[過去ログ] 【みなみけ】桜場コハル Part 13【今日の5の2】 (715レス)
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290: クリスマス! 2011/12/26(月)03:04 ID:Czc0KYHa(11/14) AAS
しばらく時間が経った。
さて。
勢いでここまでやってしまったので、夏奈はいまさら恥ずかしくなってきた。
胸に頬を押し付けたままちらりと藤岡の顔を見ると、落ち着いたのか赤い顔で夏奈の頭を撫でてくれている。
むっとした。私がこんな恥ずかしい思いをしてるのに、お前だけそんなに余裕なんてずるくないか?
頭の中で閃いた。藤岡がびっくりする、クリスマスらしいプレゼント。
やるのか?やっちゃうのか?一瞬迷う。
今やらずにいつやるんだ。お前は、やるといったらやるんだろ。
そうだ。それが私らしさってやつだろう。腹が決まった。やってやるとも。
深呼吸する。吸いすぎてむせそうになる。おなかの中にパワーをためて、
「藤岡!」
ぱん、と音がする勢いで右手を藤岡の両目に押し付けた。マスクをずり下げて深呼吸した。
「え!?な、何!?」
「いいか、ぜったい、ぜったい目ぇ開けるなよ!ぜったいだぞ!」
「これじゃ開けられないけど……」
もっともなことを言われるが、ええい関係ない、左手でその頭をがっちりホールドし、
ぐきりと音がしそうな勢いでこっちを向かせた。
「ちょ、ちょっとカナ、なにして」

唇を押し付けた。
藤岡の動きが止まった。
藤岡の唇は少し硬くて、ミントのにおいがした。
どれくらい時間がたったのかよくわからない。ゆっくり顔を離して、左手を下げ、最後に
右手をどけた。藤岡の顔は、トマトみたいに真っ赤になっていた。
「あの」
「あ――――!!言うな言うな!!私だって恥ずかしいんだから!!」
キスのあと一番困るのは、終わってすぐのこの時間だと夏奈は思う。
こっちはリンゴみたいに赤くなった顔を藤岡に向け指を突きつけ、
「ぷ、ぷ、プレゼント!!マフラーできなかったから特別!!それからいっぱい迷惑かけた
 からそのお返し!!」
特別なときしかしないという約束だった。
キスなんて告白したとき以来だったから、ものすごく恥ずかしい。
ダメージは藤岡より深刻で、まともに顔を見られそうもない。このまま布団に包まって、
出てきたくないような気分。
沈黙。
どうしよう、なんて言おうと思って、適当なことを口にしようと、
「カナ、あの……キス、もう一回いいかな」
意外な追撃だった。
ふぇ、と間抜けな声が出た。次いで、ぼんっという勢いで顔が真っ赤になった。
あんなに恥ずかしかったのに、もう一回?え?
「あ、あの!!今の、カナの顔ちゃんと見られなかったから。こういうのって
 ちゃんと心の準備してから、きっちりやりたいし……だ、だめかな」
藤岡からこんなことを言ってきたのは初めてだった。
「よ」
いつも自分だけわがまま言ってるからか。それもある。
でも、自分はさっき決めたばっかりだ。藤岡のぜんぶを、まるごと受け止めてやるのだ。
頭の中でめちゃめちゃに走りまわる恥ずかしさを無理やりぜんぶ放り投げて、
「よぉーしいい度胸だぁーっ!!」
気合一発。藤岡の頭を両手でがっちりつかんで、今度は真正面から藤岡の顔を見た。
きれいな瞳に自分が映っている。自分だけが映っている。
藤岡のてのひらが、夏奈の頬を撫でた。
「いちおう言っておくけど……風邪がうつるぞ」
「カナの風邪ならいいよ」
よく言うよ。お前もバカだなあ。
「好きだ」
小さくつぶやき、二人の影が再びひとつに、
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