【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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46: 雨の日 2011/09/20(火)13:34 ID:NRr1NcPY(4/9) AAS
その時の雨は、いつもの超然とした、あるいはただの電波な女でもなく。
か弱い一人の少女のようで。
「ジュウ様?」
雨の呼び声で意識が戻る。
「あ? ああ、なんだ?」
「ですから、何故私の家へ向かうのですか?」
「なんでって、お前を家まで送るためだろ」
「え?」
雨はまた心底驚いた顔をして、しかしすぐさま我に返ったのか「それはいけません」と言ってきた。
「それではジュウ様が私の家から帰宅なさる際に、濡れてしまうことになります」
「この傘かしてくれよ、明日返すから」
「ですが」
「いいだろ、傘かしてもらってるし、普段も世話になってるし、そんぐらいさせろよ」
「命令ですか?」
「そうだ、おれに借りを返させろ」
「……わかりました」
それきり雨は黙り、ジュウもそれに倣った。
雨の少しぎこちなかった歩き方はいつも通りになり、心なしか嬉しそうに微笑んでいた。
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