太宰治賞 13 (689レス)
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(1): 2024/06/22(土)12:01 AAS
小説ののっけが、マチアプの男漁りシーンで、そこからセックスシーンを丹念に描写し、さらには場末感ただようコンカフェの描写。
異端の場所を露悪趣味的に描写していく手法に最初は心を掴まれるが、前半部分は選考委員も指摘しているように、少しだれる。
けれど、後半、主人公の忙しい日常が完全にキャパオーバーでもう手が回らなくなって、恋人になれるかもしれないと思っていたカズくんを傷つけてしまうラストまではとても読ませる。
一流企業勤務で上手くいっているようで、実は崩壊寸前。
そんな「ポンコツな自分」に共感する読者は多いのではないだろうか。
あと主人公に葛藤があり、ゲイを自認しつつ、それを完全には受け入れられないでいて、だからマチアプでは女のふりをして「ノンケ童貞」の男を探す。
ゲイであることの葛藤に苦悩しているのは、若いカズ君も同じで、ノンケ童貞を自称しつつ、男とばかりセックスをしていて、主人公からの質問には黙ってしまう。
主人公の日常が、ちょっと動かせば全部崩れてしまうジェンガのようにギリギリなのは、彼が葛藤ばかりしていて、あれこれ手を出して、ひとつのことに打ちこめないからだ。
今の時代、「分人」は成立しない。裏垢は必ずバレて本垢と紐付く。社会を生き抜くためには、自分で自分自身にレッテルを貼って「私はコレコレこういう人間です」と宣言しないといけないが、主人公には葛藤があって、それができないでいる。
中だるみがちょっと惜しいがとても書き手の才能を感じる作品でした。
省3
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