[過去ログ] ファイアーエムブレム&ティアサガ第51章 [転載禁止]©bbspink.com (153レス)
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124: 2015/02/27(金)04:59 ID:aaFJJKSC(3/7) AAS
アカネイア王マルスの目下の悩みは軌道に乗ってきたアカネイアの
復興ではなく、寝室のすぐ上に存在していた。
親友であり苦楽を共にした戦友のマリクは
エルレーンに魔法都市カダインの統治とエクスカリバーを返上し
自身はアカネイアでマルスを補佐しつつ、パレスのアカデミーで魔術の教鞭を取っていた。
問題は彼の妻にして実姉のエリスだ。彼女は以前からマリクと恋仲にあった。
戦後、二人は国民たちの祝福の中で結ばれ、幸せな日々を送っていた。
エリスにとってはやっと手に入れた蜜月の時である。
しかし彼女は夫となったマリクに昼も夜もべったりと腕を抱いて寄り添っていた。
廷臣たちの好奇な視線を気にする事なく
彼女はいつでも夫に抱きつき、口づけを求める。
マリクは何分相手は王姉で、年上という事もあって無下には出来ず
その度に顔を朱に染めて応対しなければならなかった。
エリスの愛は激しく、一向に弱まる事がなかった。
それは夜の営みにおいても同じであり、マリクはエリスと
婚姻した初夜からずっと、彼女を抱き続けていた。
おまけにエリスは淫乱の気があるようで、一度や二度の愛交では決して満足しなかった。
日に数回の務めが幾月も休みなく続いているため、マリクは段々と痩せ始めていた。
「マルス様、どうかエリス様を何とかしませんと……」
マルスの後見人である老将のジェイガンは言葉を濁して忠告した。
最近若い兵士たちの間で風紀が乱れ始めている。
彼としては何とか注意してやりたいが、強く言い出せないでいた。
何しろ兵士たちは夜中に響くエリスの嬌声を聞いているのだ。
上がこれでは部下たちにも示しがつかないのも道理である。
独身の守備隊長カインに至っては、何かと浮いた話の多いアベルの存在もあってか
ここ一月は酷いノイローゼにかかってしまっていた。
「……それならジェイガンが注意してよ」
「それが出来ないのは、マルス様もよく御存じでしょう?」
「じゃあ僕にも出来ないって事、ジェイガンも分かるじゃないか……」
「……」
「……」
主従二人は大きなため息を毎朝のようについていた。
マルスとてこの相談に頭を痛めてない訳ではない。
既にアリティアの王家について良からぬ醜聞が立ち始めていた。
彼は日に日に痩せていく親友の健康状態も心配だし
自分たちの新婚生活に少なからず影響を及ぼしているこの問題を
何とか解決しようと、食事の場などで度々姉にそれとなく注意を促した。
しかし、エリスは一向に聞き入れなかった。
「マルス……私はガーネフに囚われて生け贄となるまでどれだけ心細かったか
どれだけ貴方たちの救いを待ち望んでいたと思いますか?
それなのに貴方は生け贄から解放されたシスターたちに一体何をしたと思います?」
こう言われるとマルスは口を閉じざるを得ない。
彼はあの時、全軍レベルMAXクリアを目指していた。
全軍とは救出したシスターたちを含めて全軍である。
恐ろしい暗黒竜メディウスの生け贄から解放され
泣いて肉親や恋人と再会していたシスターたちの細い手に
あの時のマルスは杖の束を手渡した。
「さぁ皆、ターンの許す限り杖を振りまくるんだ!」
そう、終章のマルス軍において最高レベルに
到達していなかったのはもう彼女たちしかいなかった。
メディウスを倒し、チョロチョロと湧いてくる氷竜火竜の増援を
オグマたち勇者部隊が沈めている傍らで、ニーナ、レナ、マリアそしてエリスは
光なき眼で黙々と杖の空振りを行った。
磨耗した精神と消耗した体力で、まともに上がらない腕を酷使して彼女たちは杖を掲げ続けた。
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