[過去ログ] 【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 (821レス)
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759: One First Kiss 2021/06/05(土)01:51 ID:+4iSFOSl(5/9) AAS
アスカは無表情に僕を見つめている。
『今』の僕の気持ちを言葉にしろと無言で言っている。
まるで僕が悪いことを隠しているとでもいう顔だ。
せっかく14年前の気持ちを確かめ合って、いい雰囲気でお別れできたはずなのに、どうしてこんな雰囲気になるんだろう。
でも、嘘はつけない。つきたくない。ここまで来たら。
「……そ、そりゃ、『今』だって好きだよ」
喉の底からやっと声を振り絞って言う。
でもこれが蚊の鳴くような声か、と自分でも思うほどに頼りない声しか出ない。
アスカが眉を寄せて冷たい声で言う。
「……もう一度言って」
ええい、もうヤケだ。
下っ腹に力を込める。
「――僕はアスカの事が『今』でも好きだよ!!!」
自分でもビックリするくらいの声が出る。
目の前のアスカは両手を後ろについて目をパチクリさせている。
「……ふふっ、なにその大きな声?」
ちょっとの間をおいて、アスカが口元を緩ませる。
「し、仕方ないだろ、アスカが言わせたんじゃないか」
ちきしょう、何てことを言わせるんだよ。
これじゃ未練が残るじゃないか。
「そーね。笑って悪かったわ」
口はへの字に結んだアスカだったが、何だか楽しそうだ。
何だか腹が立ってくる。なんで僕ばっかりこんな恥ずかしい思いをしないといけないのか。
「ア、アスカにとっては14年前の思い出かも知れないけど、僕にとってはたったの何ヵ月か前の事なんだよ……」
「3号機の事件や、二アサー、フォースインパクト、僕は失敗ばっかり。ずっとカッコ悪くて、ダメなばっかり。きっとずっとアスカには嫌われたままなんだと思っていた」
「でも、アスカはずっと僕のことを考えてくれていたんだ、って今ならわかる」
「何にも決められないで、誰の言うことも耳貸さなくて、失敗ばかりして……、自分でも自分が嫌になるくらいだった!」
「なのにアスカはずっと僕のことを見てくれてたんだ……って」
一気に捲し立てる。
自分でもこんなにしゃべれるんだ、と驚くくらいに。
ちょっと喉がヒリヒリするくらいだ。
「――だから、きっと14年前の僕より、今の僕の方がずっとずっと君の事が好きだ!!!」
例え、君が僕よりずいぶん先に大人になってしまったんだとしても。
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