[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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378: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 2017/12/21(木)14:36 ID:9NttQ/54(5/6) AAS
受け取ったデータ通りならここは屋上へと続く通路が広がっているはず。
なのにこうして壁がそびえ立っているのは、データ偽りがあったことに他ならない。
しかし、美音の中に裏切られたと落胆する感情はなかった。元より信用などしていないのだから。
そもそも、脅しをかけてくるような相手をどうして信じられるというのか。

(こんな形っていうのは、少し予想外だったけれど……)

ただ、横やりに対する警戒は常に頭の片隅にあったが、ここまで露骨なものだとは思っていなかった。
アイズには愉快犯的なところこそあるものの、嘘はつかないという印象があったからだ。
見る目がなかったといえばそれまでだが、一方でこの状況にどこか違和感が残るのも確か。
何かを見落としているような気持ち悪さが美音の思考を覆いかけるが、それが形になる前に
黒服たちが後ろから追いついてきたため、思考は打ち切られてしまう。

「フゥーッ!! ようやく追いついたぞ。散々手間かけさせやがって!」

ハンターたちの先頭に立つ軽薄そうな黒服が悪態をつきながらも勝利を確信したのかニヤリと笑う。
早くも獲物を捕まえた後のことを妄想しているのか、だらしない顔を隠そうともしていない。
足を止めると同時に十数人の黒服が廊下の隙間を塞ぐように隊列を組み、水鉄砲を構えた。
前には物理的な壁、後ろには人の壁。常識的に考えればどう見ても絶体絶命のピンチ。

「くすっ、この程度で私を追い詰めたつもりなのかしら?」

しかし、そんな状況であっても怪盗らしくアクアメロディは余裕たっぷりだった。
何故なら、この程度の危機ならば乗り越えられる自信があったから。

(チャンスは斉射をしてくるタイミング……)

単発やバラバラの射撃で命中が望めないのはいい加減黒服たちも理解しているはず。
ならば彼らがとりうる手段はひとつ、全員での一斉射撃による面攻撃しかない。
だが、その瞬間こそが怪盗少女にとっては場を切り抜ける絶好のチャンス。
全員の射撃となると場に一瞬の隙ができる。後は距離さえ詰めれば容易く乱戦に持ち込めるはず。
乱戦ならば敵自体が射線の邪魔になるので被弾のリスクは最小限であり、人の波さえ抜ければ
改めて屋上に向かうことができる。唯一の問題は最初の斉射をどうかわすかだが、これも問題はない。
すぐ傍の窓にかかっているカーテン、これを盾にすればいいだけだ。

(さあ、撃ってきなさい……!)

いつでもカーテンを引き抜いて前面に展開できるよう準備しつつ、攻撃を待つ。
しかしここで美音にとって本当の意味での予想外が発生した。
既に銃口はこちらに向け終わっているというのに、誰一人として引き金を引こうとしないのだ。
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