[過去ログ] 【ふたりはブラクラ】ブラックラグーン vol.2 (980レス)
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403: 2005/07/07(木)17:49 ID:Q36IiWWA(2/5) AAS
「よう、兄ちゃん兄ちゃん。」
その声が自分に向けられている事に気付いたのは、そう呼ばれて数秒経ってからだった。
「…。」
油の切れた機械のような緩慢さで、ロックは首を声のする方向へ曲げる。
道端に軒を連ねる露天商の屋台。
その中の一つで、アラブ系の男が手招きしている。この道に店を構える商人の一人であろう。
「…何だい。」
「あんたも大変だな、いつもあんなアバズレに引っ張りまわされて。」
「別にいつもって訳じゃないさ。」
「そうかね。俺がアンタを見るときは、いつも死にそうな顔であの女の尻を追っかけてるんだが。」
「…用がないなら行かせてもらうよ。」
「あー、ちょっと待ちな兄ちゃん。」
再び歩を進めようとするロックを引きとめ、男は小さな薬包紙の包みを取り出す。
「そんな頑張ってる兄ちゃんに、俺からのささやかなプレゼントだ。」
「…何それ。」
「そんなうさんくさそうな目で見るなって。あやしいクスリじゃねぇよ。コイツは…そう、いわば『酒の調味料』だ。」
「聞いたこともないな。」
「とにかく、これを酒に混ぜてあの女に飲ませてみな。一発でご機嫌になるからよ。」
「…気持ちだけ頂いとくよ。」
「遠慮するのはよくねぇな。ほれ、持ってけ持ってけ。」
男はロックの意向を無視し、彼の胸ポケットにその包みを押し込む。両手を荷物に塞がれたロックにそれを止める術はない。
「おい、ちょっと…!」
「ローック!手前これ以上時間かけやがるならマジで殺すぞっ?!」
「ほれ、あのおっかない女が呼んでるぜ。」
男はぽん、とロックの肩を叩く。
「使うか使わないかはあんたの好きにすりゃいい。じゃ、神のご加護を。」
「…ありがとうよ。」
露骨に疑わしそうな口調で男に礼を言い、ロックはその屋台から離れた。
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