【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308289584/
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261: ■ [sage] 2012/09/11(火) 02:36:35.39 ID:2kfcEye+ 銀子は動けぬ悪宇の幹部に鉄槌を振り下ろす。放たれた金属の魔物は主の意に従い、情け容赦なく標的の 体を噛み砕いた。その代償は、崩れかけの建物に加えられる致命的な一撃。小さく始まった振動が、徐々に 大きくなってくる。 『村上さん!!』 通信機の向うで悲鳴が上がった。データは届いてくるのに遠隔地にあって手が出せず、深刻な焦燥に駆ら れているであろう仲間達。そんな彼等に、銀子は静かに告げる。 「目標の撃破を確認―――ミッションは終了です。離脱しなさい」 『ダメです!今そちらに向かっています!だから村上さんは』 「ここにはもうすぐ悪宇の部隊が来る。それに私は両足が潰れていて離脱不能よ。通信後に自爆するから、 どうせ間に合わないわ」 『―――!!』 やはり言うべきか。もう告げる機会はないだろうから。 「…皆、ありがとう」 通信機のスイッチを切ると、銀子は標的だったモノを見遣る。瓦礫を彩る紅―――紅黒いペンキをぶち撒 けた様な模様。それが全てだった。終わったのだ、何もかも。 銀子は溜息をつくと、床に大の字になって寝転んだ。センサーが張り巡らされたこの空間だから、遠からず バレてしまうだろうが…自爆云々は嘘だ。本当はこのミッションと自分という存在をより完全に消す為にも 言葉通りにしたいところだが、肝心の爆弾が手元にない。ただ自爆以前に、この建物が崩壊する。全ての事柄 に完璧を期する銀子としては些か締まらない幕引きではあるが、仲間達の安全には怠りないから…良しとしよう。 それはスタッフを集めたその時から、定められていたプログラム。今回の作戦が失敗していれば次回以降に繰 り越されていた手続きだが、もうその必要はない。 スタッフがこの場で捕まりさえしなければ良いのだ。撤収が無事に終われば、全員の関りを完璧に消す処置 を施してある。彼らは数ヶ月前に我侭な経営者から突然解雇を告げられ、放逐された民間人。当の経営者は海外 に高飛びし、残された者は各々再就職先を探していたか、新しい職場で各地に散っていた―――そういう筋書き になっている。退職金の方には些か色が付いているが、その殆どは海外の口座に納められ、日本の税務署に睨ま れる事も先ずないだろう。それに自分の集めた優秀なメンバーは、その気になれば海外に国籍を求める事など 造作もない。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308289584/261
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