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【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 (821レス)
【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/
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546: 【安らぎの契約(第21回)(2)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/26(土) 07:54:16.19 ID:OLI4aoTI 目を開いた先にあるのは、チューブ型の狭い空間。 明かりもほとんどない前方はまるで奈落へ続くように漆黒だ。 「ふう……」 アスカはため息をつく。 久しぶりの弐号機のエントリープラグの中。 気だるい感覚。 弛緩していた四肢が重い。 ここでうたたねをして一体どのくらい時間が経っただろうか。 リハビリと称して弐号機の使用許可を得たものの、何をすることもなくここに座わり続け、いつの間にか眠り込んでいた。 主電源を入れることは許されなかったため、プラグ内はバックアップ電源モードの薄明かりのみだ。 久しぶりに着たプラグスーツは以前ほどしっくり来ない。 (ちょっと胸周りがきつくなったかも……) 以前なら大威張りで赤木博士にスーツの交換を要求したものだが、今はそんな気持ちも起こらない。 (こんなもんが大きくなったって、何がいいってのよ……) 葛城ミサトのマンションには今は居たくなかった。 かといって街はほぼゴーストタウン状態、ネルフ本部に自分の居場所はない。 結局、ここに辿り着いていた。 落ち着きとは無縁のはずのエヴァのエントリープラグの中に。 まるで、賑やかな昼の公演の終わった夜の舞台のようながらんどうで暗い空間。 練習熱心なバレリーナ達だって帰ってしまった後の、人のいないゆったりと流れるモノ達だけの時間。 ずっと忘れていた、この場所の別の表情。 でも今の自分にはお似合いだ。 思い起こせば、ずっと自分の居場所はここだった。 ここしか無かった。 日本に来るまでは。 あの騒がしく、狭苦しい、コンフォートマンション303号室の3人と一匹の奇妙な共同生活を始めるまでは。 エヴァの訓練と実戦を除けば、なんの特別待遇も無い平凡な日々。 私生活はまるでだらしの無い、葛城ミサト。 自己主張など頭にないような碇シンジ。 自分はまるでそんな親戚の家に転がり込んで暮らすただの女子中学生。 それをいつの間にか、当たり前の日常としていた。 生まれ育ったドイツでの緊張感に満ちた人間関係を遠い出来事のように忘れていた。 エヴァに乗れなくなるまでは。 「アタシどうしたらいいのかな……?」 エントリープラグの中で、自分の声だけが響き、静寂に戻る。 自分が知らずにいたことがどれだけ多かったことか。 ネルフの闇、綾波レイの秘密、それらに比べたら、自分の育ちの不幸や今の境遇など三文芝居もいいところだ。 くだらない。 たが、くだらなくても、結論を出さねばならない。 このくだらない想いに押しつぶされる前に。 すべてを投げ打ってドイツに帰るか、心を押し殺して今までどおりの関係を続けるか。 それ以外の選択肢などあるわけが無い。 「ドイツになんか帰りたくないよ……」 子供じみた呟きが口を突く。 だが、今の気持ちのままこの関係を続ける自信もない。 ようやく受け入れるようになって来ていた少年との関係。 自分の感情などで今更変えられるものでないことくらい分かっている。 もし、シンジに自分の気持ちを伝えたら。 彼はそれに応えてくれるだろうか。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/546
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