[過去ログ] 【Wizardry】ウィザードリィのエロパロ7【総合】 (743レス)
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740: * みすぼらしいおとこ * 2008/07/14(月)22:50 ID:uWUXUj5Q(7/10) AAS
そんなことよりもこれからどうするかを考えなくてはならない。
無一文で、どうやって装備を揃える?どうやって仲間を募る?それ以前に、
どうやってこの城塞都市で生きていく?
節々が痛む重い体を引き摺って、俺はとにかくも冒険者の宿に転がり込んだ。
登録を済ませた冒険者であることを証明する割符を見せて、馬小屋へと向かう。
今後どうするにせよ、こんなざまでは何もできはしない。痛みが引くまではどこか
で体を休めなければならなかった。
「割符があれば馬小屋にだけは無料で泊まれる」。訓練場でそれを聞いたときは、
馬小屋なんて誰が使うものかと思ったが、無一文の今となっては本当にありがた
かった。
馬など一頭もいはしないのに、畜舎に特有の不衛生な臭いが充満したそこは、
お世辞にも快適とは言いがたかったが、今は贅沢は言えなかった。
日も高い頃合であった。馬小屋なんて、他には野宿しかないような輩が、夜露を
しのぐためだけに利用する施設だ。まだ人はいるまいと思っていた。ところが、
何人かの先客が寝藁の上を占領していた。皆一様に陰鬱な表情を浮かべ、途方に
暮れている。その惨めな様子を見て、そいつらがどういう境遇の人間か、俺には
おおよそ察しがついた。つまり、俺同様『追い剥ぎ』にあった間抜けどもという
わけだろう。
俺は比較的新しい藁が盛られた一角に向かい、どうにか寝床を確保する。
すると、すぐ近くに腰を下ろしていた男が近寄ってきた。
「へ、へへへ……あ、あんたも『追い剥ぎ』にあったのかい?」
話しかけてきたのは頬に生々しい蒼痣を残した小男だった。
卑屈な態度で馴れ馴れしい笑みを向けてくる。それがマウザーとの出会いだった。
* * *
意気揚々と登録したところで同じ冒険者に襲われ、一文無し。どんな人間でも、
途方に暮れるところだ。なんの解決にならなくてもいいから、誰かと話をしたい。
同病相哀れむわけではないが、同じ目線で話せる人間が欲しい。情けないが、その
気持ちは俺にも痛いほどわかった。
だが、擦り寄ってくるマウザーに応じたのは、何も傷を舐めあうためだけではない。
無一文のこの状況を脱し、冒険者として再起を図るための腹案が、俺にはあった。
そのためにも仲間を集める必要があったのである。俺はまだ、冒険者になることを
諦めてはいなかった。
丸腰で地下に潜ろうというわけではない。武装は絶対に必要だ。だから、金が
ないならどこかから奪い取るしかない。そう、『奪い取る』のだ。あのホビット娘が
俺にしたように、俺も俺より遅れてくる新参連中をカモにして『追い剥ぎ』をする。
強者が弱者から奪うのがこの街の法だというのなら、俺もまたそのルールに従って、
奪われたものの埋め合わせをするだけの話だ。幸い、この城塞都市には食い詰めた
若者がいくらでも流れ込んでくる。俺自身がそうだったように。
そのためには仲間を集める必要がある。それも、俺と同じ境遇の人間が望ましい。
無一文の人間が他に相手にされるとは思えないというのもあるが、一度奪われた人間は
他人から奪うことも躊躇しないだろうと思えたからだ。
しかし、俺の提案にマウザーはひどく曖昧な顔を返すだけだった。
「俺には冒険者稼業は向いてなかったってことさ。……明日、訓練場に言って登録を
取消してもらおうと思ってるんだ」
登録を取消せば、保証金を払い戻してもらえる。それを旅銀の足しにして、
すごすごと故郷に逃げ帰るつもりなのだという。
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