ファイアーエムブレム＆ティアサガ第9章

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839:  [sage] 04/06/07 00:10 ID:l2vScfzw

「ねぇホームズ、ここ座ってもいい？」
その声に顔を上げると、ニコニコと笑顔を浮かべた
嬉しそうなサーシャがこちらを覗き込んでいた。
何が楽しくてそんなに笑っているのかを理解することもできなければ、
まだ幼さの残ったその爛漫な笑顔を自分に向ける理由もわからない。
「ダメだ」
彼女と出会った当初の頃はこう一言放てば泣きそうな顔で引き下がったものの、
今では怯む様子すら見せない。
「どうして？」
人懐っこい大きな瞳で顔を近づけてくるサーシャから目を反らすようにホームズは顔を伏せた。
海の匂いがしみこんだ癖毛の金髪を面倒くさそうにガシガシと掻きながら口を開く。
「いいかサーシャ、俺は疲れているんだ。まだ誰も知らない秘宝を手に入れるための旅のはずが、
　気がつけば船にはお前を始めガキばっかりだ。
　毎日毎日そのガキどものお守をしなけりゃなんねぇ俺の気持ちを察して休憩時ぐらいはゆっくりさせてくれ」
「あら、私はお守をしてなんて頼んでないわ。自分の身は自分で守れるもの」
細い腕を曲げて微々たる力こぶをつくって見せるサーシャに、
ホームズは力ない視線を投げる。
「馬鹿野郎、万が一怪我なんかさせたら俺を信頼してお前を預けてったリュナンに合わせる顔がねぇんだよ。
頼むから俺の目の届かないところでモンスターなんかとやりあうなよ」
あくまで保護者を気取り続けるホームズにサーシャも頬をぷうっと膨らませて不満の意を表す。
「ホームズはいつになったら私を子供扱いしなくなるの？
　私なら平気よ、ちゃんと自分のことは自分で責任取れるわ」
「へぇ、じゃあお前は俺の助けなしでも自分の身体は自分で守れるっていうんだな？」
「当たり前じゃない、もう子供じゃないんだから」
「本当だな？ どんな敵でも自分に害を成すモンには剣を振れるってんだな、お前は？」
「う、うん」
「じゃあ俺に化けたモンスターがお前に襲いかかってきても斬れるんだな？」
「だ、大丈夫……」
「いきなり後ろから羽交い締めにされて、その場で身ぐるみ剥がされたとしても自分の身は守れるな？」
「……ご、護身術もちょっとはできるもの、平気……」
「じゃあ試してやる。お前がどれだけできるか、ここで」

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