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男性看護師の病棟師長だけど質問ある? 2 (962レス)
男性看護師の病棟師長だけど質問ある? 2 http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/bio/1460669266/
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116: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2016/04/25(月) 08:10:59.99 .net 看護あるいはケアは、医の専門知の現実化です。キュアだって医の専門知の現実化です。 そして、医の専門知が現実化する場所は、池川が言う「行為」、「身体の動き」です。 そういう意味で、あえて言うと、「看護やケアに心はない」のです。 今言ったことを確認するために、図像テキストを見ましょう。 『おたんこナース』の一場面です(第4巻、小学館、p.154ff.)。 くわしいストーリーは省略しますが、看護婦である似鳥ユキエが、お見合い相手を介抱する場面です。 残念ながら場所は病院ではなくてバーですが、この点は今の文脈では問題になりません。 むしろ、病院ではない場所においてさえ医の専門知が瞬時に現実化しているわけですから、かえって好都合でしょう。 さて、音を立ててお見合い相手の青年が倒れ、額から出血します。 バーのマスターはその出血を見て青くなっていますが、ユキエはそうではありません。 ただちに身体が応答します(看護婦の世界には「血を見てせざるは勇なきなり」という言葉があるそうです)。 椅子を降りて床に両手と片膝をついていますから、かなり大きな動作を瞬時に行っています。 そして同時に青年を観察します。そのあと声をかけ、声に反応しないのを確認して、 「ぎゅむう」とつねります。これは一見したところとんでもない動作です。 倒れている人間を力を入れてつねるなどとは、普通に考えれば、鬼の所行です。 ユキエがそうするのは、医の専門知が身についているからなのです。 ユキエは、必要な確認および判断を行ったあと、 「チカラありますね看護婦さん」とマスターに言われながら青年を運んでいます。 これも、ユキエがことさら力持ちなのではありません。 「知識と技術と経験」が可能にすることです。青年を畳の上に運んだのちも処置を行いつづけており、 何度も吐かせ、トイレにも行かせます。 この間、ユキエの身体は途切れることなく動き、身体的に応答し、なおかつ言語的にも応答しています。 そうして青年は快復していきます。 ユキエのこうした一連の介抱は、医の専門知の体現(embodiment)です。 看護やケアは心においてあらわれてくるのではありません。看護やケアがあらわれてくる場所は、 医の専門知を現実化させる動く身体なのです。 「嫌かもしれないけど……やっぱり弱っている者にとっては天使なんだよな……」 「フッ、しょうがない。天使と言いたいなら言わせておこうか。そのくらいの余裕がなくちゃね」 快復して眠りに落ちていく青年とユキエとのあいだにかわされる応答です。 看護婦にたいする「天使」という言葉、医者にたいしては「神」という言葉になるのでしょうが、 こうした言葉が用いられている二人の応答を材料に、最後にとりまとめておきましょう。 ユキエの台詞は、本当に専門家らしい台詞です。充実した仕事を通しての自足感があらわれています。 青年はユキエにたいして「天使」という言葉を用いていますが、これはいささか失礼です。 この言葉には、はじめに述べた心イズムが、方向を逆転してあらわれています。 本当は、たんに「ありがとう。お世話さま」と言えばよいのです。 私は、ユキエの台詞「そのくらいの余裕がなくちゃね」を青年のほうに向けたいと思います。 私はすでに「患者は医者をつねに同時に道具扱いしよう」と述べました。「そのくらいの余裕がなくちゃね」ということです。 http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/bio/1460669266/116
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