【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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696: [sage saga] 2016/11/24(木)23:16 ID:V3Gh3kBt(16/34) AAS
「銀子の言いたいことは痛いほど分かる」

「でも、さ...」

「サラリーマンとか畑を耕す自分を俺は想像できないんだよ」

「まぁ、例外としてラーメン屋は選択肢にはいってたけどね」

「じゃあ、いまからでも...」

「それは無理だ」

 自分を覗き込む真九郎の瞳には、今までの真九郎を構成していた

要素以外の...昔からの真九郎を知っている銀子が忌避してやまない

決定的なものが映っていた。

 そう、暴力への渇望と上に昇り詰めてやるという飽くなきまでの野心だ。

「銀子」

「自分の器なんて、後から大きくするもんだろ?」

「あ、あああ...」

「それに、夕乃さんのことを悪く言うのはやめろ」

「正直に言うと、銀子のそういうところは好きじゃなかった」

「そ、そんな...」

 メラメラと燃える真九郎の野心の熱気に当てられた銀子は力なく

ぺたん、と床にへたりこんでしまった。 

 いつの間にか夕日は沈み、月と星が顔を覗かせる。
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