[過去ログ] 戦隊シリーズ総合カップルスレ 3 (1001レス)
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809: 恋一夜 8 2006/09/09(土)02:29 ID:osPUkgsQ(9/12) AAS
 ――着ておいてくれ。取り敢えず君もサージェスの人間として同行したことにする――
 ――…ピンク、ですか――
 ――何か問題でも?――
 ピンクなんてもう何年も着ていない。しかも随分と濃い色だ。けれどその時のチーフは
それがさも当然と言わんばかりの横顔を私に向けていて、私は「いいえ」と
かぶりを振るよりほかなかった。
 目的地に着いたチーフは案内に従って車を駐車場に入れ、ドアのロックを
解除した。助手席から降りてジャケットを着た私を見、チーフは唇をほころばせて言った。
 ――頼りにしてるぞ、西堀さくら――
 私の背中にぽんと手を置き、チーフは邸内へ入っていく。呆気に取られて
その場に立ち尽くした私は、我に帰ると慌ててチーフのあとを追った。
 意識してのことではないと判っていた。けれど誇張でも何でもなく、文字通り
心臓が鷲掴まれたような感覚に私は包まれた。
 何故この人はこんなにも、私の欲することばを的確に投げかけてくるのだろう。
 この人には、敵わない――そう、思った。

 結局私はチーフの誘いを受け、ボウケンジャーの一員となった。
 チーフの下でサブチーフとしての任に就いてからと言うもの、毎日が驚きの
連続だった。中でも私を驚かすのは上司であるチーフ自身だった。普段は冷静沈着で
判断力に優れた人なのに、ひとたび冒険が絡むと目の色が変わる。少年のような眼差しで
自分だけの宝を追い求めるチーフは、上司としてプレシャス回収に赴く際のチーフと
同一人物とは思えなかった。
 けれど、そんなチーフにいつしか私は心を許し始めていた。
 求められなければ与えられないなんて、自分の心が貧しい証拠かもしれない。でも、
譬えそれが仕事上のものであっても、私を「私」として欲してくれたことが私の心を
揺さぶったのは事実で、だからこそチーフに対する信頼や尊敬が芽生えたのだ。蒼太くんが
加わったことで私達はより「チーム」として動くようになり、その中でチーフへの感情は
次第に大きくなっていった。
 それでも、あの秋の日がなければきっと、私の中に恋愛感情が生まれることはなかっただろう。
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