[過去ログ] 法医学スレッド (234レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
209: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:09 ID:??? AAS
もっとも、この動物磁気に対抗して、第一期および第二期に行なわれたことはすべて、完全に許
容されるべきものであろう。(ただし、イギリスでつい最近まで猛威をふるった、調査ぬきの粗暴
かつ馬鹿げた断罪は別である。)ともかく今日では、洞察をもって治療にあたる者のなかで、現
象の動因が磁気所有者の意志であることについて疑いをさしはさむ者はいないとわたしは信じて
いる。したがって、このことを確証する磁気所有者の無数の発言を例挙するのは余計なことであ
ろう。「欲せよ、そして信ぜよ!」というピュイセギュールおよびフランスの古い磁気所有者の
解答は、たんに時を経ても正しさを保っているばかりでなく、現象自体についての正しい洞察に
まで発展した。キーザーの『大地主義』は動物磁気についての最も基本的かつ詳細な教科書だ
が、この本は、磁気の動きが意志なくしては生起しえないこと、これに反し意志は外的行為なく
してもあらゆる磁気的作用を起こすことができることを、じゅうぶんに指摘している。触診は意
省6
210: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:09 ID:??? AAS
「磁気所有者の活動は、もちろんただ意志によって拘束され
ている。しかし人間は外的な知覚できる形態をもっている以上、人間の使用に供せられるものす
べて、人間に作用するものすべてが、やはり外的な知覚できる形態を必ずもっていなくてはなら
ない。しかも意志が作用するためには、意志は一種の行為を利用しなくてはならない。」わたし
の学説にしたがえば、生体は意志の単なる現象、可視性、客体化、すなわちもともと頭脳のなか
に表象として直観された意志そのものである。したがって、触診という外的行為は内的な意志行
為と一致する。したしたとい触診が行なわれないとしても、同じことを迂路をつうじて人工的に
生起させることができる。空想が外的行為を、ときには人の存在を代用することもあるのだ。し
たがって触診なしで事を行なうのはずっと困難であり、めったいに成功しない。こうした事情から
してキーザーは、夢遊症患者に向かって、大声で「眠りなさい!」あるいは「そうしなくちゃい
省12
211: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:10 ID:??? AAS
これらすべてについての真の基礎は、ここで
は意志がその本源性において物自体として活動しており、意志からは異なった領域にある第二次
的なるものとしての表象ができるだけ除外されることが要求されている。磁気をかけるにあたっ
てもともと作用するのは意志であり、あらゆる外的な行為は、意志の運搬具にすぎないという真理
を事実のうえから裏づけするものは、磁気に関する最新・良質のすべての著作のなかに見いだ
される。このことをここで繰り返すのは、不必要な脱線であろう。それでもわたしは、そのうち
のひとつを掲げておくことにする。それというのも、この文献がとくに異常だからではなく、意
外な人によって書かれており、そうした人の証言として独特の関心がもたれているからである。その
人とはジャン・パウルである。彼はある書簡(『ジャン・パウルの生活の真相』第八巻一二〇頁
に転載されている)のなかで次のように述べている。「わたしはある大きな会合でK夫人を、だ
省11
212: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:10 ID:??? AAS
いま問題にしていることの正しさを別な角度から保証するものに、『ドレースデンにおける女
夢遊症患者アウグステ・Kにかんする報告』(一八四三年)がある。アウグステは、五三頁で次
のように述べている。「わたしは半分眠っていた。弟が彼の得意な曲を演奏しようとした。しか
しその曲はわたしの気に入らなかったので、わたしは彼に演奏しないように頼んだ。それでも彼
は演奏しようとした。そこでわたしがこれに反抗する賢固な意志をかためたところ、弟はいくら
努力しても、問題の曲を想起することができなくなった。」――しかしこの意志の直接の力は、
生命のない物体にまで及ぶときに最高潮に達する。このことはたしかに信じられないように思わ
れるけれども、ぜんぜん別の方面から伝えられたこれにかんする二つの報告がある。すなわち、
いま紹介した『アウグステ・Kにかんする報告』の一一五、一一六、および三一八の各頁はでは、
証人の引証つきで次のようなことが述べられている。アウグステというこの女夢遊症患者は、磁
省7
213: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:10 ID:??? AAS
わたしが物自体、すべての存在における唯一の現実、自然の中核としてかかげた意志が、人間
個人から出発して動物磁気のなかで、さらにはこれを越えて、因果の結合すなわち自然の法則に
よっては説明できないようなこともなしとげるばかりか、自然の法則をいわばご破算にして、現
実に遠隔への作用を行ない、それとともに超自然的な、つまり自然に対する形而上学的支配を行
なうことを、われわれは考察してきた。したがってわたしはこれ以上に、わたしの学説を事実の
うえではっきり裏づけするものを望むことができない。そればかりか、磁力所有者のソパリ伯爵
は、疑うまでもなくわたしの哲学についていっさい知らず、おのれの経験を積み重ねてゆくうち
に、『動物磁気、魂の身体、および生の精髄』(一八四〇年)という自著の題名を説明するため
に、次のような熟考すべき言葉をつけ加えた。「本書の副題はいうなれば、動物磁気の流れはす
べての精神的・肉体的な生の要素であり意志であり、原理であることを物理学的に証明するものと
省8
214: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)10:11 ID:??? AAS
このような事実があるために、まったく正反対の主張や偏見があるのにもかかわらず、動物磁
気とその現象はかつての魔術の一部と同じであるという意見が出てきたばかりか、これは確実な
ことだとされるようになった。もともと魔術は悪名高い秘儀で、これをきびしく迫害したキリス
ト教成立後の各世紀ばかりではなく、未開人をも含めた地球上の全民族によって、あらゆる時代
をつうじて信奉されて伝えられてきた。しかも魔術の悪用を、ローマ人の十二表、モーセの五
書、それにプラトンの『法律』第一一章さえ、死罪に値するとしている。アントニウス治下の最
も啓蒙された時代のローマでも魔術がいかに大まじめに受けとられていたかは、アプレイウスが
自分に向けられた、彼の生命をもおびやかす魔術師という訴えに対して法廷で行なった、美しい
自己弁護の言葉が証明している(『魔術についての弁明』ビポンティウム版一〇四頁)。この弁明
のなかで、彼は、おのれに向けられた非難を取り除こうとけんめいに努力したけれども、魔術の
省9
215: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)12:38 ID:??? AAS
そして彼らは、天上・地上には彼らの哲学が夢想する以上のものがあることを偉大な同国人にはっ
きり語らせようとはしなかった。――往時の魔術の一部は、民衆のあいだではいまでも大っぴらに、
毎日実施されている。こうした魔術は福祉に役立っている。つまり感応療法に使用されているが、
この種の治療の有効性については疑う余地がない。最も普通に実施されているのは疣の感応療法で、
これが効果があることを、慎重で経験的なヴェルラムのベーコンも、すでにおのれの経験にもと
づいて確証している(『森また森』第九九七節)。さらにこれは顔面に生ずる丹毒の治療にもしば
しば効果的であるために、これなら大丈夫という確信をもつことができる。また同様に発熱のさ
いの治療にも成功した例がある。――このさい本源的な動因となるものは無意味な言葉や儀式で
はなく、磁気療法のときと同じく治療にあたる者の意志であることは、すでに磁気について述べ
てきた以上、詳細な説明を必要としないだろう。感応療法の実例は、この種の治療となじみのな
省7
216: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)12:38 ID:??? AAS
現代になって行なわれたこの種の見解の修正が薬学からはじまったことは、幸運であった。な
ぜならこのことは同時に、意見の振り子が、まったく逆の方向にむかう強い衝動を再びもつこと
はなく、われわれが粗野な時代の迷信にまたもや投げ入れられることがないことを保証している
からだ。しかも、よくいわれているように、動物磁気ならびに感応療法によってその有効さが救
いだされたのは、魔術のなかのごく一部分である。同じ魔術といっても数多くある。その大部分
はさしあたり、昔と同様に有罪の判決を受けたままであるが、それとも死滅したものとみなされ
る。しかし他の一部は、動物磁気と類似していることからも、少なくともありうることだと考え
なくてはなるまい。ということは、動物磁気と感応療法は、治療を目的とする福祉的な作用を及
ぼすのだ。これらの作用は、魔術の歴史のなかで、スペインでいわゆる「サルダドレス」の仕事
として出現したもののやはり教会の有罪宣告をうけた作用と類似している(デルリオ『魔術論』
省10
217: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)12:39 ID:??? AAS
デモクリトスは「たぶらかし」をすでに知っており、これを事実として説明しようと試みたことが、
プルタルコスの『疑問の饗宴』のなかにうかがわれる(第五問、七の六)。もしここに書かれた物語
が真実であるとされるならば、魔法使いによる犯罪の謎を解く鍵となろう。この物語によれば、熱心
な魔女迫害はけっして根拠のないことではない。たしかに、魔女迫害は、ほとんど大多数の場合は誤
謬にもとづくものである。そうはいってもわれわれは、祖先の人びとが、じつはなにごとでもな
い犯罪をあのような残忍なきびしさで何世紀にもわたって迫害するほど眩惑されていたとは、考
えるべきではあるまい。こうした観点からすれば、今日にいたるまで、すべての国において、な
ぜ民衆がある種の病気をがんこに「妖術」のせいであるとし、かたくなにこの考えを変えよう
としないのかがわかってくる。――したがって、たといわれわれが時代の進歩の波に乗って、例
の悪名高き技術の一部を過去数世紀におけるように無益・無価値なものと考えないとしても、
省12
218: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:26 ID:??? AAS
動物の保護は、したがってそれを目的とする協会や警察の仕事になるわけだが、両者とも賤民ども
のあの一般的な無道な仕打ちに対しては、ほとんどお手あげのかっこうだ。なにぶんにも訴えることの
できない動物相手のことであり、百の残虐行為で見つかるのは一つあるかないかであり、とりわけその
刑罰が軽きにすぎるからである。最近イギリスでは苔刑が提案されたが、わたしには至当のことと思わ
れる。しかし、人間と動物が本質的には同一であるという熟知の事実さえ承認せず、誠実で理性的な仲
間の者が、人間を動物の当該部門に編入したり、あるいは人間がチンパンジーやオーラン・ウータンに
酷似していることを証明したりすると、それこそ躍起になって反駁したりするほど、はなはだ頑迷・愚
昧な学者どもや動物学者までいるありさまでは、何を賤民どもから期待できよう。
しかしほんとうに腹が立つことは、きわめてキリスト教的な考えをもった敬虔なユング=シュティリングが、
その著『幽界の光景』第二巻・第一景一五頁で、次のような比喩をあげていることだ。「突如として骸骨は
省9
219: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:27 ID:??? AAS
わたしがゲッティンゲン大学で勉強していたとき、ブルーメンバッハは生理学の講義で、生体解剖の
おそろしい面について切々とわれわれに語った。それがいかにも残忍でおそろしいことであること、し
たがってめったに用うべきではないこと、ごく重要で、直接役立つ研究にだけこの措置に踏みきるべきで
あること、それを行なう場合には、科学の祭壇にささげられた残忍な犠牲が最大の利益をもたらすよ
う、大講堂で最大限に公開し、あらゆる医学者を招待したうえで行わなければならない、と説明して
くれたのである。
――ところが今日では、どんな藪医者でもいろいろな問題を決定するために、その拷問室で残忍きわまる
動物虐待をやる権能があると思っている。じつはその問題の解決はとっくに書物に載っているのであって、
ただ彼らがあまり怠惰・無知であるために、その書物をのぞかないだけのことなのだ。昔の医者は古典的
教養によって、ある種の人間性と気品をそなえていたが、いまの医者はもはや古典の素養をもっていない
省2
220: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:27 ID:??? AAS
生体解剖ではフランスの生物学者が先例を示したように思われる。そしてドイツ人はフランス人と張
り合って、しばしば大量に、罪のない動物に残虐きわまる拷問を加えるのであるが。その目的とすると
ころは純理論的な、往々愚にもつかない問題を決定するためにすぎない。わたしはここにとくに憤慨に
たえない二つの実例をあげたいと思うのであるが、それはけっして散発的なものでなく、似たような例
は百をもって数えることができる。マールブルクのルートヴィヒ・フィック教授はその著『骨の形の原
因について』のなかで、幼い動物の眼球を摘出したことを報告している。それは何のためかといえば、
そのあとの間隙に骨が成長していくという彼の仮設を確証するためなのだ!(一八五七年十月二十四日
付「中央新聞」を見よ。)
ニュルンベルクのエルンスト・フォン・ビブラ男爵が行なった非道の仕打ちは、特記するに値する。
彼がその著『人間ならびに脊椎動物の頭脳にかんする比較研究』(マンハイム、一八五四年、一三一頁
省5
221: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:28 ID:??? AAS
――母親の乳を飲んで育っている無邪気な動物を南京錠やかんぬきをかけて閉じこめ、拷問にも似てじわり
と餓死させながら、どうして高枕で眠れるのか? 眠っていてもびくりととび起きはしないのか? こうい
うことがバイエルンでは起こるとは? バイエルンでは王子アダルベルトの保護のもとに、尊敬すべき功績
顕著な宮中顧問官ペルナー氏が、粗暴・残忍から動物を守るために全ドイツに範をたれているではないか。
ニュルンブルクには、大いに成果をあげているミュンヘン動物愛護協会のごときものがないのか? ビブラ
の残虐行為は、たとえ阻止されえなかったとしても、罰せられずにすんだのであろうか?――このフォン・
ビブラ氏のように、まだまだ多くのことを本から学びとらねばならぬような人は、自分の知識を豊富にしよ
うとして、つまりはおそらくはとうの昔に知れわたっているような自然の秘密をしぼりだすために、残忍な
方法で究極の答えをしぼりだそうと考えたり、生き物を拷問にかけようと考えたりしてはいけないのだ。と
いうのは、この種の知識のためならば、哀れなよるべない動物を拷問で殺す必要はさらさらなく、まだ他に
省7
222: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:28 ID:??? AAS
動物は本質的に、また主要な点で、われわれ人間とまったく同一なものであり、その差はたんに
偶有的属性、すなわち知性にあるだけで、意志という実体にあるのではない。こういうことがわからぬ
のは、あらゆる感官がめくらであるか、ユダヤ的悪臭のクロロホルムで完全に麻酔にかかっているに相
違ないのだ。世界はわれわれが使うためにこしらえたものではなく、動物はわれわれが使うための製品で
はない。こういう見解はユダヤ人の教会堂や哲学の講堂にまかせておけばよい。この二つは、べつに本
質的に大差はないのである。これに反し上述の認識は、動物を正しく取り扱うための規則をわれわれに
手渡してくれる。狂信的にいきまく連中や坊主どもに対して、この問題ではあまり反対しないようにわ
たしは勧告する。というのは、この場合、真理だけではなく、道徳までもわれわれの味方についている
からである。
鉄道がもたらした最大の恩恵は、そのおかげで何百万の輓き馬が苦役を免れたことだ。――
省9
223: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:28 ID:??? AAS
ユダヤ的悪臭のためにその頭が朦朧となっていない人、倒錯した考え方をもっていない人ならば、だ
れにでもおのずからわかる真理、端的に確実な真理が、あらゆるユダヤ的神話や坊主どもの威嚇をしり
めにして、いいかげんヨーロッパでも認められるべきであり、これ以上握りつぶされるようなことがあっ
てはならない。それは動物が、主要な点で、本質的に、われわれとまったく同一なものであり、その差
はたんに知性の度合い、すなわち頭脳の活動にあるだけだということだ。もちろん知性の程度は、動物
の種の異なるに応じて非常なひらきがあるけれども、この真理を認めることによって、もっと人間らし
い取り扱いを動物たちにあたえることができよう。というのは、あの単純であらゆる疑問をこえた真理
が民衆にしみわたったときになってはじめて、動物たちはもはや権利をもたないものとして放置された
り、粗暴な悪童どもの意地悪い気まぐれや残忍性の犠牲になったりすることもなくなるからである。
――そして今日行なわれているように、あらゆる藪医者どもが、自分の無知からくる冒険的気まぐれ
省9
224: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)15:28 ID:??? AAS
犬について: 犬を鎖につなぐことの残虐さについて。人間のこの唯一真実な仲間、最も忠実な友、Fr.キュ
ヴィエのことばで言えば、かつて人間が獲得したなかでもいちばんだいじなこの腹心、しかも最高にものわ
かりがよく感受性も鋭敏なこの生き物を、まるで犯罪者のように鎖につなぐとは! つながれた犬は朝から
晩まで、自由と運動にあこがれるばかり。その切なる願いもかなえられることなく、その一生は緩慢な拷問
と化すのだ! こうした残虐さのために、はては犬も犬の本性を失って、かわいげのない、野性むきだし
の、忠実さの欠いた畜生となり、また人間という悪魔にいつもおののいて、びくびくはいつくばる姿に変
わってしまうのである! このようなみじめな姿がもしわたしのせいであり、あけくれその歎きを見ていな
ければならないとしたら、むしろわたしは犬など飼うのをやめて、泥棒にあったほうがましだと思う。(あ
る貴族と彼の鎖につないだ犬については、第一五三節参照。)籠の鳥も恥ずかしいおろかな残虐行為だ。こ
んなものは禁止されるべきで、この場合も警察が人間性の代役をなすべきだろう。
省6
225: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)22:38 ID:??? AAS
AA省
226: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)22:39 ID:??? AAS
これに反し、狂気ではないかと疑われるだけでただちに、証人の陳述は無効になる。すなわちここに、精神が
健全かそれとも発狂しているかを判断する基準がある。わたしが、自分の記憶している出来事が実際に起こっ
たかどうかを疑うやいなや、わたしは自分自身に狂気の疑いをかけているのである。もっとも、それが単
なる夢でなかったかどうか自分に確信のない場合は別であるが。他人が、わたしが目撃者として語って
いる出来事の真実性を、わたしの言葉に嘘のないことを信じながら疑うならば、彼はわたしを気違いだ
と考えているのである。がんらい自分が捏造した事件をなんども繰り返して話すうちに、ついに自分自
身の言葉を信ずるようになれば、その人はほんらい、この一点ですでに狂っている。気違いにも、気の
きいた思いつきとか、ひとつひとつをとってみれば賢明な考えとかあるいは正確な判断さえ不可能でな
いことは認めてもよいが、過去の事件に関する彼の証言だけは認めるわけにはいくまい。周知のように釈
迦牟尼の伝記である『普曜経』には、釈迦生誕のおりに、全世界の病ある者はすべて癒え、盲たる
省8
227: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)22:39 ID:??? AAS
われわれの利害や誇り、あるいは願望をひどく害する事柄を考えるのが、われわれにとっていかにい
やなことであるか、こうしたことを自分自身の知性でいっそう厳密かつ真剣に調べてみようと決心す
ることがわれわれにとっていかに困難であるか、ところが無意識のうちにそこから飛びだすか、あるい
はこっそり逃げだすほうがわれわれにとっていかに容易であるか、またこれと逆に、愉快な事柄はまっ
たく自然にわれわれの心に浮かび、追い払えばまたしても忍び寄ってきて、そのためわれわれが数時間
もそのことを反芻することがある、などということを思い出せば、狂気の発生に関して正編で述べてお
いたことが、いっそうよく理解できるであろう。意志は、自分の心に染まぬことを知性によって照らし
だすことに抵抗するのであるが、この抵抗が、狂気が精神に襲いかかることのできる場所である。すな
わち、新しい出来事はどんないやな出来事でも、知性によって同化せられねばならないとしても、つま
り、その出来事のために、いっそう満足な事柄が、その事柄のいかんを問わず追いだされねばならない
省9
228: 幸ちゃん ◆5V9dS9MYZOAP [kotchian] 2020/06/14(日)22:39 ID:??? AAS
――こうして狂気が現われる。というのは、知性が意志の歓心を得るためにその本性を放棄したか
らである。人はいまや、ありもしないものを想像する。とはいえ、こうして生じた狂気が、いまは、忘
れがたい苦悩を忘却させるレーテの河となる。狂気こそ、苦悩を性とするもの、すなわち意志にたいす
る、最後の救治療であったのだ。
ついでながら、わたしの見解にたいする注目すべき証拠を、ここで述べよう。カルロ・ゴッツィは、
戯曲『トルコの怪物』第一幕・第二場で、忘却をもたらす魔法の飲料を飲んだひとりの人物を登場させ
ているが、この者の所作を見れば、まったく狂人同様である。
そこで以上述べたところに従って、なにか或る事柄をむりやり「自分の頭から叩きだす」ことが狂
気のもとである、と見ることができる。ところがこの「自分の頭から叩きだす」のは、なにか或る他の
事柄を「自分の頭のなかに押しこむ」ことによってのみ可能なのである。これより稀なのは、経過が逆
省10
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 6 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.160s