[過去ログ] 大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 (542レス)
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430: 2015/03/29(日)01:15 ID:NEbY6Rza0.net(1) AAS
「これが、おまえの搭乗機だ。尾翼に「K384」と書いてある。覚えておけ。
「は、はい!」
「どうだ。飛んでみるか?」
「い、いいのでありますか?」
「もちろんだ。俺に付いて来い。さあ、着替えてこい」
「はははい!」
小躍りして、兵舎に駆け込んで、飛行服に着替えた。部屋に居た誰かが、
「何を慌てている? 空襲か?」
浩作は、
「飛行機を与えられました。今から初めて飛びます!」答えた。
「はっはっは。そりゃよかったな!」
浩作は、すぐに自分の愛機に向かった。整備兵が整備している。長谷川小隊長が待っていた。
「さあ、乗れ」
浩作は、梯子を伝って、コックピットに乗り込んだ。小隊長が翼に乗って、指示してくる。
「基本操作は知っているな?」
「はい! これが、操縦桿、これがスロットル、これがフットバー・・・」と、自分で説明する。
「零戦は練習機の赤とんぼとは違う。速度も旋回能力も桁違いだ。
いいか、これが、機首の7カンマ7ミリ機銃のスイッチ、操縦桿のノブのボタンが、機翼の20ミリ機関砲だ。
機銃は、撃ち続けると、数分で弾が切れる。撃つ時は、タタン、タタン、と、数発づつ撃て」
「は、はい」
「今、小川さんが空砲を入れてくれている。この機を担当する整備兵だ。挨拶しろ」
見ると、機体の下で、その人が弾丸を込めていた。浩作は大声で、
「小川さん! 小宮山二飛曹です! これからよろしくお願いします!!」敬礼する。
小川さんは、ニコ、と笑って、
「頑張れよ。にいちゃん」
敬礼を返した。小隊長は、「おい」と、下に居た「一飛曹」の飛行兵を呼ぶ。
「はっ」と、その人も翼に乗ってきた。
「二番機の斎藤一飛曹だ。今から、三機で練習だ」
「よろしく。斎藤一飛曹だ」
浩作は「敬礼」して、
「よろしくお願いします! 小宮山二飛曹であります!」
「元気がいいですな」
長谷川と斎藤が笑った。
「よし、飛ぶぞ。とにかく、俺たちに付いて、同じ飛び方をしろ。俺たちはくっついて飛ぶが、おまえは馴れるまで、二十メートル離れて飛べ。衝突されたら叶わんからな」
「はい! 分りました!」
「よし、エンジン点火!」
「エンジン点火!」
復唱し、スイッチを回す。キュルルル・・・と、三つのプロペラが回り始めた。ポン、と、浩作の頭を叩くと、長谷川と斎藤は、下へ降りた。それぞれの愛機に乗り込む。浩作は、興奮して、体が震えてきた。
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