[過去ログ] 【Wizardry】ウィザードリィのエロパロ7【総合】 (743レス)
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742: * みすぼらしいおとこ * 2008/07/14(月)22:50 ID:uWUXUj5Q(9/10) AAS
 いや、一箇所だけある。
 最低限の風雨がしのげて、どんな境遇の人間でも受け入れを拒まない場所が。
 馬小屋よりも不潔だが、金も資格もいらない。求められる代価は命の危険だけ。
街外れにぽっかりと穴を開けるワードナの地下迷宮。どこへも行けず、どうすることも
できず、俺とマウザーは半ば追い立てられるようにして、地下迷宮へ下りる階段を
踏みしめるはめになったのだった。

 * * *

「ひっ! ……グ、グレイよう。今なんか音がしなかったか?」

 後ろを歩くマウザーが情けない悲鳴をあげた。
 耳を澄ますと、遥か彼方で何かが這いずり回る音が聞こえた。
 俺は密かに舌打ちする。これくらい音が遠ければ当面危険はないはずだった。何か
物音がしただけでいちいちびくついていては、魑魅魍魎の跋扈するこの地下迷宮の
探索など覚束ない。……まったく、うだつのあがらない奴だ。

 地下迷宮に降り立った当初は、俺も何かささやかな変化――小さな物音や、影の
ゆらめきを知覚する度に肝を冷やしていた。ほんの3フィート先も見通せないような
重たい暗闇の中に、恐ろしい魔物が潜んでじっとこちらを伺っているのではないか……
そんな根拠のない恐怖を拭いきれなかった。
 だが、現実の化物との際どい接触を繰り返す中で、一つだけ学んだことがある。
確かに迷宮の闇は恐るべき襲撃者の姿を隠してしまうが、同時に、魔物たちからも、
獲物である俺たちの姿を覆い隠してくれる。直ぐ側で魔物の荒い息遣いを聞いても、
慌てず騒がずにじっと息を潜めさえすれば、上手くやり過ごすことができるのだ。
待ち伏せの危険がある玄室の扉を開ける時だけ、最大限の注意を払えばそれで足りる。
万一、魔物と遭遇してしまっても……こちらはハナから戦闘するつもりはないの
だから、一目散に逃げ出せばよいのだ。その心がけさえ徹底していれば、地下迷宮も
存外危険な場所ではない。
 泥水をすすり、闇に紛れるようにして地下をさまよい続けてもうどれくらい時間が
経過しただろう。迷宮の汚わいにもすっかり慣れた。本能的な恐怖を喚起する闇。
何かが腐ったようなすえた臭い。地虫の這い回る不快な音。五感を刺激するこうした
不快で不潔な要素にも、それが俺たちの気配を消し去ってくれているのだと思えば、
何か奇妙な安らぎさえ感じる。

 もっとも、出来うる限り早くこの状況を抜け出して、陽光の射すあの城塞都市の
街路に戻りたいという思いは、変わらない。当然だ。別にこの闇の世界の住人として
適応するために地下迷宮を徘徊しているわけではない。俺たちには目的があった。

 冒険者ではなくなり、街に滞在する資格を失った俺たちには、『追い剥ぎ』すら
ままならない。少なくとももう一度登録するための保証金の額くらいは用立てねば
なるまい。そのために思いついたのが、迷宮で力尽きた死者の装備を漁るということ
だった。
 この街に集まってくる『冒険者』の大半は、迷宮の探索の専門家でもなんでもない、
ついこの間まで剣の握り方も知らなかったようなただの食い詰め者に過ぎない。
 だから、武装を整えてパーティーを組み、意気揚々と地下に降り立って、ほんの
入り口近くでの最初の戦闘で命を落とす者も少なくないと聞く。そういう連中の死体
からうまく金目のものを回収することができれば、宿に泊まる金すらない今の状況を
脱却できるのではないか。そう、考えたのである。
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