[過去ログ] あずまんが大王のエロいのないんかねぇ (1001レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
928(2): でっちあげ 02/07/13 01:00 ID:8FKaskdZ(1) AAS
「……ちよちゃん」
消えそうな呟きを漏らす長身の女性に、
ちよちゃんと呼ばれた少女は右目だけをちらりと向けた。
清潔感を微塵とも感じさせない埃とシミに四方を囲まれた個室は、
まるで、二人を閉じ込める為の檻のようだった。
「……撃たれたって、どういうことだっ!?」
ほ乳類の解剖実習を明日に控えていた榊がそれを知ったのは、
石原動物病院の院長に相談を持ちかけた時だ。
首を絞めかねない勢いで組み付く榊の腕をそのままに、石原は続ける。
「ちよちゃんは………運が……悪かったんじゃ」と。
ちよちゃん――榊にとって大切な友達でもある小さな同級生は、
既に日本にはいない。
単身アメリカに留学し、今もどこかの大学で元気にやっているはずだった。
少なくとも、ちよちゃんからの手紙を幾度となく受け取っていた榊には、
それが現実であり全てなのだ。
だが、雪の降りしきる異国の大地を一人踏み締めて、小さな街の総合病院に
辿り着けば、希望なんてどこにも無いことを悟るのに十分だった。
ちよちゃんは―――いた。
ギャングの抗争に巻き込まれ、跳弾した悪意に右側頭部を撃ち抜かれながらも、
奇跡は彼女を殺さなかった。
まるで運命がそうさせたように、ちよちゃんは存在し続けてくれた。
「……ちよちゃん」
榊の声に、幼い少女の右目が揺れる。
麻痺した全身と自立呼吸の行えない口からは、もはや何もくみ取れなかった。
ただ、唯一意志らしき残骸を発する右目だけが、泣き出した榊をじっと見ていた。
たまらず合成素材の床に榊が崩れると、視界には鉄格子のはまった窓が覗く。
涙を介して見る外の雪は、薄汚れた部屋とは対照的に世界を白で生め尽くしていた。
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 73 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.158s*