[過去ログ] 煩悩の十二国記*十四冊目 (1002レス)
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(1): 頑丘+利広+珠晶 2/4 2011/02/06(日)10:37 ID:owTM9hUw(2/5) AAS
「怪談の中身は?」
利広が頑丘に聞く。頑丘がくだらなさそうに答える。
「夜な夜な、声がするんだと。ここ、ここだと」
「それだけじゃないのよ…」
後を引継ぎ、珠晶が身を乗り出す。
「夜中になると、仁重殿の窓から…誰かを探すような女が…っ?!」
ガタン、と利広の足元で音がした。その瞬間に、珠晶が頑丘に飛び付く。いきなり腰に抱き付かれ体勢を崩しかけた頑丘が利広を睨んだ。
「おい」
「あ、ごめん」
初めて気がついたように足元にひっくり返った剣をちゃんと机に寄り掛からせた。
机から顔を上げる時、頑丘を見てしてやったりの顔をする。わざとやりやがったな?目で威嚇すると軽く舌を出して見せた。

始めの頃は、ただまことしやかに流れてるだけで、珠晶の耳にも入らなかった。だが日が経つにつれ…というより、あちらこちらで見たと始まり、ただの噂ですまなくなった。
露台から身を投げた女だとか、いや、この宮のどこかに閉じ込められ死んだ女の無念だなど。
利広が手を上げた。
「なんで、女?」
そう言われ、珠晶もきょとんとする。そう言えばなんで女?
「知らんぞ俺は」
見上げられ、渋い顔をする。
「この話を俺にしたのはお前だろうが」
「…あたしは、誰から聞いたの?」
利広がにやりと笑った。
「噂なんてそんなもんだよ」

夜も遅かった。頑丘が珠晶を部屋まで送り、女官に任す。利広が待つ部屋に帰ってきた時はぐたぐたに疲れていた。
「なに落ち着いてんの」
一息吐こうとして、利広が剣を手に立ち上がる。
「なんだよ」
「行くよ」
まじめな顔で部屋を出た利広に、頑丘も表情を変えた。
闇に包まれ、人の気配がしない王宮は恐ろしい程暗く重い。利広はさりげなく闇に隠れながら追従する頑丘に話した。
「ただの噂なら、いいんだけどね」
「なんだ」
「いや、私も見た」
そう言われ、ぎょっとする。
「なにをだ?」
「声落として」
慌てて声を潜める。
「なんかが居たんだよ」
その時は気に掛けなかった。ただ女官が露台から中を見ているのだと思ったからだ。
だが、珠晶の靴と窓の破片を避けようと騎獣の首を逸らした時、女官の姿は無かった。
「…女官だったんじゃないか?」
「ここには、私の姿を見て隠れてしまう程恥ずかしがり屋はいない」
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