謀が答えた。 「爆発する。核融合爆発を起こす。地球全体が振動するほど、凄まじい爆発になる」 バルバスが続けた。 「核融合エネルギーが停止すれば、戦力は互角に成る。あとは、宇宙艦隊の決戦で、勝てばよい」 パイロットたちは、腕を組んでいた。 「どうだ?やれるな、おまえらなら。三十人居れば、一機は、突入できるだろう」 皆は、提督を見た。誰も返事はできなかった。 「三十機が限界だ。宇宙艦隊の決戦のため、これ以上は使えない」 一人が黙って提督に「敬礼」をすると、全員が「敬礼」をした。バルバスが「敬礼」を返す。 「頼んだぞ。月の運命がかかっている」 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/417
418: オレオレ!俺だよ!名無しだよ! [] 2015/01/21(水) 22:47:57.43 ID:xW7KkPYa0.net 十三月下旬、ディアナ始まって以来の、戦争が開始されようとしていた。地球軍も、先の第一次宇宙海戦での損害を立て直して、真っ向から挑んできた。 ディアナ軍旗艦「ライファー」の艦橋では、突撃隊の「別れの水杯」が、行なわれていた。隊員たちは、自分たちの部隊を、「カミカゼ」と呼んでいた。 三十名の隊員は、横一列に並んで、一人ずつ、バルバス提督の杯を受け取って飲み干した。バルバスは、 「この決戦の勝敗は、諸君の成功如何にかかっている。頼むぞ!」 と、訓示した。全員、「敬礼」をすると、小型船に乗り移り、空母に向かった。バルバスは、司令室に入る。 「カミカゼが発進し次第、総攻撃を開始する!」 全軍に通達した。カミカゼ隊は、空母に移動すると、赤く塗られた機体の「デリアス」に、各々搭乗した。その中にウルコフも居た。彼は「十三号機」であった。ヘルメットから、交信が聞こえる。 「一号機、発進準備よし」 「二号機、準備よし」 「三号機、準備よし」 次々に報告する。十二号機の声が聞こえると、次はウルコフだった。 「十三号機、発進準備よし!」 士気は旺盛だった。三十号機まで報告すると、管制塔から、 「カミカゼ、全機発艦せよ!」 指示が下った。一号機から発進していく。 十二機が発進すると、ウルコフは、艦橋に向かって、「敬礼」をした。 「十三号、発艦する」 スロットルを全開する。機体は急発進して、空母を飛び立った。 http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/antispam/1202973125/418
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