[過去ログ] ソ連の対独戦勝は米英のレンドリースと戦略爆撃のお陰? (969レス)
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(1): 2016/03/18(金)03:56 ID:b6RIg46E(1) AAS
 ジム・ローリアーがGCをハワード・ジェラードが絵を担当。宮永忠将が翻訳を手がけた
オスプレイ対決シリーズの4冊目。
 パンター設計者にとってのデスマーチは、ドイツ軍戦車兵にとってのデスマーチ(物理)だったというお話。
第二次世界大戦最優秀戦車に対するきわめて厳しい評価がくだされている。パンターに負けない政治的混乱
に晒されたT-34が戦車設計者コーシキンによる命がけのデモンストレーションで大量生産の軌道に乗っ
たのとは対照的である。ソ連内における戦車設計ライバルのコーチンに名古屋コーチンを思い出した(無意味)。
 両者の違いは稼働率や製造人工に明確にあらわれている。1943年の時点で1両のT-34/76を生産する
ためには13500ルーブル(25470ドル)と3000人時が必要だったのに対して、パンターには129000ライヒスマルク
(51600ドル)と55000人時を必要したとのこと。価格はともかく人工にはあまりにも差が大きすぎて統計の前提
が狂っている気もするのだが、T-34の方は量産効果が非常に働いていた可能性も考慮できる。
 人間の方はドイツ軍が操縦士に地形を判断して運転することを教育していたのに対して、ソ連軍はきわめて
お粗末な教育しか与えられず、実戦を学校にすることを強いられている。
 無意味な政治思想の講義などを別の内容に割り振っていれば、もっと少ない損害で第二次世界大戦を戦い抜けたはずだ。
 1942年から軍籍にあって生き残っているわずかなソ連兵は曹長にまで昇進していることが多かったと
思われるという記述には戦慄した。
 戦闘内容については「パンターが有利に戦える環境はティーガーと同じだ。二種類製作する意味がない」に尽きる。
 グデーリアンによる名言「戦車にとってエンジンは、主砲そのものに匹敵する武器なのだ」が満たされていたの
は皮肉にもT-34の方だった。T-34のディーゼルV−2エンジンこそが本当の勝利兵器だったのかもしれない。

パンターVS.T-34〜ウクライナ1943 ロバート・フォーチェック
外部リンク:sanasen.jugem.jp
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