[過去ログ] ◆進撃の巨人ネタバレスレpart591 [無断転載禁止]©2ch.net (1002レス)
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23: 2016/10/05(水)22:00 ID:??? AAS
 リヴァイの躰は小刻みに震えていた。エレンの腰を抱きしめる腕はこんなにも力強いのに。立場も年齢も下の自分に懇願して怯えている。
 ずっと憧れ、絶対視してきた英雄像はエレンの中でこの瞬間、人となったのかもしれない。そっと手を伸ばして、リヴァイの髪を撫でる。短く清潔に刈り込まれた髪を撫でて、そっと肩を叩いた。
「リヴァイさん。判りました。……顔をあげて下さい」
 エレンの声が甘く優しくなる。それは決して上官と部下ではなかった。必死で縋る男を許容することをエレンは既に選んでいた。甘え縋る男とそれを受け止める存在という新しい関係性を。
「エレン………許してくれるのか?」
 リヴァイの顔は蒼白だった。おずおずとした動作とどこか定まらない視点が普段のリヴァイとは全く違う。
 自分の選択の意味に気づいて、エレンの中に自分への絶望、いや諦めの色を探しているようだ。青ざめたその顔は、倍以上も年齢を重ねているというのに、エレンはどこか可愛らしくさえ感じてしまう。
「はい、リヴァイさん」
 調査兵団の英雄としてのリヴァイならば、自分はもう信頼できない。許容できない。けれども、この縋り付いてくれる愛しいただのリヴァイを自分は受け入れよう。エレンはそういう思いで頷く。
 その瞬間、リヴァイの切れ長の瞳が一滴の涙を絞り出すように流した。それを見つめた瞬間から、二人は関係を変えたのだ。完全な絶対者と従うものから、対等な恋人同士へと。
「俺はお前が好きだ。頼むから……嫌いにならないでくれ」
 リヴァイの懇願にエレンはその背中を優しく撫でた。人類がどうのと御託を並べても、自分たちはお互いの親友を助けたかったのだ。それは決して悪いことではない。
 ただ、極限の場所で、お互いにお互いのエゴが剥き出しになった。そこで初めて自分たちは、自分たちの心の中にある欲望にも気づけたのだろう。
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