[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第4夜 (656レス)
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624: 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:49 ID:IU72mTxh(3/8) AAS
「いったいイザヨイの目的は何なのか。この世に二つとない宝とは何を意味するか……」
雑誌の読者投稿欄には、彼女が求めているのは理想の恋人だとか高名な詩人の遺作だとかいろいろと推理が載せられている。
それらを斜め読みしていた少女の背後に、無作法に近寄る影。
「姉ちゃん、怪盗イザヨイに興味があるのかい?」
無防備な仕草で少女が振り向くと、背後には近寄られただけで威圧されそうないかつい男が立っていた。少女を姉ちゃんと呼んでいるが、どう見ても男の方が年も体重も倍以上はありそうだ。
「俺がいろいろ教えてやってもいいぜ?」
「ノーサンキューですよ、お兄さん」
「その可愛い顔に傷をつけられたくないだろう?」
省31
625: 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:51 ID:IU72mTxh(4/8) AAS
その日の晩――満月から一日だけ進んだ月夜、その欠落の生む暗闇を舞うように、黒く塗りつぶされた小型の風船が『月と約束した町』の上空を飛んでいた。
そして驚くべきことに、一人の少女までもその風船にぶら下がるように空を飛んでいた。
人間を支えられるようには見えない小型気球で夜闇を飛ぶのは、カフェで望月陽炎と名乗った少女だった。小さな気球で体を浮かべる姿は、陽炎という名の通りの幻影であるかのようだ。
彼女の着ている衣服は、カフェでの学生服からかなり様変わりしている。
東洋の着物に似たデザインながら、肩と腿でばっさりと切り落とされて健康的な手足を見せる黒衣。剥き出しの白い腕と足には同じく黒い布で作られたウォーマーが肘と膝を覆っている。
足につけているのも黒い足袋だった。腰に差した脇差サイズの直刀すらも黒で塗りつぶされている。
彼女を下から見上げる者がいたとしても、変わった形の雲か鳥としか思わないだろう。だがその姿を日本通の人間、あるいはアニメや漫画を趣味にするものが見たとすれば真っ先に『ニンジャ』、もっと詳しいものなら『クノイチ』を連想するはずだ。
決して卑猥でも扇情的でもなく、最終的な露出度で言えば決して高くはないが、剥き出しの二の腕や腿、帯で締められた腰、胸元を押し上げるふくらみはたいへんに刺激的だった。
黒い布を目元に巻いただけの簡素な覆面で顔を隠し、さらには長い布を首元にひるがえしてマフラーのように口元を隠しているが、美しい顔立ちのラインは隠しようがない。
カフェではいかにも落ち着き払った令嬢といった風情だったが、腰まで届く長い髪を後ろでまとめて流しているせいか、瑞々しい生気に満ちた様子だった。
省19
626: 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:52 ID:IU72mTxh(5/8) AAS
もちろん下調べは入念に行った。だが、屋上にべたりと伏せた黒犬は遠距離からでは発見のしようもなかった。
逆に言えば、それだけ静謐な待機を犬に科すほどこの館の主人は優れた調教師であるといえる。
とっさに陽炎は気球を操って上昇し、犬の跳躍でも飛び付けない高度へと退避する。
だが、次の瞬間、先頭の犬がばっとうずくまり、二頭目の犬が一頭目の背中を踏んで真上に飛ぶや、三頭目の犬が二頭目の背中をさらに踏み台にして高く跳躍した。
まるで犬の組体操、あるいは戦隊ヒーローの合体技。さらに例えるならば、踏み台にする動作を取り入れたジェットストリームアタックと呼ぶべきか。
犬の常識をはるかに超えた大ジャンプを見せた黒犬は、流星のように気球へと迫った。がうっと開いた口に鋭い牙が並ぶ。
安全だと思っていた場所に飛びつかれた陽炎はなすすべとてなく、恐怖で体をすくませた。
「ひっ!」
思わず悲鳴をあげてしまった少女ではなく、その体を支える気球を犬の牙は引き裂いた。流星のごとく飛び去った犬の口元には渋い笑みが浮かんでいた。
「あ……」
省21
627: 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:53 ID:IU72mTxh(6/8) AAS
『かかれ!』
陽炎の動作に危険を感じた調教師が指令を下し、十数匹の犬が一斉に陽炎に跳びかかった。
犬たちはまず陽炎の髪を咥えて地面に引きずり倒すと、その手と言わず足と言わずいたるところにかぶりついた。
だが、次の瞬間、犬たちは自分がくわえているのが少女ではなく少女の残したマフラーだけであるということに気付いた。そして、マフラーから転がり出たお手玉から噴き上がる無臭の催眠ガスをまともに嗅いで、次々にその場に昏倒した。
「あなたたちが見たのは水面に映る月。どれほど手を伸ばしても天の月には触れられない」
包囲を脱した地点で、陽炎は静かに解説した。いわゆる空蝉の術の亜種と言おうか、マフラーを自分に見せかけて犬たちを引き付けたのだ。
彼女を包囲していた十数匹の犬たちはすべて昏倒し、唯一無事だった調教師のスピーカーを付けた犬と怪盗十六夜は向かい合った。
『見事な手並みだ。君はいい雌犬になれるだろう』
「あなたなりの褒め言葉だとしても、素直に受け取れません」
省14
628: 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:55 ID:IU72mTxh(7/8) AAS
「……! まさか、唯がそこにいるの?」
陽炎の顔がこわばる。世界に二つとない宝、怪盗十六夜の目的、それがあると調教師は言った。
『世にも素晴らしい日本の雌犬だ。だが一頭ではさびしそうなのでね。君が仲間に加わってくれたら彼女もさぞ喜ぶだろう』
「唯を……犬呼ばわりするなッ!」
始めて感情をあらわにして、陽炎は激昂をそのままに叫んだ。
『私にとっては最大級の賛辞なのだが……これ以上どう褒めればいいか見当もつかないほどに』
省12
629(2): 怪盗十六夜 2009/03/27(金)16:56 ID:IU72mTxh(8/8) AAS
……くのいちスレよりもこっちであってますよね?
自分にはあまり深い設定を作る力量がないのでオーソドックスにくのいちですが、一応いろいろ書いておきます。
・望月陽炎 17歳 身長164cm B85/W54/H82
怪盗十六夜として『月と約束した町』を騒がせている少女。容姿は優美にして可憐そのもの。
勉強でも運動でも、さらには芸術に至るまで、ほとんど努力もなく高いレベルに達している天才。ただしその分努力による伸びしろが少ないため、本気で努力をしている人間にはいずれ負けるのではないかと常に不安に思っている。
彼女の生まれた望月家は「欠けた月の闇に潜む」と恐れられた十六夜忍者一族の末裔。
ただし、十六夜一族は江戸時代の半ばあたりで忍者を廃業し、その後は「もはや満月に影はいらぬ」ということで望月と改名してしまっている。
陽炎の家族も、自分の先祖が忍者だったなんてことは知らない一般人。
しかし十六夜一族の忍術を書き記した書物が古い倉の片隅に残っており、子供のころにそれを見つけた陽炎は、『面白そうだから』というそれだけの理屈で自主トレーニングを始め、高校生の半ばまでに天賦の才覚でいくつかの忍術を習得している。
しかし血筋と天才だよりの忍術には努力と修練による裏付けがなく、せいぜいがパーティーで余興に使える程度である。
省7
630: 2009/03/27(金)18:44 ID:AfBWfVvi(1) AAS
まったくもって問題なし。むしろウェルカム
631: 2009/03/27(金)23:46 ID:aC3myOLW(1) AAS
おおおおおおおおおおおお
GJです
632: 2009/03/28(土)01:09 ID:sdmvidLY(1) AAS
ヒャッハー!新作ktkr
633: 2009/03/28(土)03:11 ID:DlBU6nJc(1) AAS
新作キター!
そういえば魔法や科学を使う怪盗はいるけど忍者型はいなかったな…これは期待。
痛い目に関しては、グロやエロに差し支えるレベルでなければ問題ないかと。
634: 2009/03/28(土)11:03 ID:v4/mATBp(1) AAS
GJ!
続きが楽しみだ
635: 2009/03/31(火)07:09 ID:JU2Gpk5+(1) AAS
>>629
エロ尋問OK
636: 2009/03/31(火)22:38 ID:ju58vTSS(1) AAS
敏腕女刑事野上冴子が怪盗キャッツアイの長女・来生泪を捕らえてレズ拷問
637: 2009/04/01(水)10:09 ID:QyrlbigK(1) AAS
>>629
うおーっGJ!
なんか久々の対決モノのような気がして期待が高まるな
クノイチってのはポイント高い
好きに書いて欲しいです苦痛描写バチコイ!
638: 2009/04/07(火)17:50 ID:frCTrcoO(1) AAS
続きマダー?
639: 2009/04/08(水)00:57 ID:hBPqQAU9(1) AAS
書き手様は本業に必死なんです><
640: 2009/04/08(水)08:37 ID:kZEgxQzF(1) AAS
怪盗も普段は女子高生だったりアイドルだったり教師だったり人妻だったりするからねw
641: 38 ◆KHEtQ2j5Nc 2009/04/08(水)19:21 ID:Y2ubrIYi(1/10) AAS
その人妻怪盗がぐちゃぐちゃにされる(と、言っても今回は触り程度だが)話書けましたw
では、次より投下します。
642: 恋するキャットシーフFinal〜猫は、もう一度〜第8話 2009/04/08(水)19:23 ID:Y2ubrIYi(2/10) AAS
「……よい、しょっと……」
高橋邸の塀の上に上ると、里緒はふぅ、と1つ溜息を吐く。
そして、里緒はそのまま高橋邸を睨み付けた。
「ここに、渚緒が……」
そう呟くと、里緒は塀から身を躍らせる。
そして、音も無く着地すると、身体を確かめるように軽く手足をぶらつかせ、呟いた。
「……うん、身体もまだなまってないみたいだし……、行ける、かな?」
省16
643: 恋するキャットシーフFinal〜猫は、もう一度〜第8話 2009/04/08(水)19:23 ID:Y2ubrIYi(3/10) AAS
一方、その頃。
「……入って来ましたぜ、お嬢!」
「そう、それならただ待ってれば向こうから勝手に入ってくるわね。……猫の終焉地に」
そう、部下からの報告を聞いてにやり、と笑う絢音。
……しかし。
「おねーたん、あそおー!」
「……あーもう! 少しは静かにしなさい!」
「きゃははっ、きゃはははっ♪」
……にこにこと本当に楽しそうに笑う渚緒に纏わり付かれていたらさっぱり決まらなくて。
たまらず絢音は渚緒に向かって怒鳴り付けるが、渚緒はそれでも楽しそうに笑っていて。
省18
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