[過去ログ] とある魔術の禁書目録 5フラグ目 (991レス)
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968: 3/4 2007/10/09(火)00:05 ID:yMPUxR2l(4/5) AAS
「ふうん。そう、じゃあ、おにーちゃん、彼女いないんだ、ふーん」

 ぐさり。

 しっかりしろ上条、致命傷ではないっ!
「お、乙姫さん? 確かにカミジョーさんに彼女はいませんが、そうもはっきりお言いあそばされる
ことでは無くってよ? お、おほほ」
 その言葉に、相当なダメージを受けたという風の上条が、胸を押さえ引きつった顔で乙姫に答
える。しかし、そんな上条の表情にも言葉の裏にも気が付かないのか無視しているのか、乙姫が
繋いだ言葉は、
「良かった!」
 満面の笑顔である。力強すぎる追撃――上条も『彼女いない』を猛烈に喜ばれて、がっくりと肩
を落とした。突き出した腕がへなへなと落ちる。
 が、ここでも乙姫は言葉を途切れさせない。
「だって――」
 隣に座る乙姫が、顔を上条に身体ごと向けながら両手を合わせて微笑む。
 海では例の事件で顔も見ていない従妹であり、顔を見るのは記憶喪失の上条にとっては先日
が初めてだったのだが、改めて見ると結構可愛い。その微笑みに、少しだけ顔が火照った。
 が、それも従妹の少女のこの言葉を聞くまでだった。
「おにーちゃんが、ちゃんと約束覚えててくれた証拠だよねっ」
「へ?」
 猛烈に悪い予感がした。

「やくそ…く?」
 見れば、目の前の少女は瞳をキラキラと輝かせつつ上条を見つめている。上条の額や背中に、
再び脂汗がダラダラと流れだした。
 重ねて言うが、上条当麻は記憶喪失である。
 どうも、かなり親しい親戚付き合いをしているらしいこの少女とその家族のことも、海で少々今
回もう少々といった程度に知っただけで、この従妹との想い出はおろか過去の自分が何を聞い
たあるいは言ったのか、という情報の欠片すらその脳内に残ってはいない。
 まさかと思いつつ、『違うよやだなー』という回答を期待して、声を絞り出した。

「えと、あれは小さい頃のまあ、そのなんだアレだろ? お、お嫁さんってのはさ」
 ビンゴ。
 乙姫が上条の腕に縋り付く。
「やっぱりちゃんと憶えててくれたー! へへー、おにーちゃん大好きっ!」
 密着した従妹の少女の意外な柔らかさに、こう見えて純情少年な上条の心臓が跳ね上がった。
「お、うお、乙姫っ?」
「お父さんもね、『当麻君が高校を出たらおじさんところに挨拶に行こうな』って言ってくれてるの! でねでね、私こう見えてもお料理とか得意なんだよへっへーん! だからね、高校入ったら、お
にーちゃんの身の回りのお世話なら、もう私にお任せなんだよ? やーん、これって本人目の前
に予行演習? やーん照れちゃう照れちゃうおにーちゃんのばかーっ」
 自分の腕を押す、意外に豊かな感触にドギマギしていただけだった上条も、これを聞いて再度
引いていた脂汗が三たびダラダラと流れ出した。
 一体、ナニがどうなってこんな話に? 慌てて縋り付いている従妹の顔を見下ろす。
 幸せそうに上条の袖に顔を埋めていた乙姫は、その上条の視線に気が付くと、顔を真っ赤に
染めつつも満面の笑みを浮かべて、こんどは顔と顔を近づける。
「春には戻ってくるんだから、おにーちゃん、浮気しちゃだめなんだぞ?」
 その、従妹の嬉しそうな、それでいて照れているような何とも言えない表情に、上条も脂汗を垂
らしながらも頬が自然に綻んだ。
「そう、そうだな――」
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