【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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706: [sage saga] 2016/11/24(木)23:20 ID:V3Gh3kBt(26/34) AAS
一番怪しいのは言うまでもなく夕乃で、二番目に怪しいのはやたらと
威圧感はあるが自分を奥の院から出してくれた恩人の紅香である。
3,4に環や闇絵が続くものの、あの二人はなんだかんだ言って
真九郎には優しい気がするから外しても良いだろう。
となると、真九郎を泣かせた犯人は...
省16
707: [sage saga] 2016/11/24(木)23:20 ID:V3Gh3kBt(27/34) AAS
夕乃とは対照的にどこまでもうじうじした散鶴の泣きべそに苛立つ
紫だが、散鶴もそれは同じで真九郎とは対照的に威圧的で偉そうな
紫に反感を覚えていた。
はじめはいつも自分に対して威張っている紫に対するちょっとした
仕返しのつもりだった。
省10
708: [sage saga] 2016/11/24(木)23:21 ID:V3Gh3kBt(28/34) AAS
「おにーちゃん、おねーちゃんにコクハクしてたよ」
「世界で一番おねーちゃんがダイスキですって!」
「う、嘘だ!真九郎がそんなこと夕乃に言うはずがない!」
「嘘じゃないもん!」
「嘘だ!」
省11
709: [sage saga] 2016/11/24(木)23:21 ID:V3Gh3kBt(29/34) AAS
「なっ、何を言うか!真九郎と私は相思相愛で...」
「でも今すぐケッコンは無理だよね」
「そっ、それは...」
「うっ、ぐすっ...だ、黙れ散鶴!し、真九郎が一番好きなのは、この...」
「おにーちゃん、おねーちゃんを下さいっておじいちゃんに言ってたよ」
省11
710: [sage saga] 2016/11/24(木)23:21 ID:V3Gh3kBt(30/34) AAS
「うわああああああん!夕乃と散鶴の大馬鹿ものーっ」
「何してるんだ紫!どうしたんだよ!」
この時、真九郎は紫が自分と夕乃の間にあったことを知った事に
気が付いてしまった。
そして、紫の大号泣にいかに自分が浅はかで最低なことを崩月家の
省9
711: [sage saga] 2016/11/24(木)23:22 ID:V3Gh3kBt(31/34) AAS
〜夕乃の視点〜
明日の真九郎さんのお弁当の仕込みをしているときに、電話が鳴った。
おそらく電話の主はおじいちゃんの友達か、町内会の人だろう。
「ちーちゃ〜ん。お電話出て〜」
「はーい」
省12
712: [sage saga] 2016/11/24(木)23:22 ID:V3Gh3kBt(32/34) AAS
「ふふふ...おにーちゃんはおねーちゃんの恋人。だから...」
「紫ちゃんはもうウワキ相手だね」
「散鶴ッ!」
妹を押しのけ、電話の受話器を取る。
「紫ちゃん?!紫ちゃん!!」
省12
713: [sage saga] 2016/11/24(木)23:23 ID:V3Gh3kBt(33/34) AAS
「おねーちゃん!行っちゃダメ!行っちゃやだよぉ!」
妹が、あの泣き虫だった妹が賢明に通せんぼうをして、私の目の前に
立ちふさがった。
「ちーちゃん...良い子だから、ね?そこをどいて」
「やだぁ!」
省14
714: [sage saga] 2016/11/24(木)23:23 ID:V3Gh3kBt(34/34) AAS
理解できないが故に、散鶴の抱いている感情は最も正しい。
人権すらない『道具』を人として扱い、この先の人生を共に過ごす事が
どれだけのリスクと危険を犯さなければならないのか。
それを自覚できないまま真九郎は紫を、これから彼女が独り立ちが
出来る歳まで守っていく役目を担おうと言うのだ。
紫と散鶴を天秤にかけたとしても、絶対に散鶴を選ぶのが夕乃の本心。
省9
715: 2016/11/27(日)07:20 ID:DCGibjW7(1) AAS
乙です
まさに修羅場ですね
続き楽しみにしてます
716: [sage saga] 2016/12/01(木)01:05 ID:qO1WsCuS(1/43) AAS
〜紫の嫁入り 中編〜
散鶴の涙に大きく自分の心を揺さぶられながらも、夕乃はそれでも
懸命になって、なんとか妹を説得しようと試みた。
だが、どう考えても今すぐに散鶴を説得できる力を持った言葉や
想いが中々浮かばない。
省7
717: [sage saga] 2016/12/01(木)01:06 ID:qO1WsCuS(2/43) AAS
内気で人見知りの妹。
まだ物事の分別がつかないけど、あの子は自分によく似ていてどこか
危ういくらいにまで思い込む癖がある。
これは散鶴自身の純粋さの裏返しともとれるし、同時に一番の弱点でもある
だから自分と異なる他人と打ち解けられない。打ち解けられないけど、
省8
718: [sage saga] 2016/12/01(木)01:06 ID:qO1WsCuS(3/43) AAS
「ちーちゃんは私よりも真九郎さんを幸せにしたい?」
「...うん」
「そっか。真九郎さん、優しいもんね。独り占めしたいよね?」
「...うん...」
「でもね、ちーちゃん。それはお姉ちゃんも紫ちゃんも同じなんだよ」
省7
719: [sage saga] 2016/12/01(木)01:07 ID:qO1WsCuS(4/43) AAS
「ちーちゃん。ちーちゃんは何が怖いの?」
「紫ちゃん」
「どうして?」
「だって...乱暴だし、いつも偉そうで...上から目線でイヤなんだもん...」
「でも、でも...おにーちゃんはそんな紫ちゃんが私より好きで...」
省6
720: [sage saga] 2016/12/01(木)01:07 ID:qO1WsCuS(5/43) AAS
その上、自分と同じ歳くらいで大人のように振る舞い、自分の全ての
何段階も上を行く紫が、真九郎が夕乃を愛するのと同じ次元で互いの将来を
誓うという事実をどうしても散鶴は認められない。認めたくなかった。
だって、それを認めてしまえば...自分は一生紫や夕乃のおこぼれに
あずかりながら、指をくわえて真九郎の側にいることしか出来なくなると
省8
721: [sage saga] 2016/12/01(木)01:07 ID:qO1WsCuS(6/43) AAS
そう、崩月夕乃は最初から自分が真九郎に最も相応しいと思っている。
好きな男を自分の手元に縛り付ける為にはなんだってする。
流石に大切な家族を犠牲には絶対させないが、それ以外のことなら
真九郎を自分の側から離さない為なら何だってする覚悟がある。
真九郎が望むなら、七面倒くさい表と裏の利権が絡み合う紫と自分との
省10
722: [sage saga] 2016/12/01(木)01:08 ID:qO1WsCuS(7/43) AAS
「散鶴。真九郎さんの側にいたければ崩月の修行をちゃんとしなさい」
「いつまでも弱虫の貴女には何も魅力なんか生まれっこありません」
「修行したら、おにーちゃんは私のこと好きになってくれる?」
「もうとっくに真九郎さんはちーちゃんのこと、大好きになってますよ」
「そっか...えへへ」
省14
723: [sage saga] 2016/12/01(木)01:08 ID:qO1WsCuS(8/43) AAS
午後八時
一方、九鳳院紫は騒ぎを聞きつけた闇絵と環の取りなしによって
一旦二人が落ち着くまで、それぞれ預かるという形で引き離されていた。
紫は闇絵、真九郎は環。
「ううう...真九郎のバカ、大馬鹿ものぉ...」
ポロポロと涙を流しながら、闇絵に抱きしめられた紫はぼんやりと
省10
724: [sage saga] 2016/12/01(木)01:08 ID:qO1WsCuS(9/43) AAS
崩月夕乃。
かつて飛行機事故で家族を失った真九郎を自分が生まれる前から
8年もの間、ずっと真九郎と寝食を共にし、絆を育んでいた女。
そして、その崩月の力に紫は何度も窮地を助けられてきた。
だから、婉曲な見方をすれば紫は夕乃に恩を受けていることになる。
その夕乃こそが、今回の紫が我を忘れて取り乱すような事態を
省2
725: [sage saga] 2016/12/01(木)01:09 ID:qO1WsCuS(10/43) AAS
九鳳院紫は紅真九郎を愛している。
それは生を受けたときから、光当たることなく一生を終える宿命の紫に
生きることの素晴らしさや、自分では抗うことの出来なかった運命を
意図も容易く、我が身を省みることなくぶち壊してくれたただ一人の
男だからだ。
省7
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