[過去ログ] 吉原のティアラって風俗店使ったことある? (370レス)
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199: 2012/10/17(水)22:37 ID:qpTrQxlQ(1/2) AAS
「宿禰、おまえ部活何にする?」
「部活…必須じゃねえだろう?」
「ば〜か、形だけでもこの課外活動に参加してりゃ、推薦で大学受ける際、内申点が高くなるだろ?」
「はあ、さいですか」
「俺達みたいな愚民は初めから推薦狙いって手筈でどうっすか?」
「おまえと一緒にするな」
二日と待たず、すっかり打ち解けた三上は、どうしても入りたいサークルがあると、放課後、俺を無理矢理同行させ、入部の手続きに図書準備室へと向かった。

「図書準備室って言っても、要は自習室だよ。試験前だと図書館の方が満員になるから、学年毎に振り分けてるって話なんだ」
三上のどうでもいい話に相槌を打ちながら、目的地に到着する。
…は?
「なんで、こんなに入部希望者が多いんだ?」
入り口に並ぶ生徒の数は二十人以上。中を覗くと三十人はくだらない。
「毎年、ここの部の推薦貰った奴が、いいとこの大学ばっかり合格でさあ。そんで有名私立狙いの奴等が殺到するって話」
そんな嘘くさい話を本気にしてんのか、ここの奴らは。
頭のいい非常識なお坊ちゃんの常識か、これは。
「今年はテストがあるって言ってたな」
「…サークル入るのにテストがあんのか?…俺やめる…」
「待てって!宿禰。な、俺一人じゃ心細いんだよ。今年はここの顧問はうちの副担任だって話だからコネも効くばず!」
「じゃあ、俺、必要ないだろ!」
「頼む!宿禰。俺、詩ってあんまり知らんのだよ」
「…し…詩?」
「そう『詩人の会』」
「…なんだよ、それ…」
「俺もよく知らんが、有名な詩人の詩や自分が作った詩を朗々と朗読する…待って〜っ!宿禰っ!」
「勝手にやっとけ!」
「親友だろ?」
「誰がだっ」
「俺、人のいい三上君を助けると思ってさあ」
「…」自分で言ってもこいつには何か嫌味がないから、得だな。
「ね、色男」
「わあったよ、受けるだけだからな。落ちても知らんからな」
「ありがと!親友よ、感謝する!」
昨日知り合ったばかりで親友呼ばわりされるのも…まあ、悪い気はしない。

…昔はそういう奴も少なくなかったけど、事件の後は親友と思っていた友人達はあっさりと離れていった。
そういうもんだろうと、思った。
誰も自分が一番かわいいんだから、不利になるものは排除しなけりゃならない。
十五歳でそこに辿り着かなきゃならないなんて、信仰心が足りなかったか?
俺に羽なんて、とっくに無いんだろうな。

入部希望者ひとりひとりを呼んで、知っている詩を諳んじさせる。それを最後まで間違えずに言えたら、合格らしい。
皆、教室の端の教師用の机に居座った顧問の前に立って、四苦八苦している様が見て取れる。
三上が呼ばれ、頭を掻きながら、懸命に喋っている。
暫くして、帰ってきた三上は親指を突き出して、片目を瞑った。
どうやら合格らしい。
『何読んだんだ?』と、小声で呟く。
『みんな違って、みんないい』と、言い、にか〜っと笑った。三上らしい選択だ。
テストが終わった者は帰っていいらしく、溢れかえっていた教室も閑散となってくる。

希望者の名簿順なら、三上の次のはずの俺の名前はまだ呼ばれない。
ひとり、またひとりと去り、
そして…残る生徒は俺ひとりとなる。

嵌められたな…と感じた。
確かにあの顧問兼副担任は、俺向きなのかも知れない。向こう側にとって見ればだが。
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