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ウィザードリイのエロパロ2 (452レス)
ウィザードリイのエロパロ2 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/
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83: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:21:14 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・5> 「──あら、こんなところに、美女二人」 闇の中から声が掛かった。 戦慄して振り向くと、輝く鎧に身を固めた六人の女が悠然とあらわれるところだった。 その成熟しきった美貌を見知っていることよりも、この距離になるまで、 自分に微塵の物音も気配を感じさせずに近づいていたことに、アイリアンは戦慄を覚えた。 「<バラの貴婦人>!?」 「然り。貴女は、どなたでしたかしら?」 超然とした様子で微笑んだ貴族に、女忍者は答えを与えなかった。 身をよじって飛び下がりながら、短剣を投げつける。 「──遅い!」 <貴婦人>の一人、クネグナンダ公爵婦人がそれを弾き飛ばす。 優雅な抜刀の動きは一見緩やかにも思えたが、その実、女忍者の飛燕のごとき一撃を上回るスピードだ。 技量の差──強いものは、ただそれだけで美しい。それを具現する女だ。 「──!」 呪文を唱えようとしたオーレリアスが声にならないうめき声をたてて崩れ落ちた。 疾風のごとく飛び込んだダイアナ公爵婦人が剣の柄でみぞおちを突いて気絶させたからだ。 空中でそれを見て取りながら、アイリアンはどうすることもできなかった。 着地地点に、神速の動きでクネグナンダが追ってきたからだ。 「安心しなさい、殺しはしないわ」 冷たく見下しながら、公爵婦人は鞘のまま<オーディンソード>を振るった。 側頭部に正確な一撃を受けて、アイリアンは倒れた。 「──何事だ!?」 女忍者の朦朧とする頭に、おっとり刀で駆けつけた雷電たちの声が遠く聞こえた。 (馬鹿、逃げろ。お前たちのかなう相手じゃない──) そう言おうとしたが、アイリアンの舌は石のように重かった。 <雷電攻撃隊>の虐殺が始まる前に女忍者が失神したのは、神の慈悲だったのかもしれない。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/83
84: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:22:02 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・6> 目覚めると、そこは牢獄だった。 石壁はどこかで見覚えがある。おそらくは、地下迷宮のどこかの階層だろう。 アイリアンは、痛む頭に手を伸ばそうと思ったが、手かせをはめられていることに気付いてあきらめた。 「オーレリアス……?」 視界の端に女エルフが石床に倒れているのが見える。 「ん…アイリアン……?」 女エルフは長い時間をかけてしびれきった身体を動かし、半身を起こした。 「ここは…?」 「どうやら囚われたらしい」 「そうだ…ジー君は!?」 オーレリアスは小さく叫んだ。アイリアンは答えることができなかった。 雷電たちが<バラの貴婦人>たちと戦闘になったのはわかっている。そして、その結果も。 40LVオーバーのロード6人と、たかだかマスターレベルになりたての4人の冒険者とでは比べ物にならない。 オーレリアスの頭脳ならば、たとえ先に昏倒していても容易に推測できる事実だ。 しかし、女エルフは、質問を繰り返すことで、その結論を避けた。 「ジー君は…ジー君は、無事だよね? ね?」 「──あなたの恋人も、死んだと思う…」 反対側の暗がりから、沈んだ声が上がった。 「誰!?」 女エルフは、聞きたくない真実を提示した声の主をにらみつけた。 「侯爵令嬢!?」 女忍者は驚きの声を上げた。職業柄リルガミンの要人の顔はほとんど知っている。 ミッチェルは、憔悴しきった顔を上げた。 少女の、その痛ましい表情にも侵されぬ美貌に、二人の冒険者は言葉を失った。 侯爵令嬢は、ほんの短期間に女として急速に成長したようだった。 しかしそれは不幸きわまりない、強制された精神的成長だった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/84
85: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:22:33 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・7> 「……トレボー王が、復活!?」 ミッチェルの説明に、アイリアンは絶句した。 たしかに、それならば辻褄があう。 リルガミンの支配者の一角である<バラの貴婦人>の突然の凶行も、侯爵令嬢であるミッチェルの誘拐も。 だが、百年前の王の復活は、にわかに信じられるものではなかった。 「……残念だけど、本当よ。私は、あの人に……犯されたもの」 表情と言うものが全くない、仮面のような美貌が、淡々とその言葉を吐いた。 <狂王>の閨に入っても自我を失わなかった少女は、しかし人としての感情は失ったかのようだった。 アイリアンはわずかに目を伏せた。 ミッチェルは、ひと目で最高級品とわかる純白のドレスを着ていた。──上半身だけ。 下半身は、アイリアンと同じく素裸だった。むき出しの小さな尻に、どす黒い血の跡がこびりついている。 おそらくは、性器ではなく肛門を犯されたのだ。地獄からよみがえった魔人に。 「──あら、三人ともお目覚め?」 牢屋の入り口で涼やかな声が上がった。 <貴婦人>の一人、クネグナンダ公爵婦人が楽しそうな笑みを浮かべてこちらを見ていた。 「──よく眠れたよ」 アイリアンは挑発的な視線を向けたが、公爵婦人は取り合わなかった。 地べたをはいずる虫に、王侯貴族が抱く感情はひとつ──侮蔑だけだ。 「ミッチェル、お尻の傷、癒してあげましょうか?」 女忍者を無視し、少女にむかってくすくすと笑いながら問いかける。 「結構。こんな痛み、物の数ではないわ」 「あら、元気なこと。アリソンを殺されて泣きじゃくっていた昨日とは大違いね」 一瞬、少女の瞳に光が戻った。激しい動揺とともに。 だがミッチェルは二、三度深呼吸をすることで、受けた衝撃を精神から切り離すことに成功した。 「……昨日の私と、違うから」 淡々とした、しかし血を吐くような言葉に、一瞬、公爵婦人さえ声を失った。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/85
86: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:23:11 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・8> しかし根っからのサディストの婦人は、気を取り直すと追及を再開した。 「そうね、貴女は<狂王>陛下のご寵愛を受けたのだもの。ね、どうだった。陛下のあの<サックス>は?」 恐怖と苦痛の表情を浮かべるかと思いきや、ミッチェルは無表情を貫いた。 「別に──」 「強情な娘……。でも、たいしたものよ、貴女。陛下のあの<サックス>で肛門を貫かれた女の大半は狂死したわ。 <ペリカン騎士団>の娘たちも五人のうち三人が使い物にならなくなっちゃった。 ワンダも言っていたけど、貴女、本当に<狂王>の花嫁になれる素質があるのかも」 少女は無言で公爵婦人を睨んだ。 「まあ、今の陛下は復讐のことで頭がいっぱいだから、正式に妻を娶ることはしないでしょうね」 性器による通常の性交の事をさしているのだろうか。もっとも半陰陽の美女の通常性交とは何を指すのか。 公爵婦人はくすくすと笑った。 「おかげで、女に関しては生娘をそろえなくても済んで大助かりよ。冒険者の女でもそれなりの顔立ちと後ろの孔があれば とりあえずは可ですもの。──どんな美少年もいらないという男狩りとは大違い」 クネグナンダの侮蔑の視線が、「冒険者の女」二人に注がれる。 自分たちが魔人の肛腔性交の奴隷に捧げられるのは時間の問題ということに気付き、オーレリアスが青ざめる。 「ジー君……」 消え入りそうな声でつぶやく女エルフを、ミッチェルはガラス玉のような目で見つめた。 「ふふふ、女に関しては<狂王>陛下はけっこう寛大よ。過去に恋人がいた女でもご寵愛なされる。 ──ただし、その恋人は死んでいることが条件だけどね。貴女たちは、その点、合格」 「……いやああーっっ!」 公爵婦人の言葉の意味を悟り、女エルフが絶叫した。 クネグナンダは期待通りの反応を楽しみ、笑い声を上げて去っていった。 オーレリアスの号泣がこだまする牢獄の中で、アイリアンは唇をかみ締めた。 ぎゅっと目をつぶる。 ──なぜか侍の顔が浮かんだ。 ──なぜか、涙が一筋こぼれた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/86
87: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:26:43 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・9> 「……こ……なら、蘇生……そう」 「………二人は?」 「捨てお……性根の髄まで腐っ……」 「では、……のほうだけ…」 遠くで、声が聞こえる。突然、闇の中に落ちた。脳を直接探られるような感触。 「……わ……は、こちらが…い」 「そん………は…ですか?」 再び闇が全てを包んだ。 「──気がついたかい?」 雷電が起き上がると、太っちょの司祭がこちらを振り向いた。 「スティルガー?」侍は驚きの声を上げた。 「昨日の夜から胸騒ぎがして迷宮にもぐってみたらこの様子だ。リルガミン市内の混乱も大変なものだけど、 根っこはこっち、この迷宮の中にあると見た──その通りみたいだ」 いつもながら、この司教の洞察力はすさまじい。 「ジンスはもう起きているよ」ダジャが声をかけた。その後ろで、ハンサムな大男が悄然として突っ立っていた。 「あとの二人は──すまない。ディを失敗した」 スティルガーがうつむいた。司教である彼は、最高位の僧侶呪文の習得にはいたっていない。 「……そうか。それは仕方のないことだ」雷電は立ち上がり、刀を拾った。 <バラの貴婦人>の襲撃は一方的な虐殺だった。雷電以下四名はたやすく切り殺され、そのうちの二名は生き返ることができなかった。 死ぬ直前の光景を思い出しながら帯に刀を差す。愛用の兜を探したが、鬼面は見事に粉砕されていた。まあいい。 淡々と身支度を整える雷電に、スティルガーが声をかける。 「雷電……、どこへ行くんだ?」 「<貴婦人>を追う」 無謀な宣言に、一同は凍りついた。 「無茶を言うな。五体満足でもかなわなかった相手だぞ」 すでにジンスから様子を聞きだしていた司教が顔色を変えた。 「そうだな」中立の侍は、無表情で頷いた。 「だが、──行く」その声は無限の決意をもって響いた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/87
88: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:27:15 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・10> 「──世話になった。生きて戻れば、必ず恩は返す」 雷電は淡々と言い、飄然と身を翻した。──迷宮の奥へ。 「俺も、行く。オーレリアスを取り戻す」 ジンスが決然とその後姿を追った。 「──待ちなさいよ!」 ダジャがその背中に声をかける。 「あんたら二人で何ができるというの!?」 当然の質問に、男たちは答えない。 さらに当然の質問と、その答えに身を焼いているからだ。 (自分の女がさらわれた。──助けに行くのか?) 女盗賊はため息をついた。夫のほうを見る。 スティルガーは頷き、侍と戦士を早足で追った。 「待ちなよ。──僕らも行く」 雷電は立ち止まった。 「そこまでしてもらう必要はない。──生きて帰れぬ戦いだ」 「戦う必要はないんじゃないかな? アイリアンとオーレリアスを奪い返して逃げる。それだけでいいだろ?」 あくまで冷静な司教の指摘に、中立の侍は絶句した。 「君たちは、<貴婦人>に復讐したいわけじゃないんだろ。一番肝心なことは二人を取り戻したい、ちがうかい?」 「そう……だが…」 「なら、もっと頭を使わなくちゃ。囚われているところは、警備が甘いかもしれないし、 <貴婦人>たちは別のところに行ってしまっているかもしれない。 二人を助けるのに、命を捨てて<貴婦人>に挑まなくてもいい可能性は高い」 死地に赴く二人に、まるっきり別の概念と希望が与えられた。 「でも、そのためには、優秀な作戦参謀と、腕のいい盗賊が必要ね。スティルガーとあたしで、どう?」 ダジャがいたずらっぽく笑った。 「アイリアンとの口喧嘩は、いつか決着を着けなきゃならないから、殺されたりしたら困るのよ」 ──かくて侍、戦士、司教、盗賊の四人の新しいパーティが結成された。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/88
89: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:28:09 ID:YDoon8lB <TO MAKE THE LAST BATTLE 〜 地下4階・11> ──少年は身を起こした。 睾丸を潰されて即死したはずの記憶を呼び起こして小首を傾げたが、右手にはまっている指輪を見て納得した。 侯爵家の跡取りの証明。──家宝の魔法の指輪は、回復の能力を持っている。 指輪がなければ、ショックで破れた心臓はすぐに蘇生不可能に陥ったであったろうが、 傷ついた瞬間から回復を始めたために、熟練のロードが見切った瀕死の状態からも生還することができたのだ。 世界中の貴重な魔品を収集することに熱心だった偉大なご先祖様に守られた──喜びなどない。 唇をかみ締め、アリソンは立ち上がった。 廃墟と化した一角を幽鬼のようにさまよい、自分の館にたどりつく。 生き残った使用人たちがまとわりつくのを、幻のように払いのける。 目的は、地下──先祖代々に伝わる家宝を収めた宝物庫だ。 「──坊ちゃま!?」 宝物庫からでてきたアリソンを見て、執事が目を丸くした。 侯爵家の当主とその後継者にしか立ち入りを許されぬ場所から戻った少年は、完全武装に身を包んでいた。 黄金の鎧、銀の剣、黒銀色の盾。そしていくつもの武器と武具と魔品。 その一つ一つが荘園を買い取れるほどの価値があり、――そして一個小隊の戦力に匹敵する。 リルガミンでもっとも裕福な貴族の、もっとも価値のある宝。 アリソンは惜しげもなくそれを身に付けていた。 腕の差は、装備でカバーする。騎士として褒められたものではなかったが、なりふりなど構っていられなかった。 「そんな格好で、どこへ?」 質問しながら執事はその答えを知っていた。男がこんな格好で行く場所はただひとつ──戦場だ。 「ミッチェルが、さらわれたんだ。助けに行く。──トレボー王と戦う羽目になっても」 アリソンは唇を引き結んだ。 執事は引退したマスターレベルのロードだ。老いたとはいえ、アリソンごときを引き戻すのは児戯に等しい。 それが、道を空けた。 「──ご武運を。生きて戻られたら、この私めが騎士位をお授けしましょう」 アリソンは頷いてその前を通りすぎた。 地下迷宮へ。──婚約者を救いに。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/89
90: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/18(水) 23:31:52 ID:YDoon8lB 難産でしたー。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/90
91: 名無しさん@ピンキー [sage] 2005/05/19(木) 00:41:30 ID:cV/CbXjo >>90 乙です。 もう続きが楽しみで楽しみで仕方ありません。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/91
92: 名無しさん@ピンキー [sage] 2005/05/19(木) 21:18:18 ID:h7hHd+JR ……よく読んでみたらアイリアンは褌美女でごぜえますか!? 締めてるのは越中ですか!?締め込みですか!?9尺ですか!? http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/92
93: 名無しさん@ピンキー [] 2005/05/20(金) 23:59:01 ID:eRM9Nxsu 前スレのと併せて保管庫作りたいがスキルがない…… 保管庫の神降臨きぼん。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/93
94: [sage] 2005/05/23(月) 07:03:46 ID:DmJFQre+ >>90 いつもいつもいつもありがとうございます。 のんびりきらくにどうぞ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/94
95: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:27:56 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・1> ワードナは久々の自由を満喫していた。 魔女は買い物がある、と朝起きてすぐに出かけて行った。──素晴らしい一日! こんな日は、どこかに出かけるよりも、小部屋に引きこもって自分の研究に没頭するに限る。 大魔術師は研究こそがもっともふさわしい仕事。一日中、こうるさい妻のおしゃべりにつきあうなど、とんでもない苦行だ。 幸い、この階層は居心地のいい小部屋が多く、昨晩泊まったこの場所も十分に簡易研究室となる。 魔道書を読もうとして、ワードナはふとテーブルの上にある本に目を留めた。 自分のものではない。──魔女のものだ。 なんとなく興味を引かれて手にとってみる。 『月刊魔女之友』 ──数多くある魔女向けの雑誌の中でも、最古のものだ。 創刊号は、戦前……神代戦争以前。一説には、編集長はこの世で最初に結婚した魔女であるとも言う。 創刊以来、頑迷なまでに既婚魔女向けの記事だけを載せ続ける保守的な雑誌だが、 競争が激しい魔道出版業界にあって『ウイッチ・ティーン』『マジカルプリンセス』『クィーン・オブ・サバト』などの大手が この地味な雑誌に対してだけは決して営業戦争を仕掛けないのは、単に読者層の違いではない。 ──<アレクサンドリア大図書館>が謎の消失を遂げたのは、 大手にそそのかされた館長がこの雑誌の定期購読の中止を決定した翌日のことだったし、 天の雷によって破壊された<バビロンの塔>の最上階には「魔女之友」に対して悪質な営業妨害を仕掛け続けた出版社があった。 噂では、魔女の中で実力者を上から百人リストアップすると、その八割がこの雑誌の愛読者だとも言う。 ―中身は、どうということはない。 ・今晩のおかず 〜春の迷宮食材を使ったお手軽料理〜 ・娘の非行防止について 2歳児からの魔女教育 ・妖虫エキスで簡単免疫力アップ! ・夫を見張るオススメ使い魔百選 ・セックスレスからの脱出 ―300年目の奇跡 ぱらぱらとめくったページが「精飲ノスゝメ―精液の滋養分で夫の体調をチェック」であったので、 ワードナはあわてて別のページをめくった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/95
96: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:28:23 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・2> ──しおりが挟んである。 <マダムPの相談室> 連載コーナーであるらしい。それほど分厚くない雑誌で六頁も紙面を割いているのだから人気なのだろう。 読者からの質問を受け付け、<マダムP>なる人物が回答やアドバイスを与えるものだが、 斜め読みをしていたワードナは、目を光らせた。 質問のほうは、愚にもつかぬ内容のものが多いが、回答のほうは理路整然として的確だ。 二つほど魔道に関する質問があったが、ワードナがちょっと居住まいを正して読み直すほどのものだった。 (これほどの知識を持った女魔術師……何者だ?) ワードナとて、この世の魔術師・魔女の全てを知るわけではない。 現にソーンのことを知ってはいたが、その<本体>である最強の魔女のことは全く知らなかった。 だが、ある程度の実力者ならば、たいていは名を聞いたことがある。 <相談室>を読み終え、ぱらぱらと頁をめくったワードナの手が最後のほうで止まった。 今月の執筆者紹介。 魔法の技巧を惜しげもなく使った肖像画は、精緻極まりないものだった。 もちろんわざと簡単な略画や、使い魔の絵を代用している執筆者もいたが、<マダムP>は本人の肖像画を使っている。 年のころはわからない──魔女ならば当たり前だ。 だが、黒の直い髪と儚げな憂い顔は、おそろしく美しかった。 視覚的な情報を得て、ワードナは再び<マダムP>に関して記憶を探った。 これほどの実力と美貌を持った魔女、どこかでワードナの情報網に触れている確率は高い。 腕組みをして考え始めたとき、魔女が帰ってきた。 「あら、<魔女之友>……」 夫の前にある本を見て、妻はちょっと目を丸くした。 彼女の配偶者がこの手のものに興味を示すのは珍しい。 ──良い傾向だ。夫婦間のつながりは男女の差異を良く知ることから始まる。共通の話題は多いほうが良い。 魔女はにっこりと笑い、ワードナは動揺して咳払いをした。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/96
97: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:29:02 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・3> 「何をご覧になられているのですか?」 興味津々の口調で魔女は開いたページを覗き込んだ。 「いや、この<マダムP>とやらがな……」 つい返事をしてしまってから、しまった、と臍をかんだ。 彼の妻は、夫が自分以外の女に関心を寄せる事をまったく好まない。 ましてや、魔女には及ばないとはいえ、これほどの美女ならば。 悪の大魔術師は、局地的な雷が起こるのを予想した。着雷予想点は自分の頭の上だ。 ──しかし意外なことに、魔女は大きく頷いた。だけでなく、同好の士よ、とばかりに微笑みかけた。 「ああ、ポレ卿の奥方ですわね。あのコーナーは殿方が読んでも面白いでしょう? 私も大ファンですの。このあいだ、お手紙を送ったくらい!」 ワードナの顎が、かくん、と落ちた。 「……ポ、ポ、ポレというと、あのポレか?──これが、あやつの奥方!?」 大魔術師ポレ。知らぬ相手ではない。 魔力はわしの足元にも及ばぬくせに大魔術師を名乗るとは片腹痛いが、まあそれなりの実力者ではある。 しかし、あやつはその魔術の腕よりも、稀代の恐妻家としてのほうが有名だ。 あの男の裕福な奥方は、華麗な衣装をまとい、鞭を振るう若くて驕慢な美女ということは、 ル・ケブレスの迷宮を知るものならば、誰もが承知の事実だ。 ──ポレが、彼女に虐待され続けていることも。 ワードナは、思わず、信じられない言葉を吐いた自分の配偶者の口元を見た。 唖然とした表情で<魔女之友>と魔女の顔を交互に見比べるワードナの心のうちを、魔女は一瞬で悟ったらしい。 驚異的な夫への観察能力だ。そんなものは無いほうがいいのに。 「──殿方はものを見る眼が曇っています。あの方は、もともとそういう方なのです」 どういう方だ、と反射的に言いそうになってワードナは言葉を飲み込んだ。 魔女はちょっとため息をついて、ワードナの横に座った。 「少し、お話ししましょうか。ポレ卿の奥方のこと──」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/97
98: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:29:32 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・4> 鞭が鳴った。 痩せた──と言うよりも骸骨に等しい肩口に容赦なく打ち下ろされる。 「間抜けめ、また冒険者に出し抜かれたのかい?」 痛みよりも、罵倒の声の鋭さに、大魔術師はよろめいた。 床に這いつくばって妻からの第二撃を受ける。それだけでは済まず、続けざまに第三撃、第四撃もきた。 「何回倒されれば気が済むんだい、このど阿呆め!」 <リッチ>を思わす骸骨姿の大魔術師は鞭を受けては惨めに身体を震わせた。 ひとしきり懲罰を与えてから、女──ポレの奥方は豪奢なドレスに包まれた足を片方上げた。 へたり込んでうずくまっているポレの肩にその足を乗せ、思い切り踏みにじる。 生ける骸骨は苦痛の悲鳴を上げた。 「このどうしようもない、無能者が!」 針のように細いヒールに体重を乗せて踏みにじると、ポレの薄いローブに穴が開いた。 血ではない、なにか奇怪な液体がにじみ出てくるのを見て、奥方は眉をひそめて足を離した。 真紅の衣装が華麗に翻る。 「ふん、汚らわしい。──なによ、その顔?」 ポレは震える肩越しに、上目遣いで妻を見ていた。骸骨の落ち窪んだ眼窩の光を見て、奥方は嘲笑した。 「鞭打たれて、足蹴にされて、欲情したのかい。──このマゾ男!」 図星を指されて、ポレはびくっと身を震わせた。 この痩せ衰えた大魔術師がサディストの奥方から離れられない理由はただ一つ。 彼が重度の被虐性を持っているからだった。 侮蔑以外のどんな色も見せない瞳で、夫を見下ろしながら、奥方は吐き捨てるように言った。 「さあ、いつものように自分でしてごらん、この薄汚い骸骨が」 許可の言葉に、ポレの目(と言っても骨のうろだが)が輝いた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/98
99: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:30:10 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・5> ポレは、自分のローブの下腹部をまさぐった。 欲情のあまり、むき出しの歯がかたかたと卑しげに震える。奥方は心底嫌そうな顔をした。 骸骨は、そこだけはひどく生々しい男の器官を取り出した。 上目遣いで自分の妻を見つめながら、男根を激しくこすり出す。 「あっはは、そこだけは分不相応に立派だわねぇ、自慰にしか使わないくせに」 奥方は朱絹のドレスに包まれた右腕を振るった。 鞭が繊細極まりないしなりを見せて、ポレの男根を叩いた。 「ギャッ!」 骸骨は、はじめて声を上げた。しかし自慰の手は止まることなく、かえってその激しさを増した。 「あははは、この馬鹿!」 奥方は頭巾に差し込んだ、紫の長い飾り布をひらひらと宙に舞わせながら鞭を躍らせた。 ポレはそのたびに耳障りな悲鳴を上げた。 やがて──。 うめき声とともに奇怪な骸骨は射精を始めた。 干からびた体のどこに蓄えていたのか、若く健康な男の精液のように、それは濃く、勢いもあった。 射精の瞬間、ポレは、それを自分の妻の足元に放った。 あわよくば、奥方の真っ赤な靴にかけようとして。 だが、彼の妻はそんなことはお見通しだった。軽やかにステップを踏んで夫の精液を避ける。 「私の靴に汚い汁をひっかけようとしたね──この身の程知らず」 罵倒の言葉とともに、鞭の一撃がポレの顔を容赦なくはたいた。 奥方は、足を上げた。埃だらけの床にむなしく飛び散った夫の精液を踏みにじる。 「あはは、ゴミを踏んづけるよりも気持ち悪いよ!」 「──うううっ!」 ポレはうめき声を上げて、心臓──のあるべき場所を押さえた。 苦痛と屈辱に耐えかねた魔法の器官が異常を覚えたのだ。 骸骨は泡を吹いて倒れこみ、動かなくなった。 その後頭部を、奥方は冷徹に踏みにじる。頚骨が砕ける音が石床に木霊した。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/99
100: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:31:02 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・6> ──検査薬の反応は全て上々だった。 経年劣化した幾つかの「骨」の取替えと、循環液の交換も済んでいる。この辺は手馴れたものだ。 だが、いつになってもなれない。万が一の失敗を恐れ、おびえるのは、最初の一回目から変わらない。 全ての処置を終えて、黒髪の美女は寝台の上を覗き込んだ。 夫は、安らかな寝息を立てている。処置は成功したようだ。 ほっとした奥方は、思わずかがみこんでポレの唇にキスをした。 干からびた唇と、半ば露出した歯の硬い感触が彼女の心を暖める。 思わず口付けを求めた自分のはしたなさに気が付き、黒髪の美女は少女のように赤面した。 儚げな美貌が、羞恥の色に染まる。 まるで処女のような反応だったが、恋をしている女は、皆そんなものなのだ。 そして、彼女──ポレの奥方は、いつでも夫に恋をしている。 ただし、処女と違い、成熟した既婚女性である奥方は、キスより先の行為にも習熟していた。 寝台に横たわる夫の表情を伺い、目覚める兆候がないのを見て取ると、寝台の下手のほうへ移動する。 おずおずと、しかし、震えることなく、白い繊手が伸びて、ポレのローブの裾を優しく捲り上げた。 夫の愛しい器官は、力なくうなだれていた。 奥方はそれを宝物を扱うように──実際夫は彼女の宝物だ──両手で包み込んだ。 白磁のような顔を近づけ、頬ずりする。 そぉっと息を吹きかけ、優しく両手でこすり始めると、持ち主の意思とは別個の生き物のごとく、それは目覚め始めた。 みるみる硬度を増してそそり立つ男根を、奥方は潤んだ瞳でうっとりと見つめた。 十分に見つめ、なじみの体臭を嗅いだの後、奥方は唇を近づけた。 先刻の華麗な装いとは違い、紅の一はけも差さない薄桃色の唇は、しかし化粧したそれよりもはるかに魅力的だった。 夫の先端を咥えた。 楚々とした美貌に似合わず、奥方の奉仕は情熱的で執拗だった。 夫と一番多く閨をともにした女は自分だ。だから、どんな女よりも夫に快楽を与えられるのは自分だ。 物事に執着しそうにない美女が、全霊をかけてみせる執心は、美しくも淫らだった。 やがて、──ポレはうめき声を上げて目を覚ました。 その瞬間、骸骨は自分の妻の口の中に大量の精液を射精した。 奥方はつつましげな所作で、それを全て飲み込んだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/100
101: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:31:47 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・7> 「何をしている……!?」 ポレはすばやく起き上がると、奥方を突き飛ばした。 「あっ」 よろめいた奥方は床に崩れ落ちたが、怪我はなかった。 <裕福な奥方の寝室>は毛足の長い絨毯が敷き詰められ、グラスを落としても割れることがない。 「……なぜまた蘇らせた……。なぜ、あの快楽の中で我に滅びを与えぬのだ……」 ポレのことばに、床に這いつくばる奥方は、うつむいたまま答えなかった。 真性のマゾであるポレにとって、サディストの女にののしられ、蔑まれるのは至高の快楽だった。 だからこそ、彼女は派手で豪奢な衣装と化粧を身を纏い、驕慢な女を演じて彼をいたぶり続けるのだ。 そしてポレの最大の望みは、完璧な女──屈辱と苦痛にまみれながら彼の奥方に滅ぼされることだった。 だが、奥方は、決してその望みだけはかなえることはない。 彼女にとって、この世でただ一つ必要な物は夫であったから。 それ以外の夫の望みをかなえるためならば、彼女はどんなことにでも耐えられる。 本来の自分とは全く別人の姿を取り、決して望まぬ行為を続け、愛する夫を虐げる──。 彼女はその苦痛と心労を、夫への愛ゆえに耐え続けることができる女だった。 いずれも譲らぬマゾヒスト同士が結婚してしまったのだ。その関係は歪まざるをえない。 ポレは、返答をせぬ奥方に舌うちをして部屋を出て行った。 おそらくは、またワイン部屋に隠れるに違いない。──妻に虐げられて倉庫に逃げ込む情けない自分を演出するために。 ……遠くでポレの不機嫌そうな怒鳴り声が起きたのは、書斎を掃除したのをみつけられたからだろう。 ポレは、妻が自分に気を使うそぶりを見せるのを病的にまで嫌う。 だが、あそこまで埃とゴミにうずもれた書斎は丁寧な掃除が必要だった。 骸骨とはいえ、あんなに不衛生な場所で研究を続けるのは好ましくない。 夫の意向に逆らうのは身を切られるほど申し訳ないが、そうしたことも妻の役目だった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/101
102: ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 2005/05/31(火) 23:33:33 ID:zFg8ExRg <マダムPの憂鬱・8> (でも──) ポレの後姿が去ったの後も、戸口を恋情に潤んだ瞳で見上げながら、奥方は心の呟きを繰り返さずに入られなかった。 (でも、私は、幸せ。──あの方の妻なのですもの) 今日はキスもできた。 夫の体の気になっていた箇所の治療も行えた。 久しぶりに夫の男根に触れたし、精液を飲みさえもした。 考えてみれば、ずいぶんと贅沢な一日だった。 (この間は、世界一の魔女様からもファンレターをいただいたし、最近、幸せすぎて怖いくらい……) 奥方はにっこり笑って立ち上がった。 新しい冒険者がきたら、またあの装束に着替えて鞭を振るわねばならない。 ──でも、まあ夫の望みだ。いくらだって耐えられる。 ワードナは身震いした。 奇妙な夫婦愛を語り終えた魔女は、目元にハンカチを当てて、ちょっとぐすぐすしている。 まずい状態になった。 これ以上あの変態夫婦の話を聞かされるのもげんなりだったし、 かといって少し気持ちが高ぶっている妻にうかつなことを言って愛やら恋やらの話題に突入するのも御免だ。 悪の大魔術師は、無難な話題を探した。幸い、それはすぐ見つかった。 「ところで、貴様、何を買いに行ってたのだ?」 賢明な質問──ではなかった。 夫が自分に関心を持ったことに魔女はぱっと顔を輝かせ、いそいそと紙袋からなにかの油の充たされた瓶を取りだした。 「これ……は?」 「あら、まだ巻末特集はご覧になられていなかったのですか?」 ワードナは<月刊魔女之友>の最後の四頁をめくって青ざめた。 「──今月号の巻末特集は、<たまには良人に大サービス! 入門! 前立腺マッサージ!>ですわ。 ちょうど、お勧めの魔法油も手に入りましたことですし……」 魔女は白く細い指をわきわきと楽しそうに動かした。その笑顔にワードナはおびえきった表情になった。 ……数分後、迷宮の片隅で男の悲鳴と快楽のあえぎ声が木霊した。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114358381/102
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