[過去ログ] パワポケでエロパロ17 (792レス)
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95: ◆Freege5emM 2010/10/14(木)03:19 ID:yO8VxLTf(2/9) AAS
「……って、おい。いきなりノックもせずに開けるなよ!」
「いいじゃないですかー、どうせ自分は、キミの体のことは隅々まで承知してます。
だいたい、これから腹に手を突っ込まれて中身を弄繰り回される人間が、そんなこと気にしてちゃいけませんって」
「気にするよ! 寺岡さんならともかく、こんなところ他人に見られたら大騒ぎだろうが!」
「その点はだいじょうぶです。自分の研究室は危険地帯扱いですから。立入禁止の紙切れ一枚で、誰も近付かなくなります」
ドアを閉めると、薫は悪びれた様子も無く、小波の隣に座った。腕には真新しいサイボーグのパーツが抱えられている。
彼の人工皮膚に手を触れた瞬間から、彼女の目つきが変わる。
うきうきしていた子供のようなそれが、厳しい自戒を背負う科学者のものへと変わっていた。
野球どころか、トンネル工事やボディガードさえこなす彼の身体は、ある意味人間の肉体よりも丈夫である。
それでも彼女は、デリケートな実験器具や精密機械を扱うよりも慎重に、彼の身体に触れていく。
程なくして、彼女のパーツ取り付け作業は終わった。
「今回のパーツのコンセプトは、単純な燃費の向上です。12月に、野球大会がありましたよね。
それまでに、どうしてもキミの役に立つものが作りたかったんです。
でも自分は、あまり野球について詳しくありません。急激に野球が上手くなるパーツは無理でした。
だから代わりに、自分の専門分野……エネルギー工学の今までの成果を、そのパーツひとつに集積しました。
キミの身体のエネルギー効率は、今までの約2倍に向上した筈です」
「2倍……2倍ってあっさり言うけど、それって、実はすごいことじゃないのか」
「……えへへ。伊達に研究費ねだってた訳じゃないですよー。おまけもあるんですが、それはまた後で。
先に、今取り付けたこのパーツの最終テストを行いましょう。稼動状態に異常はありませんか」
小波の隣に座り直した薫が、真剣そのものの眼差しで彼の顔を見上げる。
彼女の声に合わせて、反射的に彼は顔を向けた。下縁の無いハーフリムの眼鏡越しに、息のかかりそうな距離で視線がぶつかった。
疾うの昔に失くしてしまったはずの心臓が、脈打つ幻覚がした。かろうじて残っていた脳が、記憶の洞から呼び出したのか。
先ほど外で感じた匂いが、電子工学の粋を凝らした嗅覚受容器から、電気信号となって知覚される。
彼はそれが、生々しくも懐かしく思われた。生身の肉体を持っていないことを、忘れてしまうほどに。
薫の手が小波の頬に触れた。素人目には、人間のそれと見分けのつかない人工皮膚。
しかし血管が通っていないからか、血色が変わる事は無く、また体温も無い。触れた指先から、彼女の体温を奪っていく。
薫はそのまま、もう片方の手を彼の膝上に添えた。長椅子の人工皮革と、彼女の白衣が擦れる音がした。
かすかな機械の稼動音しかしない静かな研究室で、彼女はくちびるを重ねようとした。
がくん、と体勢が崩れるのを薫は感じた。長椅子の脚が小さく軋みを上げる。
一瞬の後、彼女の身体は、小波の腕に抱き止められていた。前歯に軽い痺れが残っていた。
「……かっこ悪いですね。初めてなせいか、失敗しちゃいましたよ」
「中腰なんて、そんな無理な体勢じゃ失敗するに決まってるだろ。血出てないか?」
「えぐい鉄の味がしますね。でも、これはキミの味ですよ」
薫は顔を赤くしてはにかむと、小波の肩に腕を回した。
彼女の上気した熱が、機械の体に広がっていく。
その熱が、彼の唯一生きていた脳まで伝わったような気がしたところで、薫は口を開いた。
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