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ホモエロ小説を書くスレ一ページ目 (309レス)
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108: sweet [sage] 2008/01/03(木) 02:02:14 ID:bIqtO+Ob どこに行くんだよ、と俺は奴の背中に問いを投げた。 奴は俺の質問に答える事無く、淡々と歩みを前に進めている。 俺と奴は、空が白み始めた朝の河川敷を歩いていた。 奴の住処は河の近くで、徒歩でここまで来る事が出来るのである。 しかし、徒歩でお参り出来る神社など、俺には皆目見当も付かない。 土手の上の小道を歩きながら、奴はどこかを目指して歩き続けている。 奴の秘密の場所でもあるのだろうか。 俺は上下黒のジャージ。白いライン入りだ。 奴は白いシャツに、黒のロングコートを着ている。 それから、黒いマフラーだ。 もう少しちゃんとした格好の方が良かったかもしれない。 朝の空気は凍っている。 そう表現して良いくらいに凍て付いている。 白い息を吐きながら、俺は身震いして自分の両腕を摩った。 奴の背中を見る。 こんなクソ寒い中、奴と抱き合ったりしたらどんなに暖かいんだろう。 そんな妄想が俺の脳裏に浮かび上がる程、朝は寒い。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/108
109: sweet [sage] 2008/01/03(木) 02:15:42 ID:bIqtO+Ob 俺は奴の隣りに駆け寄る。 どうして奴はいつも俺の目の前を歩いているのだろう。 不思議な男だ。 人間が出来ていて生活力があり、かつ容姿端麗で、 女の好みを語りつつ、男の俺を抱く。 そして恋人が居ない。 今は俺が奴の恋人という事になるのだろうか。 良く分からなかった。 俺は確かにこの謎が謎を呼ぶ、俺より僅か身長が上の男に抱かれはしたが、 それと付き合うという事とは別な気もする。 今から考えれば、酒にも酔っていた訳だし。 奴の様子を伺うように、奴の方を見てみた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/109
110: sweet [sage] 2008/01/03(木) 03:14:39 ID:bIqtO+Ob 奴は俺の視線に気が付いて、俺を見る。 髪の毛は黒くて、襟足は短い。 黒が奴の白い肌を引き立てるようだが、朝の冷たい空気が、 奴の像をよりくっきりと鮮明にしているみたいだ。 顎に指を添え逡巡し、寒いのか、と聞いて来た。 それから奴自身のマフラーを首から逆に巻いて外し、 俺の首に巻く。 俺はどうするでも無く、されるがままになる。 黒いマフラーは奴自身の体温で暖められて暖かい。 そしてまた歩き出す。 目を点にして奴の背中を見た。 俺はその場に呆然と立ち、己の首に巻かれたマフラーを見る。 暖かい。 確かに暖かいんだが、そうじゃ無いんだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/110
111: sweet [sage] 2008/01/03(木) 03:28:03 ID:bIqtO+Ob 俺が聞きたいのは、口にしたかったのは、 俺が奴の恋人なのか否かという事だ。 なのにどうしてこうも奴は、 何も言わせなくする何か、に満ち溢れているのだろう。 それのせいで俺は、何も言う事が出来なくなる。 陳腐に表現すれば、胸の奥が苦しくなるのだ。 だから、ただ黙って奴の後ろを付いて行く事に決めた。 例え奴がこれからどこに行こうとも、俺は付いて行くのだ。 奴が前で、俺が後だ。 数歩分の何かなのだ。 首に巻かれたマフラーに、首を竦めるようにして顔を埋める。 アロマみたいな奴の香りが染み付いている。 どうする事も出来ない香りが、俺を満たしている。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/111
112: sweet [sage] 2008/01/03(木) 03:51:30 ID:bIqtO+Ob 着いたぞ、と奴が言った。 そこはこっちとあっちを繋いでいる橋だ。 河川の幅はそんなに広い訳では無く、 向こう岸とこっちでは大声を出せば会話出来る程度なのだが、 奴が目指していたのはここらしい。 初詣と橋は何の関係も無い。 俺は益々分からなくなった。 この橋に何か特別な意味でもあるのだろうか。 それとも奴にとってはそうなのだろうか。 橋の真ん中辺りに向かって行く奴の後ろを歩いて行きながら考える。 そろそろだな、と奴が言った。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/112
113: sweet [sage] 2008/01/03(木) 04:34:19 ID:ebilruLn 何が、と聞く前に、橋の中腹に辿り付いた俺の横から照らし出すように、 眩しい光が輝いた。 見ると、空が地平線の辺りから赤、紫、黄色、青の順にグラデーションになっている。 そしてオレンジ色の、真っ赤に焼けた太陽が、 地平線の向こうからもったいぶる様に、 ゆらゆらと這い上がってくる。 夜明けのまさにその瞬間。 明けましておめでとう。 右隣に立って夕日を眺めるように、橋の手摺に凭れ掛かっていた奴が、 微笑を浮かべて俺にキスをする。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/113
114: sweet [sage] 2008/01/03(木) 05:10:41 ID:ebilruLn 咄嗟の事で、俺は目を閉じる事が出来なかった。 だが、奴を目の前に感じながら俺はゆっくりと目を閉じる。 唇と唇が重なり合って数秒、静かに離れる。 俺も手摺に凭れながら、 初詣じゃねーじゃん、と唇を尖らせて見せた。 初日の出も初詣も大して変わらないだろ。 奴の言葉には何故か説得力がある。 隣りで太陽に向かって、頭を下げたり手を叩いたり。 俺はみかんを押し潰したみたいな朝日に向かって、 適当にパンパン、と両手を二度合わせた。 そうじゃないだろ、と奴が俺の後ろに回り、 二度頭を下げるんだよ、ほら。と指示を出した。 仕方なく俺は太陽に向かって二度頭を下げる。 それから奴は、後ろから囲うように俺の手を取り、 二回手を叩かせた。 ニ礼二拍一礼って言うだろ。お前、恥掻くぞ。 真後ろで奴が笑ったのが分かった。 耳に生暖かい息が掛かったので。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/114
115: sweet [sage] 2008/01/03(木) 05:20:08 ID:ebilruLn それからこう、と、奴は俺の腹を抱えるようにしながら 身体を前に倒す。 俺は手摺に両手を付いて、体が前に倒れそうになるのを支えつつ、 奴の上半身に押されて自然と頭を下げる格好になる。 わざとやってんのか、この馬鹿。 奴の生暖かな息が俺の耳朶に掛かり、上半身が後ろから抱き寄せられて、 下半身はと言えば、ぴったりと押し付けられている。 俺は自分の中から熱いものが湧き出るような感覚に襲われて、 動けなくなった。 いや、動けない、の間違いだ。 じっとりと、こめかみに脂汗が浮かぶのが分かる。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/115
116: sweet [sage] 2008/01/03(木) 05:36:47 ID:ebilruLn やめろ、と俺はようやく口を開いた。 何が、と奴はしれっとして答える。 言葉を発した際の息が俺の耳に掛かる。 離れろ、と漸く言いたい言葉が喉の奥から絞り出される。 二礼二拍一礼、ちゃんと理解したか。 奴の一言一言が、近くにあるせいで、やたら大きく聞こえる。 低い声が耳元で、大音量で響くのはどうにも落ち着かない。 俺は寒さから来る生理現象以外で、体が震えそうになるのを押えながら、 ごく冷静に、分かったから、と伝える。 それで漸く奴は俺から離れた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/116
117: sweet [sage] 2008/01/03(木) 06:07:44 ID:ebilruLn 奴が俺から離れると、身体を翻し、奴を睨む。 軽く驚いているような奴に対して、 自分の首に巻かれているマフラーを素早く外し、 奴の首に引っ掛けるようにすると自分の方へ引き寄せる。 ほぼ強制的に唇を重ねる。 してやったりだ。 奴が思わず手摺に両手を付くのが分かる。 いや、やられたのは俺の方か。 囲まれてしまっている。奴の両腕に。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/117
118: sweet [sage] 2008/01/03(木) 06:33:38 ID:ebilruLn 俺は唇を離した。 それから、お互いどちらからとも無く身体を抱き締め合って、キスする。 こんな朝早い時間だから、誰にも見られてないはずだ。 いやむしろ、外だからこんなに体が熱いのかもしれない。 刺す様な空気の中で、寒空の下、俺は奴の体温だけを感じている。 唇から、吐息から、身体から、腕から、足から、全身で。 さっきの軽い口付けとは違う、濃厚なキス。 熱い。 寒い。 熱くて寒い。 寒さのせいで研ぎ澄まされた感覚が、全神経が奴との行為に集中する。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/118
119: sweet [sage] 2008/01/03(木) 07:01:08 ID:ebilruLn 奴の右腕が俺を抱き寄せる。 左手は手摺に付いて身体を支えてるらしかった。 中で舌を絡ませる。 時々、卑猥な音が聞こえる。 俺は奴の脇の下から両腕を入れ、抱き締めてキスに夢中になっている。 奴を強く求めている。 奴も俺を求めている。 互いの体温が体の狭間に篭って暖かい。 ずっとこのままでいたい。 このままでいたくない。 気持ちが容赦無く、左右に揺れている。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/119
120: sweet [sage] 2008/01/03(木) 07:10:51 ID:ebilruLn 俺は自分の求めるままに、盛り上がった股間を奴に押し付ける。 身体を強く抱き締める。 奴も俺の尻を撫でさするようにして股間を押し付けてくる。 俺の腰が壁に当たったせいで、強く押し付けられている。 ヤバイ。 こんなところで逝きたくない。 直ぐにでも逝ってしまいたい。 重なりあった上半身から、どくどくと心臓の鼓動が伝わって来る。 奴にも伝わっているのだろうか。 いや、隠しようが無い。 俺の吐息も、瞳も、唇も、心臓の鼓動も体温も股間も何もかも、 奴から逃れられない。 全部奴に捕らえられてしまっている。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/120
121: sweet [sage] 2008/01/03(木) 07:44:04 ID:ebilruLn そのうち、ぽつ、と俺の髪の毛に何かが空から落ちて来たのを感じた。 でも俺は気にしない。 気にする余裕も無いのだ。 それからまたぽつ、と俺の手にひやっとしたものが触れる。 今度は頬に。 流石に奴も気が付いたか、俺の頬を生暖かな舌でねっとりと舐め上げる。 エロい。 どうして奴はこんなにもエロなのか。 普段落ち着いていてセックスは激しいなんて、 益々反則じみた男だ。 まもなくして空から水を並々張った金手洗を引っ繰り返したみたいに、 そろそろと雨が降って来た。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/121
122: sweet [sage] 2008/01/04(金) 04:53:56 ID:gwwhMTFE 始め細やかだった雨粒は、やがて強さを増し量を増し、 抱き締め合ってキスに夢中になっている俺たちの頭上に降り掛かる。 激しい雨では無く、静かな雨。 寒い日の午後に長く降るような雨だ。 髪の毛に降り掛かった水滴を始めは弾き返していたのだが、 やがて湿り顔を伝ってくる程になる。 奴の首に掛かったままのマフラーも、霧吹きを掛けられたみたいになっていたのが 沁みた水のせいで、徐々に重さを増していくようだ。 コートが、頬が、服が、ズボンが、凍える寒さの中で 冷たさを増していく。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/122
123: sweet [sage] 2008/01/04(金) 05:02:21 ID:gwwhMTFE 俺たちの重ねられた唇の間にも水滴が滴り落ちてくる。 そのせいで俺は気を取られ、唇を離す。 吐いた息が今朝以上に白い。 どうやら神様は俺たちの関係が憎いらしい。 いや、それとも禁断を犯して快楽を貪ることにお怒りなのか。 顔に付いた邪魔な水滴を上から手の平で拭うと、 ぼやけていた目の前がハッキリして、奴の首元が視界に入る。 あの綺麗な首筋に水滴が滴り、下に着ていたカッターシャツの 襟が今はもう、濃い色に変色してしまっている。 それから胸、腹と雨は沁み、べったり奴の身体に張り付いている。 俺は奴の胸元に手を添えながら、自分の二の腕を摩り、 生理的に身体を震わせた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/123
124: sweet [sage] 2008/01/04(金) 05:17:43 ID:gwwhMTFE 奴は俺の様子を見ながら、傘、持ってくれば良かったな、と呟いた。 しかしそれでも俺の震えは治まらない。 見兼ねたのか、奴はコートを脱いで俺の肩に包む様にして掛け、 抱き締めながら、俺のせいだな、ごめん、と謝った。 謝る事なんか、何も無いのに。 奴と一緒に日の出を見られたこと。日の出を見せてくれたこと。 それは何ものにも変え難い、幸福な出来事なのに。 俺はジャージの上着を脱いでそれを奴の頭に掛ける様にする。 多少は水滴を弾いてくれるはずだ。 それから奴を抱き寄せるようにして、 体と体をしっかりと重ね合わせる。 こうしてれば暖かいから、と俺は囁き返す。 暖かい息が言葉と共に外に漏れ出す。 奴も俺の身体を、両腕で包み込むようにして抱き締め返す。 俺は自ら唇を重ね合わせる。 人肌の温もりがそこにある。 いつも以上に奴の体が熱い。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/124
125: sweet [sage] 2008/01/04(金) 05:36:15 ID:gwwhMTFE 奴のシャツも、俺の白いTシャツもじっとり濡れているのが分かる。 体の外側、末端の方から熱が奪われていく。 凍えるような寒さの中、俺たちの身体が冷えていく。 しかしだからこそ、今目の前にある熱が欲しい。 奴の熱と身体を求めるようにして、きつく身体を抱き締める。 それは奴も同様だ。 やがて奴は腰を動かし出した。 半分ほど勃起した性器が、濡れた布越しに擦り合わされる。 熱い。 外はこんなに寒いのに、身体はこんなに冷たいのに、 どうして熱いのだろう。 俺は思わず、奴の名前を囁きながらも喘いでしまう。 しっかりと上半身を合わせながら、蠢く身体と下半身だけが、 寒さの中に取り残されてしまった、たった二つの熱と熱。 そしてそれらは、今、一つになろうとしているのだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/125
126: sweet [sage] 2008/01/04(金) 05:43:43 ID:gwwhMTFE 俺も自ら腰を動かしながら、暖かな奴自身に、 自分を擦り付ける。 暖めあう身体が熱い。 脳内が熱に浮かされているみたいだ。 身体に張り付いた布越しに、奴の身体が分かる。 ハァ、と白い息を吐き出す。 すると奴の生暖かな息も、俺の耳に掛かる。 どうしてこんな事になってしまったのだろう。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/126
127: sweet [sage] 2008/01/04(金) 05:57:27 ID:gwwhMTFE 雨の中抱き締め合ってキスをして、 誰かに見られるかもしれない状況の中、 雨に濡れそぼりながら興奮しているのだ。 俺は変態だろうか。 寒さが奴の熱を求めさせる。 快楽と欲望が奴の身体を求める。 どっちがどっちだか分からないが、 どうしようもないのだ。 俺は凍えそうな寒さの中では、奴の熱を求めざるをえない。 こんな風にご丁寧に据え膳まで用意されて、 腰を振られたのでは快楽を求めずにはいられない。 俺は奴を求める運命の中にあるのだ。 そして、それは神でさえも、 俺たちの間に入り込んで邪魔をする隙など無いのである。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1198588773/127
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