■■■フルトヴェングラー35■■■ (777レス)
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16: 名無しの笛の踊り [sage] 2022/01/27(木) 23:57:21.95 ID:RH/fyoHP ちなみに「指揮者のすべて」1996年音友発行のムックから 20世紀の大指揮者 1.フルベン 2.トスカニーニ 3.カラヤン 4.バンスタ 5.ワルター 6.クレンペラー 6.ミュンシュ 6.ムラヴィ 9.クナ 9.セル http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/16
17: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 01:38:32.44 ID:69cy7NZg プフィッツナー(Hans Erich Pfitzner 1869年5月5日 – 1949年5月22日)は作曲家としてはマーラーやR.シュトラウスより上だし、大指揮者だね プフィッツナーが指揮したベートーヴェン エロイカ交響曲の伝説の名盤 https://www.youtube.com/watch?v=PgMDzUQa6P8 プフィッツナーが指揮したベートーヴェン 田園交響曲の伝説の名盤 https://www.youtube.com/watch?v=ZUxuv3i-5IY Hans Pfitzner conducts... https://www.youtube.com/watch?v=HEoFLPBdFAY http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/17
18: 名無しの笛の踊り [sage] 2022/01/28(金) 01:38:47.68 ID:kxhMV9hc >>3 19世紀の指揮者ランキング 1.ビューロー 2.マーラー 3.メンデルスゾーン 4.ワーグナー 5.シューマン http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/18
19: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 01:48:17.53 ID:69cy7NZg ヴァイオリニストのアドルフ・ブッシュの指揮するバッハやヘンデルは史上最高の名盤と言われていたね、 カール・リヒターなんかより遥かに名演だった: Busch Chamber Players - Bach : Brandenburg Concerto No.6 B-Dur (1935) https://www.youtube.com/watch?v=tKmAKYDvuJE Busch Chamber Players "Concerto grosso op. 6 No 3" Händel https://www.youtube.com/watch?v=KBqoLJVm5C4 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/19
20: 名無しの笛の踊り [sage] 2022/01/28(金) 02:19:01.40 ID:whi+V3d0 リヒターのマタイはすごい ブッシュなら フリッツ・ブッシュだろ 兄さんだっけ しかしフルトヴェングラー以前の19世紀的な指揮者ばかり挙げるなあ http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/20
21: 名無しの笛の踊り [sage] 2022/01/28(金) 05:06:50.99 ID:rIWCAaIC >>17 プフィッツナーが指揮したエロイカ初めて聴いたが、とりあえずこの第1楽章、 テンポの動かし方がフルトヴェングラーに似ているね。特に提示部。 展開部以降は違う所も結構あるが、やはり類似点も多く、興味深い。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/21
22: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:02:29.46 ID:aioiL07Q チェリダッケが、カラヤンのことを 「音は美しいが中身がない」 と言って、インタビューアーが 「でもカラヤンは世界中で知られていますよ」 と言ったら 「コカ・コーラだって世界中で知られているさ」 と言った話は有名です。 チェリビダッケは他にも 「トスカニーニは一流の演奏家だが音楽家として二流だ」 「オーマンディのような凡庸な指揮者がよくストコフスキーの後を継いでフィラデルフィア管の常任指揮者になれたものだ」 「人は水だけでもしばらくは生きていけるが、アバドの退屈な演奏を2時間聴いたら心筋梗塞を起こすだろう」 「ムーティは素晴らしい才能の持ち主だが、トスカニーニと同じで無学だ」 「ベームは音楽の解らないジャガイモ袋」 等、マスコミが喜びそうなことを言ってました クナッパーツブッシュ 「(私がカラヤンみたいに暗譜で指揮をしないのはカラヤンと違って)楽譜が読めるからだ」 カラヤンがモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」を演奏していたときのこと。その上演になぜか立ち会っていたクレンペラーが突然大音声を発した。 「いいぞ カラヤン、いいぞ、決して皆が言うほど悪くない!」 カラヤンは、それ以後決してクレンペラーを許さなかった、という。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/22
23: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:06:11.55 ID:aioiL07Q チェリビダッケ語録 「(マゼールは)カントについて語る二歳児」 「(クナッパーツブッシュは)スキャンダルそのもの」 「(ムーティは)才能はある、おそろしく無知だが」 「(アドルノは)世界史のなかでいちばんの大言壮語野郎」 「(ムターは)彼女は自分の弾き方に自信を持っている。だが彼女のやること全てには真に偉大な音楽性はない。彼女には視野がない」 「シェーンベルクはまったくどうしようもない愚鈍な作曲家である」 「イーゴリ・ストラヴィンスキーはディレッタントの天才に過ぎない。彼は生まれつき忍耐力に欠けていた。そしてこの欠陥をいつも、 新しい様式で補った。だから彼の音楽は様式感に欠けるところもあるわけだ」 「私の見るところ、サヴァリッシュは高校の校長といったところ。彼は音楽家ではない。メゾフォルテの男だ」 「リズムが機械的なものと理解すれば、それがブーレーズだ」 「(ムターに対して)さてと、あなたがヘルベルト・フォン・カラヤン氏のところで学んだことをすべて忘れなさい」 (とあるマスタークラスにて、若き日のインバルに向って) 「ちゃんと勉強しないと、バーンスタインみたいな指揮者になってしまうぞ!」 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/23
24: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:06:21.09 ID:aioiL07Q 「ハイフェッツは哀れな楽譜運搬業者だ」 「人間は何も食わずとも3週間くらいは生きられる。だがアバドのコンサートを3時間聴いたら心筋梗塞を起こす」 「ベートーヴェンの交響曲第5番は失敗作、特に終楽章は」 「(カルロス・クライバーは)あんな常軌を逸したテンポでは何も分からない。 彼は音楽がなんであるか、 経験したことがない」 私が独裁者だって?モーツァルトこそ独裁者だ!」 評論家など寄生虫だ」 「フランス人くらいドビュッシーやラヴェルを下手糞に演奏する連中はいない」 「(ショルティは)ピアニストとしては傑出している。指揮者としては凡庸な耳しかない。テクニックはお粗末」 「チャイコフスキーは、真の交響曲作曲家であり、ドイツでは未知の偉大な男である」 「ベートーヴェンの《第九》の終楽章の合唱もサラダ以外のなにものでもない。ぞっとするサラダだ」 「(カラヤン時代の)ベルリンフィルには、世界最高のコントラバス奏者がいます。だから、ベルリンフィルのコンサートは、今、すべてがオーケストラ伴奏付きのコントラバス協奏曲なのです」 「(ハスキルは)すばらしいコンサート・ピアニスト。機知に富み、魅力的で、徹頭徹尾、音楽的。 ユーモアと生きる歓びに充ちている」 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/24
25: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:13:04.12 ID:aioiL07Q 指揮者チェリビダッケの音楽語録〜 2008年04月15日 https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/c2454e666c6de0a509d1ca7dcd889015 先日(4月5日)、我が家での試聴にjmc音楽研究所長のO君が持ってきたCD盤の「シェラザード」がすっかり気に入って、いまのところ愛聴盤として活躍中。(4月8日付けのブログで紹介) オーケストラの音の響かせ方やテンポ、調和のとれたハーモニー、独奏ヴァイオリンの歌わせ方などによく練りこまれた独特の味わいが感じられる。 こうなると自然にその指揮者に関心が向く。 セルジュ・チェリビダッケ(1912〜1996:ルーマニア) 「私が独裁者?モーツァルトこそ!〜チェリビダッケ音楽語録〜」(シュテファン・ピーンドルほか著、音楽の友社刊)に略歴や人となり、音楽の考え方などが詳しく記載されている。 哲学と数学を専攻する中、音楽に目覚め24歳のときにベルリンに移住して作曲、指揮、音楽学を修めた。1945年にはベルリン放送交響楽団の指揮者コンクールに入賞。 当時、ベルリン・フィルハーモニーの常任指揮者だったフルトヴェングラーが非ナチ化裁判のため指揮を許されなかった1945年から1947年にかけてベルリン・フィルを任されたほどの逸材。 フルトヴェングラー死去後、誰もが世界の名門オーケストラのベルリン・フィル常任指揮者に就任するものと思ったが、楽団員達が択んだのはなんとヘルベルト・フォン・カラヤンだった。 以後、チェリビダッケは国際的な指揮活動に集中せざるを得なくなり、イタリア、デンマーク、スウェーデン、フランスなどで指揮棒を振るが、晩年はミュンヘン・フィルハーモニーの音楽総監督として12年間に亘り蜜月時代が続く。 彼がとくに関心を抱いていたのが、若い指揮者を育てることで、自由になる時間のほとんどすべてを後輩の育成に捧げた。 彼がカラヤンに代わって当時のベルリン・フィルの常任指揮者に納まっていたら、その後、世界のクラシック音楽の動向も変わっていただろうといわれるほどの超大物指揮者だ。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/25
26: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:13:39.94 ID:aioiL07Q チェリビダッケは言う。 「わたしがベルリン・フィルをさらに指揮し続けたら、このオーケストラは別の道を歩んだことだろう。カラヤンはアメリカ流に艶っぽく磨きぬかれたオーケストラに変えてしまった。わたしならそれをドイツ的なひびきを持つオーケストラに育て、その結果フルトヴェングラーの伝統を受け継いだことだろう。」 彼には指揮者から演奏者までさまざまな「歯に衣をきせない」発言がなかなか面白い。ここでは指揮者に限定して抜粋してみよう。 ☆フルトヴェングラー 師として仰いだので次のように賞賛の言葉が続く。 「私はフルトヴェングラーの後継者になることを望まなかった。彼の後継者になれるものなどいない」 『私は彼にこう訊ねたことがある。「先生、ここのテンポはどうすればよいのでしょう。」答えは「そうだね、それがどんなひびきを出すかによるね」。まさに啓示だった。テンポとはメトロノームで測れるような物理的なものではない。結局、テンポが豊かなひびきを出し、多様性を十分に得るのに私はかなりの期間を必要とした。』 ※通常、作曲家は楽譜にいかなるテンポで演奏するかを指定していないという。つまり、これは完全に指揮者任せということで、テンポ次第で音楽から受ける印象がすっかり変わる。しかし、速いテンポでも遅いテンポでも違和感がなく自然に聴ける唯一の音楽がベートーヴェンの作品! ☆クラウディオ・アバド 「まったく才能のない男。災厄だね。私は3週間何も食べなくても生きていける。だが演奏会に3時間もいれば〜心臓発作を起こしかねない。その相手が彼なら怒り心頭」 ☆カール・ベーム 「彼の演奏を聴けば聴くほど、彼が心の中で音楽と思い込んでいるものと、彼という人間のあいだの距離が目に見えてどんどん開いてゆくばかりだ。」 「ベーム・・・・・、これまでのキャリアのなかで、まだ一小節たりとも音楽というものを指揮したことのない男」 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/26
27: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:13:59.76 ID:aioiL07Q ☆ヘルベルト・フォン・カラヤン 「彼は天才ではない。すべての若い音楽家にとってひどい毒となる実例である」 「彼は大衆を夢中にさせるやり方を知っている。コカ・コーラもしかり。」 ☆ユージン・オーマンディ 「あんな凡庸な楽長がどうしてストコフスキーの後継者になることができたのか」 ☆ヴォルフガング・サバリッシュ 「私の見るところ、彼は高校の校長といったところ。彼は音楽家ではない。メゾフォルテの男だ。イタリアでは長距離専門アスリートをメゾフォルテと呼ぶ」 ☆ゲオルグ・ショルティ 「ピアニストとしては傑出している。指揮者としては凡庸な耳しかない。テクニックはお粗末。」 ☆アルトゥーロ・トスカニーニ 「トスカニーニは楽譜どおりに演奏した唯一の指揮者だといわれてきた。といっても彼はそもそも音楽などまったくひびかせず、音符だけを鳴らした唯一の指揮者だった。彼は純粋な音符工場だった。」 以上、かっての名指揮者たちもチェリビダッケにかかってはかたなしというところ。 最後に、最近HMVから取り寄せた3枚のチェリブダッケが指揮するCD盤を試聴してみた。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/27
28: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:14:26.37 ID:aioiL07Q ☆ベートーヴェン交響曲第6番「田園」 以前、このブログで田園の11枚の試聴を行って、およその演奏レベルを把握しているつもりだが、これは、ベストだったマリナー、ワルター指揮と十分比肩しうる名盤。 嵐のあとの感謝の歌の神々しいまでの荘厳さといい、全体的に細かいところに手を抜かず、重厚かつ深々としたひびきに”チェリビダッケは凄い”と感心した。 ☆ベートーヴェン交響曲「第九番」 何だかフルトヴェングラーの最新ステレオ録音を聴いている思いがした。第一楽章から第四楽章まで時を忘れて聴き耽った。 ☆シューマン交響曲「第2番」 仲間のMさんによるとチェリビダッケはシューマンとかブルックナーといったあまり陽のあたらない作品に光を当てて、見直させるのが得意な指揮者だという。たしかにこのひびきは人を飽きさせず作品に没入させる何かを持っている。 以上3曲(ライブ録音)についてとにかく重厚なひびきに圧倒された。これがドイツ的なひびきというものだろうか。ミュンヘン・フィルでこのくらいだから、彼がベルリン・フィルを引き継いでいたらもの凄かっただろう。本人が言うようにフルトヴェングラーの伝統を引き継ぐ資格に太鼓判を押したい。 ただし、自分が思うところフルトヴェングラー、チェリビダッケともにひびきを重視していることに変わりはないが、前者はいったん演奏に入るとひびきを忘れて演奏に深く没入するが、後者は常にひびきを念頭において(そのひびきを)冷静に第三者の目で観察しているところに違いがある。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/28
29: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:24:23.73 ID:aioiL07Q チェリビダッケがどんな言葉を放ったか?価値観をよく表しているものとして、例えば、 あなたが音楽で美しいものを体験しようとしても無理なのである。音楽では真実が問題なのだ。美は疑似餌にすぎない テンポについては、 音楽に接して長すぎるとか、短すぎるといった感じを抱けば、その人は音楽のなかに入っていない。音楽はその意味で長い短いの問題ではない フルトヴェングラーはどんなテンポでも、間違ったテンポでさえ、納得させることのできた唯一の指揮者である 他にも、テンポについては幾つも言葉が出て来ます。 同僚に対しては、褒め言葉もあるのですが、概して口が悪いのです!! (ピエール・ブーレーズについて)リズムが機械的なものの作動と理解すれば、それがブーレーズだ (カラヤンについて)わたしは彼のなしたことの全部は評価しない。彼にはエゴがありすぎる。そんなエゴが働くときには彼の自由な精神はひどく濁ったものになりやすい。 (カルロス・クライバーについて)彼はわたしにとって我慢のならない指揮者だ。彼の気違いじみたテンポでは音楽的な体験などできはしない。 もっとひどいものもあって、これが笑ってしまうのですが、ぜひ本書でお確かめを。。。 この最後にやり玉に挙げられているカルロス・クライバーが実はチェリビダッケのファンだったそうで、あまりに暴言が多いのをこらしめ半分、ふざけ半分になした投書が嬉しいことに全文載っております。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/29
30: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:26:58.57 ID:aioiL07Q チェリビダッケ語録 7月25日(月) „Hugendubel“(書店)で、チェリビダッケの『語録集』を買った。(Hg. von S. Piendl u. Th. Otto; „Stenographische Umarmung − Sergiu Celibidache beim Wort genommen“, ConBrio, 2002 )。 ちょっとした一言に、音楽に対する考えかたが現れていて、とても興味深い。 私は、この指揮者の日本公演にいくことができた。最初に聴いたのは、たしか、東京文化会館。このとき、ミュンヘン・フィルというオーケストラも知った。合計で、3回か4回の実演に接することができたが、いずれも、私の音楽観を根本から揺るがすものだった。 「藝術とはなにか?」と聴かれると、多くの人は、おそらく、「美をもとめる行為」と答えるだろう。古来、藝術と美は密接に結びついている。だが、チェリビダッケにとって、藝術は単に美しさに奉仕するものではない。もし、藝術が美だけを追究するなら、「美しければなんでもよい」ということにもなりかねない。極端なことをいえば、「嘘で固めた世界であっても、美しければかまわない」という人だって出てくる。美しいけれど倫理的には最悪、ということだってありうるのだ。 「Musik ist nicht schön, Musik ist wahr. (S. 20) 音楽は美しいのではない。音楽は真理なのだ」(以下、原文に適当訳をそえる。カッコ内 S. = Seite はページ数) チェリビダッケの音楽は真理をめざす。単に美しいだけでは不充分。美に甘んじていてはいけない。感覚的に心地よいだけなら、藝術とはいえないのだ。 「Der Klang bringt die Schönheit zur Wahrheit(S. 79) 響きは美を真理へともたらす」 真理という言葉で、チェリビダッケがなにを考えていたのか、いまひとつはっきりしないが、真理は、ふつう、「なにかほんとうのこと」を意味する。真理と嘘は相容れない。さらに、嘘が「実際にはないこと」であるのに対し、真理のほうは、「現実にあること」だろう。つまり、チェリビダッケのめざしていた藝術というのは、「『これこそ現実』といえるなにか」ということになる。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/30
31: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:27:48.24 ID:aioiL07Q 「Ich bin sehr gegen diese Idee, daß Kunst Genuß sei. Kunst ist auch Genuß, sonst würden die Menschen das gar nicht machen. Aber das Wesen der Kunst ist nicht der Genuß. Es ist das Erleben(S. 21) 私は、藝術が享楽であるという考えに断固反対する。たしかに藝術は享楽でもある。そうでなければ、人間は藝術活動などしないだろう。しかし、藝術の本質は享楽ではない。藝術の本質は体験することである」 これ以外にはありえないなにかを「体験すること」。いいかえると、真理にふれること、人生や世界、あるいは宇宙の真相を垣間見ること、これこそが、藝術なのだ。私は、チェリビダッケの演奏に接したとき、ある種、宗教的な催しに参加したような錯覚を覚えたが、あの経験は、こうした考えと無縁ではあるまい。 そんなチェリビダッケが他の音楽家を観る目はきびしい。 たとえば、カラヤンについてはこう。 「Ich weiß, er begeistert die Massen. Coca Cola auch(S. 40) かれが大衆を興奮させることは知っている。コカ・コーラのように」 そういわれてみると、カラヤンの音楽はたしかにコカ・コーラに似ている。レガートを多用し、オーケストラの心地よい響きで、多くの人に歓迎された。まるで喉ごしのよいコーラのよう。クラシック音楽をひとつの産業としたのもかれ。世界企業となったコカ・コーラと、カラヤン・ブランドは似ている。カラヤンがクラシック音楽の大衆化にはたした功績はみとめられなければならない。だが、その音楽に、はたして真理を開示する力があったかどうか・・・。「響きの流麗さ、かっこよさ以上のなにかがあるのか? 」と、チェリビダッケはいっている。 マゼールについてはこう。 「Ein zweijähriges Kind, das von Kant redet.(S.42) カントについて語る二歳児」 難しいことを器用にこなすが、まだまだ子どもだといいたいのだろうか。わかるようでわからない。でも、マゼールの本質をいいあてているような気がする。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/31
32: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:28:08.87 ID:aioiL07Q おなじ時期にミュンヘンで人気を二分したクライバーに対しても手厳しい。 「Er ist für mich ein unmöglicher Dirigent. Kein Mensch kann bei seinem wahnsinnigen Tempo etwas erfahren. Kleiber geht vorbei am heiligen Klang. Das finde ich tragisch. Er hat niemals erfahren, was Musik sei(S. 41) クライバーは私にとってはとんでもない指揮者だ。あんな常軌を逸したテンポでなにかを経験できる人なんていない。クライバーは聖なる響きのかたわらを通りすぎている。これは悲劇だ。かれは、音楽がなんであるか、経験したことがない」 毒舌だが、これもまたクライバーの性格にせまっている。というか、私には、クライバー評よりも、チェリビダッケにとって、「響き」がいかに重要なものだったかがわかって、興味深かった。音楽をどのように響かせるかということこそが、この指揮者にとっては、いちばん大事だったのだ。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/32
33: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:32:24.66 ID:aioiL07Q 「後年チェリビダッケはフルトヴェングラーから音楽の深遠な洞察のすべてを学んだと語っている。 あるとき指揮者がフルトヴェングラーにある曲のテンポ設定について質問したところ、フルトヴェングラーは「それは音がどう響くかによる」と答え、ホールなどの音響を無視してメトロノームの数字だけを元に決められたようなテンポ設定は無意味だということを悟ったという」。 はたして、フルトヴェングラーの回答が、彼の思った通りの回答だったかは、少々疑問が残るものだ。 フルトヴェングラーの音楽に対する根本的な関心は、即興の法則なるものの獲得に集中(だからいつも即興の源泉であろう作曲家の精神の話ばかりしているのである)していて、音について詳しい話は稀であるから、この回答はむしろ、チェリビダッケの頭の中で勝手に噴出した思想だったのかもしれないのである。 曖昧な回答をしたところ、チェリビダッケの合点の言った顔があらわれて、フルトヴェングラーは心ひそかに驚いていたのかも知れない。 天才は、天才らしく間違えるものである。テンポに対する疑問は、音がどう響くかという問題にすり替わり、彼の生涯の問題となった。 天才は問題を解決するのではない、むしろ問題を創造するのである。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/33
34: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:36:55.64 ID:aioiL07Q セルジュ・チェリビダッケ(1912〜1996) 晩年の彼はもはや伝説の指揮者などではなかったことが白日の下に晒された。 自分のために大金を積んでくれる日本へ毎年のように演奏旅行へ出かけ、自らの恍惚とした表情をせっせと映像に残す様は、彼がカラヤンを軽蔑する際に使う「金の亡者」そのものの姿であった。当時の日本の聴衆は愚かだった。 それでもこの老巨匠が他の指揮者を罵れば歓喜し、その極端に遅いテンポからは忘れられたドイツ・ロマン派の香りがする本物だと広言した。 かなり毒のある書き方をしたが、チェリビダッケが雄弁に物事を語るときは常にこのような感じである。 そもそもフルトヴェングラーは自らの後継者にはルーマニア出身のセルジュ・チェリビダッケをと考え、非ナチ化の影響により多くの指揮者がその演奏機会を失ってる中、四百を超えるベルリン・フィルの公演を任されていた。 彼はカラヤンと違いフルトヴェングラーのために汗を流し、そしてまたその恩恵を受けていた。一方のカラヤンは録音や演奏旅行等を通じてウィ−ン、ロンドン、ミラノ、ルツェルン、バイロイト等で高い評価を得ていた。 この間ベルリン・フィルはフルトヴェングラーの妨害によりわずか10回の公演程度であったが、聴衆や批評家には高い評価を得ていた。この頃のベルリンにとってはむしろカラヤンの方が伝説の人物だったのである。 そしてカラヤンは、−彼は後に事ある度に巧みにそれを利用するのであるが、ベルリンの人間にとってスカラ座や楽友協会に取られるのは耐え難い存在であった。 両者の違いはそのプローベからも明らかである。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/34
35: 名無しの笛の踊り [] 2022/01/28(金) 09:37:05.90 ID:aioiL07Q カラヤンは効率を求め、特に難しいと思われる箇所を各パートに別け練習するのに対し、チェリビダッケは指揮台で激高し楽団員を無能と罵り、解雇を匂わせ脅した。 (しかし何もこれはチェリビダッケだけに言えたことではなく、一昔前の指揮者は殆ど皆がそうであった。) こうしてチェリビダッケは楽団員と聴衆の支持を失った。 彼はここで大きく見誤っていた。確かにチェリビダッケの後ろには絶対なるフルトヴェングラーが存在したが、彼がオーケストラと決定的に対立した数日後にフルトヴェングラーは深い眠りについたのである。 その後、ハイデルベルクにあるフルトヴェングラーの墓のそばに寄り添ったチェリビダッケは次のように述べた。 「フルトヴェングラーはよい時に死んだ、耳が聞こえなくなっていたのだから」 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1643251651/35
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