考古学総合スレッドpart1 (270レス)
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(1): 2021/04/17(土)02:05 ID:xjjMl0bS(1/2) AAS
これまでの核ゲノムデータは東日本の縄文時代中期末以降の標本に限定されていました。mtDNAを用いた研究では、縄文人の地域差が示唆されていました。縄文人の遺伝的特徴を充分に解明するには、広範な地域と年代を網羅したゲノムデータの蓄積が必要です。

東名遺跡は1990年に発見され、放射性炭素年代は、7980〜7460年前頃で、縄文時代早期に相当します。日本列島で最古かつ最大の湿地帯貝塚で、発掘された人類遺骸は、九州の縄文時代では最古となります。

図1
画像リンク[jpg]:userdisk.webry.biglobe.ne.jp

本論文は、東名遺跡個体の完全なミトコンドリアゲノムと部分的な核ゲノムを報告します。これは、九州縄文人の縄文時代早期のゲノムに関する初めての報告です。

標本012のミトコンドリアゲノムの深度は約47倍で、mtDNAハプログループはM7a1aでした。これまでに分析された九州と沖縄のほとんどの縄文人はM7a1aでした。縄文時代の九州ではM7a1aが優勢だった、と示されます。これは、N9bが優勢だった東日本とは対照的です。Y染色体ハプログループはD1bに分類されましたが、データ不足のためさらなる細分化はできませんでした。主成分分析では、他の縄文人とクラスタ化し(図4)、本論文で分析対象とされた縄文人全個体が同じ遺伝的集団に属する、と示唆されます。

図4
画像リンク[jpg]:userdisk.webry.biglobe.ne.jp

現代人口集団における縄文人のDNAの割合が推定されました。f4比検定では日本人のゲノムにおける縄文人由来領域の割合は9.7%で、これはTreeMix分析の結果に近いものでした。朝鮮人とウリチ人でそれぞれ5%と6〜8%でした。

縄文人の代表的なmtHgであるM7aとN9bの割合に基づくと、現代日本人におもに遺伝的に寄与したのは、西部縄文人だった可能性があります。しかし、核ゲノム分析は、東名遺跡の西部縄文人が他の縄文人よりも現代日本人と密接に関連している、という証拠を提供しません。

Ancient genomes from the initial Jomon period: new insights into the genetic history of the Japanese archipelago
doi: 外部リンク:doi.org
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