[過去ログ] 【俺の妹】伏見つかさエロパロ19【十三番目のねこシス】 (1001レス)
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542: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)12:58 ID:r9N6aOYq(1/6) AAS
恥知らずのネトウヨS,Lキター!
物議をかもしてるのはSSじゃなくてお前の存在だよ
543: 風(後編) 2c/63 2011/06/18(土)13:00 ID:ND8G9piy(7/52) AAS
「う〜ん、ないことはないけど、あたしら、そういうお店は利用したことがないから……」

 川原さんは、傍らの陶山をちょっと見た。陶山は陶山で、「う〜〜ん」とか言いながら、困惑したような
表情で、鼻の頭を掻いている。
 何なんだろうね、この反応は。

「ていうと、全部、川原さんが陶山の分まで直しているとか?」

「そ、そうだったら、格好いいんだけどさぁ、あ、あははは……」

 川原さんが、苦し紛れっぽく笑っていて、陶山は居心地が悪そうに、ちょっと肩をすくめていた。
省1
544: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)13:01 ID:hIoi0tpT(1/2) AAS
支援
545: 風(後編) 3a/63 2011/06/18(土)13:03 ID:ND8G9piy(8/52) AAS
「そ、そのまさか……。こいつは、料理だけじゃなくて、裁縫とか、掃除とかの家事全般がプロ並みなんだ
よね……」

 傍らの陶山は、川原さんの脇腹を肘で小突き、小声で「余計なことを言いやがって……」と詰っている。

「まぁ、つい口が滑っちゃったけど、いずれはばれるでしょう? それに、男で裁縫やるってのは、別に恥
じゃないわよ。あんただって、内心は誇らしいんでしょ?」

「んなことあるかい……」

「まぁ、いいわ…。でね、これが高二の時の亮一の作品。文化祭でメイド喫茶やることになって、
そのメイドさんの衣装を作ったの」
省6
546: 風(後編) 3b/63 2011/06/18(土)13:06 ID:ND8G9piy(9/52) AAS
 たしかに、川原さんや、川原さんと一緒に写っている二人もものすごく可愛らしいからな。
 だが、メイド服の出来が半端じゃない。何ていうか、アキバとかで見るような、露出度が高い萌的なもん
じゃなくて、実際にメイドさんが着ていそうな服を、レースとかフリルとか、細かな装飾を凝らした上で、
各人の体型に合わせて徹底的にリファインしたという感じだ。
 レースとかで装飾過剰になると往々にして下品になるもんだが、全体のイメージがシックだからか、見苦
しさは全くない。むしろ、

「ノーブルっていうか、垢抜けた雰囲気がいいな……。これ、デザインも陶山なのか?」

「ま、まあな……」

「すげぇなぁ……」
省4
547: 風(後編) 3c/63 2011/06/18(土)13:08 ID:ND8G9piy(10/52) AAS
「しかし、あんときゃ、死ぬかと思ったぞ……。縫製はほとんど俺一人だったからなぁ。最後の三日間は半
徹夜続きだったぜ……」

「え〜? あたしも、あんたの家にミシン持ち込んで手伝ったじゃん!」

「まぁ、ミシン持参で来てはくれたけどよ……。結局、うまく縫えなかったし、そのうちに、縫いかけの服
の上に突っ伏して、ぐ〜すか寝ちまったんじゃないか。おかげで、女子十人分のメイド服を、俺は必死に
なって縫ったんだぞ」

「そ、そうだったかしらね……。全然、記憶にないけど……」

 すっとぼけているような感じの川原さんを、陶山は、半眼で見詰め、ため息を吐いている。
 多分、陶山の言っていることが事実なんだろう。
省1
548: 風(後編) 4a/63 2011/06/18(土)13:11 ID:ND8G9piy(11/52) AAS
「あれは、俺がお前以外の女の子の採寸しようとしたら、『バカ、変態!』とか言って、いきなりひっぱた
いたんじゃないか!」

「あったり前でしょ! あんた、他の子の身体を触ろうというとき、ものすごくいやらしい感じだったから、
放置してたら絶対に何かやらかしていたに違いないのよ」

「そんな命を粗末にするようなことはしないって……。もしやってたら、クラスの全員から袋叩きにされち
まう」

 これって、痴話喧嘩ってやつなのか? 聞いちゃいけないとは思うものの、嫌でも耳に入ってくるから
困ったもんだ。
 しかし、これで陶山と川原さんの大よそのパーソナリティーが把握できたな。
 明るくて感じよさそうな川原さんは、意外にもずぼらであるようだし、陶山は、ちょっと強面でありなが
省5
549: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)13:12 ID:hIoi0tpT(2/2) AAS
支援
550: 風(後編) 4b/63 2011/06/18(土)13:13 ID:ND8G9piy(12/52) AAS
 おっと、昨日と今日の午前中に滅入ることがあったから、また嫌なことを思い出しちまったぜ。
 そんなことよりも、陶山と川原さんは?

「あんたは、鈍いから多少は痛い目に遭った方がよかったのかもね。本当に今でも気が利かないったら
ありゃしない!」

「そりゃ、あんまりな言い草だな。俺は“気遣いの陶山”って、高校じゃみんながそう認識していたんだぜ」

「“気遣い”の意味を辞書で引いてから言いなさいよ。“気遣いの陶山”? ば〜か、冗談じゃねぇって」

 未だに言い争いを続けていやがる。こうなると、夫婦漫才だな。
 見ている分には面白いと思う奴も居るんだろうが、俺は他人の口論を聞きながら飯ウマな気分には到底
なれない。
省2
551: 風(後編) 4c/63 2011/06/18(土)13:15 ID:ND8G9piy(13/52) AAS
 その一言で、川原さんは、はっとしたように凝固し、頬をうっすらと朱に染めた。
 相方の陶山は、『バカ騒ぎしやがって』と言わんばかりに、川原さんをじろりと一瞥して俺の方に向き
直った。

「お、おぅ……。ブレザーのボタン付けなら俺が速攻でやってやるよ」

「いいのか? 済まねぇな……」

「俺にとっちゃ、お易い御用だ。で、急ぎか?」

「いや、しっかりした生地の冬物だから、秋にならないと着ないと思う……。いつでもいいや」
省5
552: 風(後編) 5a/63 2011/06/18(土)13:17 ID:ND8G9piy(14/52) AAS
 川原さんのツッコミはごもっともだ。たしかに、それが問題だよな。

「ふむ……」

 陶山が顎の先に右手をやって、軽くなぜている。どっかで見たようなポーズだなと思ったら、ロダンの
『考える人』に似ている。
 ちょっと考え事をする時の陶山の癖なのかも知れない。

「大学に持ってきて、ここで受け渡しをしてもいいかな?」

「それも悪くはないが……。何かうざったいな……。よかったら、俺んちに持って来いよ。その場で繕って
やるぜ」
省4
553: 風(後編) 5b/63 2011/06/18(土)13:19 ID:ND8G9piy(15/52) AAS
 俺が下宿の住所を告げると、陶山は、「何だ、俺んちの近所か……」と呟いた。

「その住所だったら、あたしんちも近いよ。川原クリニックってのがあたしの家。外科と産婦人科やってる
から、何かの時は宜しくね」

 外科はともかく、産婦人科は男の俺には関係ないわな。
 しかし、未だにこの街の地理には疎いから、近所とか言われてもピンとこない。昨日だって、闇雲に歩い
てどうにか下宿にたどり着いた。
 この街を、部分的に点と線でしか把握していないんだ。
 ガイドブック片手とはいえ、昨日の沙織の方が余程この街を知っていた。
 それはさておき、

「悪いな……」
省1
554: 風(後編) 5c/63 2011/06/18(土)13:21 ID:ND8G9piy(16/52) AAS
「気にすんなって。高校の同級生は、この大学に進学した奴もいるけど、気心の知れた奴らの多くは東京の
大学に行っちまってな……。こっちも知り合いが増えるのは嬉しいのさ」

 川原さんもにこやかに微笑んでいる。しかし、陶山が『気心の知れた奴らの多くは東京の大学に……』の
一言を発した瞬間だけは表情が硬くなったような気がした。
 俺もそうだが、色々事情があるんだな。
 東京の大学に行ったのは、陶山の男友達や、川原さんの女友達だけじゃないんだろう。

 おっと。一瞬、そんなことを邪推しちまったが、川原さんは、元通りの笑顔を取り戻しているじゃないか。

「だったら、今度の土曜日の午後、亮一の家に行って、お茶会でもしましょうよ。こっちに残っている子を
呼んで、もちろん高坂くんもね。で、合間を見て、高坂くんのブレザーを繕ってあげるってのはどう?」
省4
555: 風(後編) 6a/63 2011/06/18(土)13:23 ID:ND8G9piy(17/52) AAS
「あ、そっか……」

 川原さんは、ぽかんと口を半開きにして、上目遣いで天井の方を見ている。
 天然っぽい反応だが、何故か、演技のようなわざとらしさが、ちょっとだけ感じられた。

「という訳なんだが、高坂、今度の土曜日の都合はどうだ? 俺と瑛美と、それに俺たちの高校の同級生で、
こっちの方に残っている奴らが二、三人来ると思う」

「そうそう、さっき携帯に写っていたメイドさんの片割れも、呼べばきっと来るよ。ほら、ロングヘアの
グラマーな子」

 川原さんが悪戯っぽく笑っていた。黒髪ロングで巨乳は、俺にとってストライクゾーンのド真ん中だが、
なぜそれを知っている?
省3
556: 風(後編) 6b/63 2011/06/18(土)13:25 ID:ND8G9piy(18/52) AAS
「おい、おい、つまんね〜ことで、高坂をいじめるな。写真なんかに見とれたって別にいいだろうが。それ
よか、高坂、土曜日の午後はどうなんだ?」

 陶山が助け船を出してくれた。男子の苦境を理解できるのは、やはり男子なんだな。当たり前だが……。
 それにしても土曜日か……。保科さん宅での野点があったはずだが、あと五日だってのに何の音沙汰も
ない。こりゃ、ハブられたかな?

「予定があったみたいなんだけど……」

「何だ、その微妙な言い回しは?」

「いやぁ、今度の土曜日に、ちょっとあらたまった席に妹共々招待されたみたいなんだが、今になっても
招待状が来ないんだよな……」
省1
557: 風(後編) 6c/63 2011/06/18(土)13:27 ID:ND8G9piy(19/52) AAS
「いや、口頭でさ、野点に招待するって言われたんだけど、それっきりで何の知らせもねぇんだよ」

「そんなの無視しちゃいなさいよ。で、あたしらとお茶でも飲んでた方が絶対に面白いって」

「そうだな……」

 川原さんの言う通りだな。保科さんは、やっぱり俺なんかとは違う世界の人なんだ。
 そんな人の家にお邪魔できるなんてのが、そもそも非現実的なんだろう。
 ただ、あやせのことをどうするか……。保科さんの野点がなくても、あいつはこの街に来るって息巻いて
やがったからな。

「うん……。じゃあ、陶山や川原さんのお茶会に出させていただくよ。ただし……」
省4
558: 風(後編) 7a/63 2011/06/18(土)13:29 ID:ND8G9piy(20/52) AAS
 とハミングのような呟きを漏らした川原さんは、相方の陶山と向き合って互いに頷いた。

「いいんじゃないかしら……。どんな子なのか興味があるしね。で、その子は何年生?」

「生意気盛りの高校一年生だよ」

「高坂とは三つ違いなんだな」

「うん、この春、俺と入れ替わりに俺の出身校に入学したよ」
省7
559: 風(後編) 7b/63 2011/06/18(土)13:31 ID:ND8G9piy(21/52) AAS
「で、さぁ、高坂くんの妹さんって、どんな感じ? やっぱ可愛いの?」

 うわぁ、目尻が下がった変なニヤケ面してるぞ。こりゃ、桐乃同様に真性かもな。
 でも、ここは正直に答えておくか。

「まぁ、そこそこ可愛いと思うよ。兄貴の欲目抜きでもさ」

「ほっ、ほぉ〜、そりゃ会うのが楽しみだ」

 俺たちは、それから、互いにとりとめもないことを話し合いながら、陶山が作った弁当を堪能した。
 弁当を食べ終わるという頃になっても、学食はザワついていて、食事を終えた学生と入れ替わりに、他の
学生や院生がやって来る。
省2
560: 風(後編) 7c/63 2011/06/18(土)13:33 ID:ND8G9piy(22/52) AAS
「高坂さん? 高坂京介さんじゃありませんか?」

 不意に背後から呼び止められて、俺は背筋を強張らせて身構えた。どこかで聞き覚えのある声だった。
 まさかとは思った。八日前の日曜日に、禅寺で耳にした優しげな声を聞くとは思いもよらなかったんだ。
 振り返ると、ゆったりとした白いセーターにグレンチェックのスカートを穿いた、その禅寺の君が笑みを
浮かべて俺のすぐ後ろに立っていた。

「保科さん!」

「あらためまして、こんにちは。高坂さん」

 法学部のマドンナにして、おそらくは本学随一の超絶美人であろう保科隆子さんその人だ。
省3
561: 風(後編) 8a/63 2011/06/18(土)13:35 ID:ND8G9piy(23/52) AAS
 そう言って、保科さんは俺に一通の封筒を差し出した。
 俺は、思わず固唾を飲み込んでいた。
 差し出された封筒の中身が何であるか、鈍い俺でも察しがついたからな。

「開けて、読んでみてもいいですか?」

 保科さんが笑顔で頷いた。
 和紙の一種らしい目の詰んだ厚手の紙でできた白い封筒は、俺が今まで目にしたことがない形式のもので、
封はされずに、中の書状が自在に取り出せるようになっていた。
 封筒の中の書状も目の詰んだ和紙でできていて、今週末の土曜日午後三時から保科さんの邸宅で野点が
行われる旨と、保科さん宅の住所が、墨痕鮮やかな毛筆書きで記されていた。
省2
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