[過去ログ] 女性上位で優しく愛撫される小説ver9 (1002レス)
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268: 冒険者の献愛1 2014/04/29(火)19:42 ID:7FzJVaiU(2/8) AAS
「さて、と……」
いつもの通り宿屋に入り、いつもの通り荷物を置いて、いつもの通り中身の物資をチェックする。
ベルドはその中から紙を一枚取り出すと、前の町からやってきたときに使ったものと、次の町までの距離をざっと計算し、補充する物品等を決めた。紙が一枚無駄になるが、うっかり忘れてて死ぬよりは何十倍とマシである。
いつもはいい加減なベルドであっても、こういうときの本気度は凄い。真剣そのものの眼差しで、妥協を一切許さない。冒険において手抜きはそれこそ命取りに直結することを、ベルドはよく知っているのだ。
「一週間……いや、多めに見積もって十日分いくか」
冒険用品は多種多様なものがあるが、その中でも特に保存食の残量は事細かに確認する。流れ流れる冒険者にとって、食糧の残りは死活問題だ。なくなったからといって必ずその場で手に入るとも限らない。
もっとも、どこぞの侍のように砂漠やら火山やら断崖絶壁やらに行きまくっている趣味もないのだが、ともすれ食料だけはしっかりしておかねばならなかった。
「よし、ヒオリ。今回もまた、補充物資を見立ててごらん」
「えーっと……」
ベルドは自分の分だけでなく、仲間にして自分のお嫁さんである、ヒオリの荷物も見立てていた。何を隠そう、『冒険者』としては、ベルドはヒオリよりも何年も先輩なのである。
とはいえ、全部自分で見立ててもヒオリのためにはならないので、見立て自体は手伝いにとどめ、後はちょくちょく問題を出して、考えさせて教えていた。
対するヒオリも真剣に考えて真剣に答えを出してくれ、真剣に勉強してくれるのだから教えがいもあるってものだ。腕を組んで考える姿は、可愛らしさの中にも『女』の表情が隠れていて、ベルドは思わず視線を逸らす。やがてヒオリは、慎重にそれの答えを出した。
「ええっと、保存食がとりあえず二週間分、楔もこの前大分使っちゃったから、二十本ぐらいは補給したほうがいいのかな。後は、松明が五本と獣避けの鈴が十個、小型ハンマーを一個と油を一袋分……ぐらい、かな……?」
末尾に自信がなさげだが、それが彼女の答えであるか。そういえば、小型ハンマーはこの前欠けてしまったんだ。自分も忘れていた部分に気がつくほどに鍛えられたヒオリの観察眼に喜びつつ、ベルドはよしと頷いた。
「強いて言うなら、保存食は十日でいい。それ以外は完全に合格だな」
「え、そ、そうかな?」
「おう。特に小型ハンマーなんて、俺だって忘れてた。やるじゃねえの、ヒオリ」
「え、えへへ……」
にへらと嬉しそうに笑うヒオリに、ベルドも頬が緩むのを感じる。ヒオリはそのまま擦り寄ってくると、いつもの通りおねだりした。
「ね。ご褒美」
「はいはい」
……と、言ってはいるが、別に怪しい意味ではない。ヒオリが要求するのは別段エロい意味ではなく、単に頭を撫でてくれと言っているだけの話である。
ヒオリの体を抱き寄せて、ベルドはそのまま頭を撫でる。もともとの過去が過去だったからか、ヒオリはこうされるのが大好きだった。その頬をさらに緩ませたまま、ヒオリはベルドに頬擦りしてくる。
「やれやれ。全く、甘えんぼさんだな」
「うにぃ」
ちょっぴり苦笑するそんなベルドに、ヒオリは甘えた声を上げる。
超一流の実力を持っている魔術師なのに、甘えんぼさんで寂しがり屋さんでヤキモチ焼き屋さん。恋人同士だったときから甲斐甲斐しく自分に尽くしてくれ、プロポーズしたら大泣きしながら快諾され、前にもましてべったりになったそんな彼女が、可愛くて愛しくて仕方ない。
「ベルド、あたま。……あたまぁ……」
「うん、よしよし……」
そんな、冒険者の穏やかな夜は……ただ、静かに更けていった。
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