[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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340: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 2017/12/07(木)13:00 ID:SFM7CiMU(4/11) AAS
日野森美緒。それが彼女の名前である。
パーマをかけた金髪に気の強そうな吊り目が印象的な美少女で、男子人気は美音に次ぐほどなのだが
その自尊心の高さと目立ちたがりな性格ゆえに同性からの評判は芳しくない。
美音も正直なところ、苦手な相手だ。
彼女は己よりも人気のある自分のことを嫌っておりそれをまったく隠さない。
名前の読みが似ているところも癇に障るらしく、目が合うたびに睨まれる始末。
それにもうひとつ、彼女のことを苦手とする理由が美音にはあった。それは―――

「まったく、犯罪者になりたいなんてどんな神経をしてるのかしら?
 それもあんな薄汚いコソ泥と張り合おうだなんてありえないわね」
「ちょっと! 美音は何も言ってないじゃない! それにアクアメロディは怪盗! コソ泥じゃない!」
「言い方を変えただけで同じでしょ、ふんっ」

このアクアメロディに対する敵愾心だった。
目立ちたがり屋な彼女は自分より目立つ人間をとにかく敵視する傾向がある。
だから現在シティで一番目立つ存在であるアクアメロディを嫌悪するのもわからないではないのだが
その負の感情を同一人物ゆえに二人分向けられる当の本人としては困るとしか言いようがない。

「それに何よ、あのいかにも男に媚びてる格好は。アイドル面してるけど実際はただの露出狂ね」
「あんた、言っていいことと悪いことがっ」
「楽子、ダメよっ」

大のアクアメロディファンを自称する楽子にとって、その言いざまは許せるものではなかったのだろう。
怒り心頭と言った表情で手を振り上げるが、流石にマズイと見た美音は咄嗟に抱き着いてそれを止める。
一触即発の空気となり、騒然となる女子更衣室。
そんな重苦しい空気を掻き消す予鈴のチャイムが鳴ったのは眼鏡娘が再度口を開きかけた瞬間だった。

「……さて、そろそろプールに行かないと怒られちゃうわね」
「待ちなさいよ、逃げる気!?」
「ふん、犯罪者を持ち上げるような奴なんて相手にしてられないわ」

言いたいだけ言って去っていく勝気な少女を、しかし美音に捕まえられている楽子は追いかけられず
遠く小さくなっていく背中に罵倒を浴びせることしかできない。

「なによ! ただの貧乳の僻みのくせに!」
「えっ」
「だってアイツ、最後美音のおっぱい見て顔をしかめてたし! 間違いない!」

言われてみれば、確かに去り際の彼女は抱き着きで大きくたわんでいた自分の胸を睨んでいた気がする。
先程の日野森の憎悪に満ちた顔を思い出し、美音は理不尽な恨みの理由に溜息をつくしかなかった。
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