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【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 (821レス)
【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/
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555: 【安らぎの契約(第21回)(9)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 07:59:00.43 ID:7fioB4K7 シンジが口での奉仕を要求してきたのはこんな場所での行いに対する彼なりの最低限の配慮か、というアスカの僅かばかりの希望は打ち砕かれる。 シンジの手が両脇を掴み、体の向きを変えられる。 シートに腰掛けたシンジの上に抱えられて座らせられる。 シンジが耳元で囁く。 「いつかと一緒だねアスカ」 エントリープラグに座った姿勢で、耳元に響く少年の声と微かに感じるその体温。 それらが、アスカに半年以上も前の出来事を思い起こさせる。 空母オーバー・ザ・レインボウでの戦い。 初めて目にした使徒。 一人乗りのエヴァに尻込みするシンジをわざわざ乗せての初出撃。 何もかもが初めてで高揚と不安とがぐちゃぐちゃになっていた。 狭いエントリープラグの中でお互いもみくちゃになってエヴァを操った。 ミサトの的確だが無茶な指揮、頼りなさそうでいて意外に肝の据わっているシンジ。 それから彼らと共に何度も経験した命がけの戦いの輝かしい第一戦。 初めて会った二人がその日、力を合わせて勝ち取った勝利。 この場所で互いの吐息すら感じるほどに身を寄せ合い、手を重ねていた。 (でも違う、あの時は……) アスカは首を振る。 (こんなイヤラシイことしなかったじゃない!) シンジの右手がプラグスーツの上から胸をまさぐっている。 「あの頃はちょっとでも体が触れたらアスカがカンカンになってさ」 左手はわき腹をなぞり、股間へと伸びてくる。 「あっ……」 「船の中だって、別にわざと着替えを覗いたわけじゃないのに」 シンジがアスカのプラグスーツの手首のスイッチを操作し、装着モードを解除する。 「バカでエッチだって……」 アスカの襟元を開き、テンションを失ってたるんだスーツを肩口までさげてしまう。 「あの時はこれくらいしか見えてなかったのに」 胸元は露になったが、かろうじてスーツがひっかかり乳首までは見えていない。 「もしかして、アスカはエッチなこと考えてたの?」 シンジの手がスーツに潜り込み、直に乳房を握る。 「あん……違う」 アスカは身を捩じらせて呟く。 その間にもアスカの両手がスーツから引き抜かれ、支えをなくしたスーツがだらりと垂れ、乳房があらわにされる。 親指と人差し指が敏感に成りかけている乳首を摘む。 「こんなことされるかもって?」 「やあっ!」 スーツが腰まで引き下ろされ、下腹部の茂みにシンジの手が触れてくる。 「アスカは初めて逢った時からそんなこと考えてたんだ……」 シンジの中指がワレメを探り当て、陰唇を割り開き、中に侵入してくる。 「やっ……」 アスカの意に反してそこはすでに緩み始めている。 ピチャクチャとイヤらしい水音を立てて、シンジの指がアスカの胎内をかき混ぜる。 「あ、あん……」 (違うっ……) あの日、初めて逢った自分と同じチルドレンの少年。 加持リョウジ以外の男で初めて、不快さを感じずに接することのできた少年。 自分がきっと、本来の年相応の少女として、振舞えることが出来た初めての日。 シンジも多分、同じように大切な日なのだと思っていてくれているだろうと、信じていた。 「二人で乗っている時もこんな風になってたの?」 シンジがことさらからかう様に問いかけてくる。 その柔らかな声がその澄んでいた記憶を濁らせていく。 (……やめて、二人の思い出を汚さないで!) 「アスカは初めて会った時からエッチだったんだ。知らなかったよ……」 (どうしてそんなことを言うの?……) 肌さえ触れ合わせている少年との絶望的な距離。 そして少年の言うとおりに淫らに緩み始めている自分の身体。 アスカはフルフルと首を振ることしか出来ない。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/555
556: 【安らぎの契約(第21回)(10)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:00:16.10 ID:7fioB4K7 シンジはアスカを前に倒し、四つんばいにさせる。 目の前の白い尻肉を左右に広げると、ピンク色の襞が現われる。 顔を寄せ、内部の粘膜に舌を這わせる。 「あっ!……」 いやいやと揺れる尻を押さえ込んで、シンジはアスカの花弁を舌で掻き分け舐め続ける。 「あっ!あん!!」 やがて、舌が疲れてくると、アスカの尻を解放し、プラグスーツから足を抜いて完全に脱がせてしまう。 アスカは顔を伏せたまま、白い背中をゆっくり波打たせている。 シンジも学生服を脱ぎ、裸になる。 ふと、思いついて、モニターの電源を入れる。 砂嵐のような画像が一瞬表示され、すぐに薄暗い格納庫の様子に切り替わる。 さすがにこれからの行為は人に見られたら拙い。 格納庫内に人気が無いのを確認してから、アスカの尻を抱えて手元に引き寄せる。 先ほどと変わらないくらい勃起したペニスに手を沿え、割り広げたアスカのワレメに押し当てる。 ペニスの先端がアスカの愛液に触れ、つるりと滑りながら中心へと導かれる。 さらにアスカの腰を引き寄せ、ペニスを飲みこませていく。 「はうっ……」 奥までペニスを突きこむと、アスカが背中を仰け反らせて喘ぐ。 互いの腰の位置を調整するとシンジはピストン運動を開始する。 ヌルヌルと温かく濡れた膣内をペニスが前後する。 勢いを強めていくとピチャピチャと水音が漏れてくる。 「やっ、あん……」 アスカ顔を仰け反らせて喘ぐ。 まるで広い格納庫内でアスカと堂々とセックスしているかの様だ。 高揚感につつまれ、シンジは嬉々としてアスカを突き続ける。 手を突き、尻を男に向けた屈辱的な姿勢。 (いやっ……。嘘……。) プラグスーツを剥ぎ取られて、素っ裸にされている。 (こんなところで……) 幼いころから一心不乱に目指してきたエヴァのパイロットという夢。 それだけを求めて、生きてきた。 母と自分の夢。 それをかなえた筈の場所。 たった一つの自分が輝ける場所。 (世界で一番大切な場所で…、一番大事な人に…、どうしてアタシ…) 獣のように組み敷かれ、否応無く突かれ続ける。 「アスカは僕が守るから」 シンジが腰を叩きつけてきながら、勝手なことを言っている。 (アタシのことが見えていない。見てくれない……。) 自分はそんなことは望んでいない。 誰かの庇護に頼ることなど御免だった。 親子二代に寵愛された少女。 自分が嫌って、そう思い込んでいた彼女のような生き方は。 「だから、大人しく僕の言うことを聞いてよ」 (イヤ!アタシを、あの娘の代わりの人形にしないで!!) 「あう……」 腰の動きを緩めたシンジが乳房を掴んでくる。 「僕を慰めてよ……」 (体だけにしか興味がないの?) シンジが背中に覆いかぶさり、腰をゆっくりと押し付けながら耳元で呟く。 「答えてよ、アスカ」 (口に出した言葉だけしか分からないの?) 沈黙がエントリープラグを満たしている。 問答を諦めたのか、押し黙った少年は尻を抱えなおすと、リズミカルに腰を動かし始める。 「ああっ!!」 不意をつかれ、アスカは悲鳴を上げる。 自分の声に胎内のシンジのものが硬度を増し、膨張するのが分かる。 シンジの腰の勢いが自信ありげに強くなっていく。 女をこれで支配できるのだと、勘違いしている男達のように。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/556
557: 【安らぎの契約(第21回)(11)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:02:03.48 ID:7fioB4K7 (……ううん、悪いのはコイツじゃない、アタシだ) アスカはかぶりを振る。 (あの娘は、人形であることを止めて、自分の意思でシンジを守ったのに…) いや、綾波レイは最初から人形などではなかった。 自分の信念に従って生きていたのだ。 何も知らない自分など、歯牙にもかけずに。 誰にも頼らず、自分の命すら惜しまずに、生を全うした。 それに比べて。 (アタシは……。自分から進んでシンジの「お人形」になったのよ……) (……何も言わない人形に) (でも、アタシにはそれしかできなかった……) 想いを告げて、受け入れられず、捨てられる。 それがどうしようもなく、恐ろしかった。 何も言わなければ。 何も望まなければ。 彼の欲望を満たすだけの存在でありさえすれば。 捨てられることもない。 傷つくこともない。 だから自分は、「碇シンジの人形」になった。 彼に偽りの慰めをもたらす、心のない、空っぽな人形に。 (……なんて、惰弱な、哀れな娘) そう、惣流アスカ・ラングレーになれるものなど、所詮はそんなものだったのだ。 母親にすら愛されなかった小娘には。 自分にはこれがお似合いだ。 (……もう、いい。) そう思ってしまえば楽だった。 シンジのペニスが体の中心を突き抜く。 「はあっ、あああっ!」 快楽に逆らわずに自然に声が出てしまう。 シンジが調子に乗ったように腰を叩きつけてくる。 思い出も心もいらない。 (……勝手にすればいい) 膣奥で放たれたシンジのザーメンの熱さを感じ、シンジのそれを締め付けながらアスカは軽く絶頂に達する。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/557
558: 【安らぎの契約(第21回)(12)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:06:28.75 ID:7fioB4K7 「はあっ……はあっ」 プラグシートのボード部分に顔をつけ、荒い息をついているアスカはシンジに引き起こされる。 「あっ……」 シートの上でシンジの上に寝かされ、愛撫され始める。 (まだ、するの……?) だが、逆らう気力ももう無い。 アスカは人形のようにシンジに体重を預ける。 (早くしちゃってよ……) アスカは目を閉じて閉じこもろうとする。 が、すでに2回射精を果たしているシンジは焦らず、ゆっくりとアスカを攻めてくる。 乳首にはわざと触れずに、乳輪のまわりをゆっくりと触れたりと徐々にアスカの快感を高めようとしてくるようだ。 一回絶頂に達したアスカは、僅かな肌への刺激にもピクンと反応してしまう。 「あ……」 乳房は左手に任せ、シンジの右手がアスカのわき腹をなぞり、やがて下腹部に降りてくる。 (ああ……) 自身の愛液と、シンジのザーメンが混ざっているであろう液体が満ちているワレメをシンジの指がなぞり、アスカは背を仰け反らせる。 (もう、忘れちゃおう。面倒くさいことは……) やがて、アスカが腰を浮かされ、シンジのペニスが真下からあてがわれる。 スルスルとほとんど抵抗の無いようにシンジのペニスが自分を貫く。 「ああっ……」 そしてシンジがゆっくりと腰を突き上げ始める。 (そうそう……こうやって、シンジのオチンチンで突いてもらうととおっても気持ちいいの……) シンジの両手が両の乳房を掴み、乳首を転がす。 (おっぱいも、いっぱいもみもみしてもらって……) クチャクチャという水音が二人の結合部から聞こえてくる。 (気持ちいい……) 預けた背中からはシンジの熱い体温が伝わってくる。 (ずっとこうしてもらえたらいいのに) アスカの脳裏から煩わしい想いが消えていく。 (そうよ、もういいの。アタシは人形なんだから) 視界を閉ざした暗闇の中で、シンジの行為だけが自分に伝わってくる。 ただ与えられる快楽に素直に反応していくだけ。 背中を仰け反らせ、汗を撒き散らせる。 「はあっ!はあっ!」 シンジの腰の動きに合わせて、アスカも腰を上下させる。 シンジのペニスを勢い良く深く呑み込み、倍加された快楽にアスカは全身を振るわせる。 (そうよ、これ……) ペニスと蕩けた襞とが求め合うように絡み合い、僅かな隙間からズチュズチュと淫らな音が漏れる。 そのたびに頭が白くなるような快感が走り、今度こそ、本当の絶頂が近づいてくるのが分かる。 (これがとっても幸せなの……) もうそこには誇り高きセカンドチルドレンはいない。 少年たちを笑い飛ばす勝気な惣流アスカもいない。 いるのはただ雄に抱かれ、浅ましく腰をふり快楽をむさぼる雌。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/558
559: 【安らぎの契約(第21回)(14)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:07:31.86 ID:7fioB4K7 「あああっ……!」 天を仰ぎ喘ぐアスカにシンジが囁く。 「ほら、見てごらんよ、アスカ。こんなに気持ちよさそうな顔してさ」 シンジの手がアスカの顎を支え、正面を向かせる。 (なぁに……?) 目の前のモニターに映し出された女の顔。 アスカは快楽のペースを落とされ不満を感じながらそれを見つめる。 (だぁれ(誰)……、これ?) 惚けた、締りのない笑顔。 茶色がかった綺麗な髪、整った鼻筋、蒼い瞳。 白人のようなシャープさと東洋人の柔らかさを兼ね備えた顔立ち。 誰よりもよく知っている顔。 (あ……、ママの顔) (『あの時』のママの顔だ……) 最後に見た、表情を持った母の顔。 だが、目の前にあるのは記憶にある母の顔とは良く似ているが、まだ幼さを残した少女の顔だ。 アスカはすぐにそれが何かを思い出す。 (――ううん、これはアタシの顔) けれども、その微笑みは母を強く思い起こさせる。 (アタシ、ママと同じ顔をしている…) 世界で一番好きだったはずの母の、一番嫌いな顔。 (……これがアタシの顔……) 「アスカってエッチだね……!」 シンジが息を荒くしながら、耳元で囁く。 「あああっ!!」 その貶めの言葉にアスカの僅かに残った羞恥心が悲鳴を上げさせる。 それに呼応して、絶頂に向かうのであろうシンジの突き上げが一層激しくなり、それが与える快感がアスカの理性を剥ぎ取っていく。 (どうしてアタシはこんな顔……) ますますだらしなく蕩けていく目の前の顔をぼんやりと見ながら、アスカもまた最後の高みへと持ち上げられていく。 「アスカっ!出すよっ!!」 シンジの声が遠く聞こえる。 シンジの叩きつけるような射精を胎内奥深くに受け止めアスカの思考は真っ白に焼き尽くされていく。 アスカは薄れ行く意識の中で最後にその顔の正体に辿り着く。 母と自分とあの人形の『アスカ』が3重に重なった顔。 その顔が微笑む。 それは。 『魂を失った人形の笑顔』 現実という苦痛から、自らの死という快楽に逃避した女の顔。 やっと認識した自分の現実の姿。 (い……、いやああああ!!!) 悲鳴は言葉にならなかった。 心とは裏腹の、肉体からの快楽への屈服の呻きをエントリープラグ内に響かせながら、絶望の中でアスカは絶頂に達していった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/559
560: 【安らぎの契約(第21回)(15)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:08:33.91 ID:7fioB4K7 シンジは、マンションの自室で気だるい朝を迎える。 時計を見ると、時刻はもう午前12時近かった。 昨晩はあの後も、何回もアスカと交わった。 アスカはすっかり従順になり、まるで人形のように自分のなすがままになっていた。 それどころか服を着ることすら満足に出来ずに、苦労して家に連れ帰った時には日を跨いでいた。 家の中を見回ったが、アスカもミサトもいないようだった。 「アスカはネルフ本部にいったのかな……」 ふと胸騒ぎを感じて、手に取った携帯電話が突然鳴り響き、シンジは驚く。 「はい、碇です」 「シンジ君?」 赤木博士のの声だった。 「アスカはそちらに帰ってきたかしら?」 「いえ、出かけているようですが……」 「そう……」 彼女にしては珍しく落胆したような声。 「私は今、あまり自由に行動できる立場じゃないの。だから手短に話すわ。アスカの希望でね、今日、朝一でシンクロテストをしたそうよ。」 一瞬の間をおいて、赤木博士が続ける。 「結果は……、シンクロ率はゼロだったそうよ」 突然の悪いニュースに気だるかった体に衝撃が走る。 「ゼロ?この前は順調に回復しているって、アスカが……」 「この前はね。でも今回はゼロだったそうよ。もちろん機械の故障じゃないのは確認済みよ」 「アスカのシンクロ率がゼロ……」 にわかには信じがたかったが、赤城博士の言うことなのだから、事実なのだろう。 アスカはきっとひどいショックを受けているだろう。 「それでアスカは今どこに?」 「……それが分からないから、あなたに電話したのよ。マヤがテストに立ち会っていたんだけど、計測値を伝えたら、家に帰ると言ってそれきりよ。マヤ達は計測器の故障だと思い込んで、そのまま調査を続けたそうだけど、対処の対象を間違えたわね……」 赤木博士はため息のように息をはいてから次の言葉を口にする。 「……あの子、結果を聞いてどんな顔をしたと思う?」 シンジの息が止まる。 「笑っていたそうよ。可笑しそうにね」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/560
561: 【安らぎの契約(第21回)(16)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:58:14.72 ID:7fioB4K7 「アスカ……どこいっちゃったんだろ……」 あれから10日以上もたつ。 少女の行方は杳として知れない。 毎日、こうして当ても無くアスカの姿を追い求めている。 「でも会ってどうするんだ。綾波の話でもするのか」 自らネルフを去っていった少女。 彼女を探し求めて伝えたい言葉はなんだろうか? 「トウジもケンスケも友達はみな家を失って遠くへ行ってしまった」 「友達は、友達と呼べる人はいなくなってしまった。誰も」 「綾波にも会えない。その勇気がない。どんな顔をすればいいのか分からない」 取り留めの無い、独り言。 「アスカ、ミサトさん、母さん。僕はどうしたら…。どうすればいい」 最後に思わず口を突いて出た、弱音。 その先頭に自然に出てくる少女の名。 ほんの一年前まで、存在すら知らなかったはずの少女。 なのに今はまるで半身を失ったような気持ち。 「どうして、僕を一人にして、どこかに行っちゃうのさ?」 「シンクロ率なんてどうでもいいじゃないか……」 言いかけて、ふと、少女がなぜ姿を消したのか、本当の理由に思い当たる。 シンジの歩みが止まる。 記憶の底に閉じ込めていた、気づきたくなかったこと。 もやもやとしていたことが頭の中で形になっていく。 正確にはずっと、心の奥底に押しやっていたあることが、口をついて出る。 最初の夜に聞いた、少女の泣き声。 最後の夜に見た、少女の涙。 「……僕はアスカに、酷いことをしたんじゃないのか?……」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/561
562: 【安らぎの契約(第21回)(17)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 08:59:43.43 ID:7fioB4K7 太陽の熱さも、風の圧力も感じない。 何も聞こえない、色を失った世界。 落ちたことに気づくことなく自分は奈落にいる。 (僕はアスカに……) もう少し、思考を巡らせればそう確信できそうだった。 そんな予感にシンジは背筋を凍らせる。 だが、そんな静止したような世界にいたのは一瞬だった。 「フフフンー」 「え……」 廃墟になった無人地帯におよそ似つかわしくない、能天気な鼻歌。 しばらく聞くことの無かった、同世代の少年らしき、透き通った声だ。 シンジはその声の主を探して振り向く。 「歌はいいね」 その顔を認めた刹那に、唐突な言葉がかけられる。 ほんの数メートル先、その存在に気づかなかったことに驚くほど近くにその少年はいた。 思ったとおりの、同じ中学生らしき少年が湖に半ば埋まった大きな石像の上に腰掛けている。 右から射す夕日の赤い光が彼の髪を輝かせている。 まるで絵画の様な情景と、見知らぬ少年にいきなりかけられた言葉にどう返したら、いいかシンジはとまどう。 「歌は心を潤してくれる」 少年はまるで、『歌』というものを初めて発見した学者でもあるかのように、しみじみと言葉を続ける。 その声は柔らかく、軽やかだった。 「リリンの生み出した文化の極みだよ」 少年がニッコリとほほ笑む。 『リリン』という、恐らく人間を意味するだろう聞きなれない言葉とひどく大人びた感想を口にした後にはおよそ不釣合いな、無邪気な幼児のような微笑み。 こんな、人の笑顔を見たのは久しぶりだった。 シンジはその微笑に吸い込まれていく。 それらのアンバランスなその組み合わせなどどうでも良いと思わせるほどに。 その微笑はすべてを赦すようにシンジを包んでいく。 つられて、自分の頬も緩んでいくのが分かる。 ついさっきまで自分を苦しめていた、心の中にあるわだかまりが消えていくのが分かる。 突き刺すような視線で自分を見た蒼い瞳の少女のことも。 胸の奥に刺さった棘のような小さな痛みも。 「そう感じないかい?」」 少年は大きな瞳で、まるですべてを見通すかのように見つめてくる。 だが、この瞳になら何を見られてもきっとかまわないだろう、とシンジは思う。 きっと誰かが彼を自分の元に遣わせてくれたのだろう。 無人の野で彷徨う自分の為に。 それは彼のさらなる微笑と共に発せられた次の言葉で確信に変わる。 「碇――シンジ君」 (つづく) http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/562
563: 【安らぎの契約(第21回)(18)】LASキッチー ◆8U.wBEFm.PLF [sage] 2016/03/27(日) 09:02:59.53 ID:7fioB4K7 ・あとがき 足掛け6年になりましたが、これでTV版相当部分はおしまいです。 旧劇の準備稿にあった24話時点のシンジの没台詞「僕はアスカに酷いことをしたんじゃないのか?」と、やっぱり没設定のシンジとアスカに肉体関係があった、という没設定を復活させてみたかったのがこの話の主眼なので、まあだいたいやりたいことが書けて満足です。 カヲル編は本編準拠で特に整合性に問題なさそうなので、ノータッチです。 このまま、後3話はEOE編になります。 一応2015年度内にTV編が終わったので、EOE編は2017年夏までには完結予定です(笑)。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382234175/563
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