[過去ログ] 【Wizardry】ウィザードリィのエロパロ7【総合】 (743レス)
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739: * みすぼらしいおとこ * 2008/07/14(月)22:49 ID:uWUXUj5Q(6/10) AAS
血迷った俺は縋る様な目で少女を見上げた。無言で殴りかかってきた男たちと
比べれば、ついさっきまで親しげに会話を交わしたこの少女の方が、まだしも
許しを請う相手としてマシな気がしたのだ。
「た……た、す、け、て、く……れ」
自尊心をかなぐり捨てて、同情を引けるようになるべく憐れっぽく言葉を絞り
出す。
「んー……」
ホビットの少女は小さく首をかしげた。額にかかった亜麻色の短い癖毛が、
それにつられてぴょこんと跳ねる。わざとらしい逡巡の演技。薔薇色の唇が開く。
「だ、め」
一音一音を区切るように、きっぱりと言い放つ。そしてひどく酷薄な笑みを
浮かべた。
「あはは、ごめんねえ? あたしらの手持ちだけじゃ、前衛の鎧揃えるのに、
ちょおっと足りなくてさあ。ま、命までは取らないから。運がなかったと思って
諦めてよ」
そう言ってころころと笑う少女。その笑い声と同時に、もたげた頭の側面を重い
一撃が襲う。ごすん。嫌な音がする。首がもげるのではないかというくらい勢い
よく、俺の頭が反対方向にふっ飛ぶ。そこで意識が途絶えた。
* * *
一攫千金を夢見てトレボーの城塞都市にやってきた。
意気揚々と訓練場に向かい登録を済ませる。それだけで冒険者の仲間入りをした
気分でいた。職業は盗賊。盗賊ならば戦わなくても済むと聞いたからだ。罠を
外したことも、錠前を開けたこともなかったが、まあ、手先の器用さには多少
自信はあった。
そして、仲間を募ろうと酒場に来たところで、目の醒めるような美少女に声を
かけられたのである。
「あたしらのパーティーに入らない?」
新品の革鎧に身を包んだホビットの少女。俺と同じく、城塞都市に来たての
新参者に見える。まあ最初の仲間だ。多くは望むまい。これも何かの縁という
思いと……多少の下心が、なかったといったら嘘になる。
馬鹿だった。どう見ても盗賊に見える少女が、同じ盗賊の俺に声をかけてきた
時点でおかしいと気付くべきだったのだ。盗賊が二人も必要なパーティーなんて
あるわけがない。
路地裏に連れて行かれ、少女の仲間たちにボロ雑巾のようにされ、意識を取り
戻した時には身包み剥がされていた。武器や防具を揃え、あるいは仲間を募るのに
使うべき虎の子の金貨が、一枚残らず奪い去られていた。
屈辱のあまり悔し涙が零れた。
絶望的な気分。腕っ節と頭の回転だけが物を言う冒険者の世界だ。騙された
間抜けが悪い。だが、あいつらは、どう見ても俺と同じ、まだ一度も地下に潜った
こともないような新参者だった。ただ俺よりほんの少しだけ早くこの街に辿り
着き、ほんの少しだけ先にこの街のルールを学んだに過ぎないではないか。そんな
奴らにカモにされた。顔の形が変わるほど殴られ、貴重な金貨を奪われたのである。
せめて一対一だったら。あいつらへのどす黒い怒りが湧き上がる。だが、ここで
躍起になってあいつらを探し出したところで、徒党を組んで武器を持った奴ら
相手に丸腰の俺一人では、返り討ちにされるのが関の山だ。
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