[過去ログ] 渡辺明三冠王 (447レス)
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443: 2020/08/22(土)20:46 ID:dF+THYYU(1/3) AAS
今井四郎、木曾殿、主従二騎になつて、のたまひけるは、
「日ごろは何とも覚えぬ鎧が、今日は重うなつたるぞや。」
今井四郎申しけるは、
「御身もいまだ疲れさせたまはず。御馬も弱り候はず。何によつてか一領の御着背長を重うは思し召し候ふべき。
それは御方に御勢が候はねば、臆病でこそ、さは思し召し候へ。兼平一人候ふとも、余の武者千騎と思し召せ。矢七つ
八つ候へば、しばらく防き矢仕らん。あれに見え候ふ、粟津の松原と申す。あの松の中で御自害候へ。」
とて、打つて行くほどに、また新手の武者五十騎ばかり出で来たり。
「君はあの松原へ入らせたまへ。兼平はこの敵防き候はん。」
と申しければ、木曾殿のたまひけるは、
「義仲、都にていかにもなるべかりつるが、これまで逃れ来るは、汝と一所で死なんと思ふためなり。所々で討たれん
よりも、一所でこそ討死をもせめ。」
とて、馬の鼻を並べて駆けんとしたまへば、今井四郎、馬より飛び降り、主の馬の口に取りついて申しけるは、
「弓矢取りは、年ごろ日ごろいかなる高名候へども、最後の時不覚しつれば、長き疵にて候ふなり。御身は疲れさせた
まひて候ふ。続く勢は候はず。敵に押し隔てられ、言ふかひなき人の郎等に組み落とされさせたまひて、討たれさせた
まひなば、
『さばかり日本国に聞こえさせたまひつる木曾殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる。』
なんど申さんことこそ口惜しう候へ。ただあの松原へ入らせたまへ。」
と申しければ、木曾、
「さらば。」
とて、粟津の松原へぞ駆けたまふ。
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