[過去ログ] 煩悩の十二国記*十四冊目 (1002レス)
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167(1): 世卓×廉麟 4/9 2011/02/11(金)18:38 ID:nCPt0Y7Z(5/10) AAS
「時間がかかりました」
「うん」
世卓が酒を口にしながら廉麟の話を聞く。
「泰麒は…戻られたのですが」
角を失っている。自分の角が無いなど想像したことすらなかった。これからどうなるのだろう。
「飲むか?」
盃を差し出され受け取る。甘い香りがする。
「なんです?」
「今年の紅嘉祥の実を酒に漬けてみた。桃程甘くないが…」
一口飲んで、溜め息を吐く。胸に染みる。なんだか久しぶりに喉を通ったものの気がする。
「悪くはないな」
「ええ。おいしい」
褒められて世卓が笑う。つられて廉麟も笑った。
「また、来てくださる」
世卓が盃を廉麟から受け取って呟いた。
「あのお子なら」
世卓が思い浮かべるのは、ここに来た泰麒だ。
「…成長されてました」
痩せ細った腕。無残な髪…それでも、成獣した強さ。
黒麒だからか。
「…うん」
感慨深げに盃をあけ、世卓が椅子を立った。
「おいで」
手を差し出されて、廉麟が少し顔を赤らめる。
「独り寝は寂しくてな」
軽い口調で言われ、小さく笑う。だが、自分も寂しかった。氾麟が羨ましくなかったと言えば嘘になる。
主上のお側にいたい、ただそれだけなのだ。「本当に、主上は」
仕方がないと伸ばした手に手を重ね廉麟は立ち上がった。
寝台の上で、世卓の胡座をかいた上に座る。世卓に軽く腕を回されその肩に頭を凭れさせた。
「…寂しかった」
「うん」
大きく武骨な手が優しく髪を撫でる。
「寂しかったですか?」
「うん」
胸の底から温かいものが広がる。やっと帰ってこれた。暖かい日だまりのような世卓のそばに。
「少し、やつれたな」
「はい…」
疲労はひどかった。だが、泰麒を見つけたら吹き飛ぶと思ってた。だが…そばに寄れないほどの怨詛と屍臭と…。
「今日は、休むか?」
気遣われ、小さく首を振った。世卓に暖めて欲しかった。冷えきった心を。
頭をずらし、世卓の少しかさついた唇に啄むような口付けをする。
放れたら、世卓の唇が重なった。
紅嘉祥の香りがする…。爽やかで、少し切ない。
「主上…」
「ん?世卓と」
言い直され、顔を赤らめた。
「…世卓」
「うん」
名前を呼び、また唇を重ねる。世卓の軽く開けた唇の間から小さく舌を差し込む。固い歯に触れ、少し動きを止めると世卓が舌先で迎えに来た。
「ん…」
目をつぶり、世卓の肩に手を置いて口付けに集中する。
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