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猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第12章 [無断転載禁止]©bbspink.com (217レス)
猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第12章 [無断転載禁止]©bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/
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103: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:08:41.34 ID:kk4/yCal 「じゃ、始めようぜ」 言うが早いかウェットスーツを脱ぎ始めると、剥き出しの大きな胸がポロリとこぼれる。彼女はその下には何も付けておらず、スルリと脱ぎ続けるにつれ、褐色に焼けた見事なプロポーションが露わになる、結構な筋肉質だ。 「あのー、広海サン……」 恐る恐る青年が尋ねると、彼女は怪訝そうに返す。 「ん、何だよ?」 「その、水着の跡とかないんですけど……」 「あん? 嫌いなんだよ、そこだけ白く残ってるの。だからワザワザ焼いたんだ。あ、ちゃんと人がいない所でやってるからな」 「あ、うん」 青年も服を脱いでトランクスタイプの海パン姿になる。中肉中背に見えて実は結構筋肉質で、腹筋などもわずかに割れ目が浮き上がっている。 「何だよ。裸でいいじゃないか。どうせアタイ以外見てる奴はいないんだし」 青年の腰の辺りにジロジロと無遠慮な視線を投げかける。 「いや、まあ、なんというか、やっぱりモロ出しってのは恥ずかしいんだよ」 脱いだ自分の服と彼女のウェットスーツを簡単に纏め、青年はズッシリした石を重しとして服の上に載せると、懐中電灯のスイッチをカチッと切る。 「まあいいや、どうせ脱がすんだし。ほら、行くよ」 彼女がスッと手を差し出す。 闇の中、青年の姿が変わった。夜目や遠目にはわからないが肌は血の気の失せた土気色に、顔は若干干涸らびて目がギョロっとした感じになる。生ける死人、それが青年の本性だった。 彼が手を取ると広美はそれをガシッと握り、グイッと引っ張ってからピョーンと跳ぶ。一瞬のフワッとした浮遊感、そしてドボンという衝撃とともに二人は海中にいた。 広海の首の両脇に、鰓の亀裂がパクッと広がる。その顔に、自信に満ちあふれたニッという笑顔が浮かぶ。 そして彼女は泳ぎだした、青年をグイグイと引っ張って。高速でバタバタと足を動かし、おおよそ魚か何かのような人間には出し得ない速度でスイスイと海中を進む。 鰓呼吸に息が止まった者のコンビだ、息継ぎはない。夜の闇色の水の中でも、広海の感覚には周囲が手に取るように浮かび上がるし、青年の死人の目は闇を見通せる。だから何の不自由もなく二人はただひたすら水中を進んでいく。 やがて沖合にある小島に到着すると、二人はそのまま水中を進んで海蝕洞に入り、突き当たりの小さな砂浜へと上陸する。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/103
104: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:10:58.66 ID:kk4/yCal 「ただいま、ってのも変か」 そう、広海がポツリと呟くと、青年が砂浜の向こうの岩場にある小さな祠を見る。 「ただいま、でいいんだよ。だってここは、二人の愛の巣なんだから」 彼女の頬がポッと赤らむ。 「ああ、もう。恥ずかしいこと言いやがって、惚れ直しちまうだろう」 青年は祠の裏にあった電池式のランプを取り出してパッと点灯させ、同時にドクンと心臓を動かす。手元のまばゆい光に照らされるのは、生気に満ちた生者の姿だ。 「じゃ、早速ヤろうぜ」 広海はペロリと舌なめずりをして砂浜でクイクイっと手招きをし、足下を指さす。青年はヒラリと海パンを脱ぎ、上体を後ろに、足を前に投げ出すようにしてそこに腰を下ろす。 そこへ広海がガバッと覆い被さる。肉食獣の、捕食者の、血に飢えた笑みを浮かべ、情熱的に唇を奪う。 舌をグイッと差し込み、口腔をグルグルとかき回し、青年の舌とヌルヌルと擦り合わせる。舌だけではない、首を僅かにグッグッと振り、少しでも舌を奥にねじ込もうとする。 やがて二人はプハァッと唇を離す。ともに頬は朱に染まり、ハアハアと息を荒げたままキラキラと潤んだ瞳で互いに無言のまま見つめ合う。青年は下の方が臨戦態勢になっている。 広海は彼をドサッと押し倒すと、再び濃厚な口づけをする。同時に彼の下の方に手を伸ばしてサワサワと愛撫を始める。 彼も手を伸ばして彼女の豊かなバストやヒップに手を伸ばし、ニギニギと愛撫を始める。 広海は再び口を離すと、今度は彼の頬・首筋・胸などを順にゆっくりとペロペロ・クチュクチュと口で愛撫してゆく。ちなみに両手は彼の両手とギュッと恋人繋ぎをしつつ、しっかりと押さえつけている。 「ふふっ、アンタは動くなよ。しばらくアタイにされるままで居な」 まるで倒れ伏した得物を食べる肉食獣のような体勢で、青年を見下ろしつつ広海は言い放つ。ただですら悪い目付きがギラリとした凶悪な輝きを放つ。どうや『鮫』だけあって、マグロが好物のようだ。 広海の舌は彼をペロペロと舐め、ときにカリッと甘噛みし、浮き出た乳首、両側の脇、筋肉が浮き出た腹、そこに穿たれた臍と次第に下へと移っていく。 既に両手は解放しているが、もはや彼は為すがままされるがままだ。やがてツツッと太腿を舐め終えると、彼のモノをパクッと咥えた。 彼女の口が奏でるペロペロ・クチュクチュ・ズッズッという快楽に、青年の口からわずかに喘ぎ声が漏れる。 「ちょ、ちょっと、ストップ、ストップ! 出ちゃう、出ちゃうから!」 しばしその快楽に溺れていた彼の口から、懇願の言葉が紡がれる。一度出せば回復までしばらくかかり、その分本番が、さらに後に続く真の『本番』が遠のいてしまう。 「チッ、しゃーねーな」 プハッと口を離すと軽く悪態を吐き、彼女はスックと立ち上がって仁王立ちで彼の腰を跨ぐ。横たわる彼を完全に見下ろし、軽く睨め付け、凶悪な笑みを浮かべる。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/104
105: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:11:41.77 ID:kk4/yCal 「いくぜ」 そう言って広海はゆっくりと腰を下ろし、両手を彼我の男女の双方のソレに添えて位置を合わせると、今度は下の方で彼のモノをグッと咥えた。一瞬、フッと吐かれる二人の息が合う。 あとはもう、ひたすらケダモノ達の貪りあいだった。 広海はズプッズプッと激しく腰を動かし、ただただ己の快楽のみを追求する。青年は彼女の両胸に手を当て、ひたすら荒々しくグニッグニッと愛撫し、ときに上体を起こして口もそこに参加させる。 やがて、感極まった彼女が前倒しになって荒々しく三度目の口づけをした頃、青年は一度果てる。 だが、彼はそのままの状態でいまだ果てられぬ彼女を強引にグイッと引き倒し、ギュッと抱きしめる。 「愛してるよ。広海」 耳元でボソッと囁かれる甘い言葉。彼女の上気した頬がさらにカーッと赤らむ。 ——誰にでもそう言ってるんだろう? この女たらし—— 照れ隠しと青年の真実を混ぜ合わせて浮かんだその言葉は、広海の口を出る前に消え失せた。少なくともこの日この刻この瞬間、彼は間違いなく——肌を交えているせいもあるのだろうが——彼女の事を愛しているのは確かだろう。 彼はそのまま優しくサワサワと愛撫を始める、バストやヒップや太腿ばかりではない、肩や腰や背中、頭や頬や首筋に、ときに頬摺りなども含めて優しく穏やかに慈しむように。それは正に『愛撫』と呼ぶに相応しい。 そして彼は囁くように呟くように言うのだ、「広海」とか「愛してる」とか「好きだ」とか。 広海は身も心もくすぐったく、むずかゆく、こそばゆく感じ、それが却って新たな刺激となる。やがて、彼女が咥えたままの彼のモノが回復してくる。 そしてそのまま第二ラウンドが始まり、再び激しく腰を動かす広海。両手をしっかりと恋人繋ぎにして互いに夢中で名を呼び合い、今度は一緒に果てる事ができた。 互いに荒い息で汗だくのまま身体を重ね合わせ、呼吸が静まるのを待つ。その間、青年は自分の胸の上の広海の頭を幾度となく優しく撫でた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/105
106: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:16:03.33 ID:kk4/yCal やがて呼吸を整えた青年はスックと立ち上がると、広海を残してバシャバシャと水の中に入っていく。そして首までの深さに到着すると、洗うように手で身体をゴシゴシと拭う。 「そろそろ『本番』いいか?」 すぐ近くで広海の声がした。この海蝕洞は壁面沿いに丁度通路のように岩が張り出している。 彼のすぐ近くの岩の上に彼女がしゃがみ込んで——ちなみに全裸で足を開いている——こっちを見ていた。 先程肉欲に溺れたよりも、もっと攻撃的で、もっと飢えてて、もっと情熱的な眼差しだ。彼女がベロリと舌なめずりをしたあと、ゴクリと唾を飲む。 「どうぞ、鮫姫様」 青年は微笑みつつ彼女を見、後ろの深みへと立ち泳ぎで移動する。 「な、なあ。一遍にじゃなくて、少しずついいか?」 涎を垂らしながら、彼女は問う。その口に並ぶ歯は、人間にはあり得ない程尖っていた。 「ああ、最初のときみたいにか。どうぞ、リクエストは?」 青年はニコリと微笑んで是を返す。 「ええと、まずは左腕っ!」 彼女がニヤリと凶悪で凶暴で残虐な喜色満面の表情を浮かべて跳び上がり、ドボンと水へと飛び込む。続いてブワッと水が膨張して波が彼を押し流す。 否、水が膨張したのではない、彼女が膨張したのだ。 そこにあったのは水中の捕食者としての機能美だった。恐竜すらいなかった古来より、水中を高速で泳ぐ捕食者としての頂点としての姿であり、後に大型海棲爬虫類や哺乳類も追随した綺麗なスラリとした流線型の体。 それは、大きな鮫であった。何度見てもとても美しい、青年はそう思う。 再び水がバシャッと爆ぜ、彼の体にドンと衝撃が走った。すぐにそれは左肩のカッとした灼熱感に代わり、やがて名状しがたい激痛へと変化していった。 だが青年は片頬をグッとしかめるだけで済ませる。見れば左腕が消失し、肩の断面からは水中に血が噴き出していた。 美しき鮫が、すれ違いざまに一瞬にして彼の左腕を食い千切ったのだ。 続いて再び急激な水流、ただし今度は膨張ではない。引き寄せるような水の流れ、即ち収縮だ。 鮫の姿がかき消え、そこから褐色の美女がバシャッと水面上へと飛び上がる。その手に掲げているのは、青年から失われた左腕。 彼女は壁面の岩にスタッと降り立つと、顔を上に向けて手にした彼の左腕を掲げる。そして口から離したジョッキから酒でも飲むかのように、その断面からボタボタと流れ出す細い紅の美酒を口で受ける。 流れの安定しないそれは、彼女の鼻を頬を唇を顎を首を肩を胸元を、禍々しく忌まわしく悍ましく紅に汚してゆく。 「おーい、血ぐらいなら後で幾らでもやれるんだけど」 そう青年の呑気な声がする。その姿は既に生気のない死人のもの、しかし見た目に反して左肩の出血は止まり、断面を肉が覆い始めている。 「だってさあ、勿体ないじゃんか。折角ダーリンがくれたものだし」 断面からポタポタと滴る血潮を舐めつつ広海は答える。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/106
107: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:17:39.98 ID:kk4/yCal 「そりゃ、どーも」 気のない返事で彼は応じ、右腕一本で自分の体を彼女と同じ岩の上にザバッと引き上げる。そしてしばし意識を集中してからフンッと気合を込めると、見る間にニョキニョキと左腕が生えてくる。 『ピッコロ』という言葉が浮かんでくるが、彼女にそれは通じないだろう。 一方の広海はというと、ドカッと胡座をかいて——ちなみに全裸でスッポンポンでオールヌードなので丸見えである——両手で彼の左腕を抱えてその鋭い牙でその肉を一心不乱にガツガツと食む。 「なあ、今回はその姿で食うのか?」 「たりめーだろ。こっちの姿の方が小さいから、食った感じするじゃんか。半年ぶりのダーリンのお肉だよ、一口で済ますなんてできないだろ。できるだけ味わったりしたいじゃん」 血糊のついた頬をポッと染め、鮫の女は答える。 「ああ、もう、ほんと可愛いなあ」 そう言って青年は生者の姿になって彼女の背後でしゃがみ、そっと抱きしめる。 「そんな事言われたら、生贄冥利につきるよ」 広海の頬の赤みが一層濃くなり、動きがピタッと止まる。 「ほらほら、まだまだ食べ足りないんだろ? お代わりを出すから、早く食べちゃいなよ」 耳まで顔を真っ赤にして、広海はガツガツと猛烈な勢いで腕の肉を平らげる。 同様の事は何度も何度も行われる。右腕、左脚、右脚、再び右腕、ときに下半身丸ごと……、その度に青年は激痛を味わい脂汗を流すが、声はあげずにただ僅かに表情が揺らぐのみ。 最後に食いちぎった青年の下半身丸ごとを掲げ、ザバッと海から飛び出た広海は心の中で喝采を叫ぶ。 ——うおおおっ! やった! ダーリンのアレだ!—— 前回までの彼女は彼の胴体全部をガブッと口に咥え、その首をブチッと噛み千切って残りをゴクンと呑み下す。首だけになった彼はそこから全身を再生させ、ときにはお代わりとしてもう一度喰われたりする。 しかし今回、青年のモノを口で愛撫したときにストップをかけられて広海はふと思ったのだ、これだけをガブリと噛み千切って食べてみたいと。 とはいえ広海も一応は女の子で、男のそこを露骨に食べるというのにも恥じらいを感じてしまう。 だからそれをカムフラージュするために、少しずつの食い千切りという我が儘——青年に余計な苦痛を与える事になる——を叶えて貰うことにしたのだ。 青年のいる海中に目をやれば、彼は下半身がないので立ち泳ぎが出来ず、そのままゆるりと沈んでいる。 彼に呼吸の必要はないし、瞬間再生はそう連続してできるものではない。だからそのまま水中で通常の高速再生で下半身が生えるのを待つつもりだろう。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/107
108: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:18:58.60 ID:kk4/yCal ——おっし、ダーリンは見てない—— 広海は掲げた下半身の両脚の間に顔を埋め、彼のモノの先端をパクッと頬張りその尖った牙でブチリと食い千切る。 柄にもなく顔を赤らめ、口の中でレロレロと転がしてその形を舌で充分なぞってからからモグモグと咀嚼する。 こうしてその部分のパーツを一口ずつ噛み千切り充分に舌で転がして、ゆっくりゆっくりと完食する。 次は臀部だ。筋肉質で引き締まった青年のそこからは、排泄物の臭いはしない。女神様に汚物を喰わせるわけにいかないと、消化器官も含めて完全にきれいにしているのだ。 ちなみにその方法は、この青年らしく常軌を逸している。『通常の客』用の商品として一度首から下を切り落とし、その後に全身を再生、以降は食事をせずにここまで来ているとの事だった。 空腹を紛らわせるために、小まめに飲食不要なゾンビ状態を繰り返しているとも聞いた。 ——やっぱ愛だよな—— 広海は嬉しげにニコッと微笑む。 さっきはなんとなく流れでできなかったので、一度そこの全体を舐め回し、きれいにしてある穴にも一度舌を差し込み、それから固そうなその膨らみにツブッと牙を立てる。 それからはもう、食欲の赴くままにガジガジと囓り続ける。愛する人の肉——下半身丸ごとだから結構な分量だ——を夢中で腹に収めていくうちに、下半身の再生を終えた青年が海から上がってくる。 「ふう、喰った喰った。もう満腹だぜ」 やがて広海が岩の上に大の字に横たわる、もちろん全裸でだ。その腹は大きく膨れていた。ちなみに骨も鮫状態で残さずいただきました。 彼女は横目で傍らに佇む青年を見る。無限に再生可能な不死身の身体でも、やはりなんらかの消耗はあるのだろう。 或いは身体を食いちぎられる苦痛のせいか、彼は生者の姿をしてはいるが生気の失せた疲労感を漂わせるげっそりとした表情でしゃがみ込んでいた。 「はあ、別の意味でお腹を膨らませられたらな……」 右手で丸くなった腹を撫でつつ、その視線は海パンを履いた青年の腰に注がれている。 「え、ちょ、ちょっと。まだ塾講師の給料じゃ子供なんて……」 「冗談だって。アタイはどうも子供はできないみたいなんだ。多分、アタイが生み出せるのはこの海の幸と安寧だけみたいだ」 この一帯の海を司る豊穣の女神、その『海の幸を生み出す』能力が強すぎるせいで『自らの子を産む』という能力は阻害されているようだ。 「では、鮫姫様。これから一年の間の海の幸と安寧をお願いいたします」 青年は、サッと正座して深々と頭を下げる。 「お、おう。任せろ。不漁だの海難事故なんて起きないよう、ちゃんと管理するぜ」 広海は起き上がるのは億劫なので、寝そべったまま答える。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/108
109: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:21:07.60 ID:kk4/yCal 今は鮫島広海と名乗っている鮫の女神、それが生まれたのは恐らく二千年はくだらないだろう昔の事だ。彼女もまた大抵の土着の神々と同じように、この付近に住む人間の信仰心が凝って生まれた。 漁業の成果と安全を求める人々の想いから生まれたのだから、当然ながら彼女は豊穣の女神であり、時化や潮流を司る海神でもあった。 そして古の自然神に相応しく、その自然に棲む生き物——大抵は代表的な強い生き物——の姿をとる事になる。よって、彼女は鮫神として生を受けた。 豊穣神とはつまるところ生命の神である。何故なら豊穣によって与えられる糧や道具の材料などは、結局のところ生命を繋ぐ為にあるのだから。 そして生命を司るということは、与えるだけではなく奪う事もその権能に含まれてしまう。彼女は鮫だ。恐るべき海中の肉食動物だ。だから彼女は古代の母神によくあるような人食いの女神でもあった。 自然とは気まぐれなものである。人の都合などお構いなしに地震・台風・噴火などの天災を起こす。だから人々の想いによって神格化された自然もまたそうなってしまうのは自明の理。 人々はそういう神々に対して、崇め奉り貢ぎ物で機嫌を取ろうとする。だから彼女は豊穣神として諸々のものを与えるために、対価を欲する性質を与えられてしまう。 そして命を繋ぐものの対価は、それもまた命である。こうして彼女は神としての豊穣や安全をもたらす能力を振るう為には、人間の生贄が必要な存在となってしまった。 とはいえ、この海は比較的豊かで穏やかだ。だからよほどの不漁や時化が続いたときしか、贄は捧げられない。 それでもまだ彼女の自我が目覚めぬ頃、ただ本能のまま人々の思い描いた神として振る舞っていた頃に三人の生贄を受け取った。 最初の二人は老人——当時の基準で——だった。不漁や時化が続いて村が飢え始めたとき、老いて衰えた身を村の為に捧げて逝った。その新鮮な肉は、何故か全く美味くはなかった。 三人目は少年だった。事故で両親を失って養ってくれる肉親もなく、村では未だ充分な労働力としては扱われずに、やむなく予約的な贄扱いとなった者だった。 『生贄』だの『人身御供』だのという呼称は聞こえが悪いので、彼は女神の『花婿』と呼ばれた。 彼は村での簡単な作業と広海の世話や祭の儀式をする神官としての役割をこなし、やがて青年へと成長した花婿を広海は抱いた。彼女にとっては初めての男性だった。 そして、長期にわたる荒天とそれによる不漁が訪れた。広海は村に糧を与える為、花婿を口にした。 「どうぞ、海神様」 彼は、総てを覚悟した優しい笑顔でそれを受け入れた。 その肉は不味かった。不味かった。不味かった。とてつもなく不味かった。 通常の苦みやえぐみを遙かに凌駕する不味さで、一瞬でも口に含むことさえ躊躇われる程であった。さらには、咀嚼すればそれは口中にとてつもない不快感を広げ、そして嚥下など到底不可能な程の吐き気すら催した。 それでも必死になって広海は我慢してゴクリと嚥下した。そうしなければ彼の命が無駄になり、彼が命を賭した願いは無になってしまうからだった。 人間ならダラダラと脂汗を流しブツブツと鳥肌を立てバタバタとのたうち回る程の苦痛を堪え、ようやく彼を腹に収めて彼女は神としての力を振るう。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/109
110: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:22:32.53 ID:kk4/yCal 村は救われた。だが、広海は救われなかった。 もう彼とは会えない。彼の声も、彼の笑顔も、彼の温もりも、彼の優しさも、総て二度と感じる事はできない。なぜなら自らの手で愛する人の命を奪ってしまったからだ。 彼の居ない日々が延々と続くと思うだけで、目の前がサアッと真っ暗になるような気がした。その闇の中で彼女は懊悩する。 自分は自然を司る神として生を受け、何も考えずに贄を摂るのは普通の事だと思っていた。しかしこのとき以来、神としての在り方に疑問を疑念を迷いを感じ、悩んで悩んで悩んで、そして在り方を変えた。 「我が花婿はただ一人。これからは花婿は取らぬ」 体の良い言い訳とともに彼女が提案したのは、水葬であった。 「海の幸により命を繋ぐ代償として、死後はその身を海に捧げよ」 幸い、広海は生きている人間を食べる必要はない。おおよそ人間一人分の人肉が得られるのならば、新鮮な死体で充分なのだ。こうして彼女は以降は人を殺さずに過ごせた。 彼女は海の女神であり、基本的に陸地の事には関与できない。 そして陸には疫病があった、戦乱があった、また、地震による津波にはさしもの彼女も力が及ばない。悠久の時のなかで村は幾度となく無くなり、そして新しい人々が訪れて再び村は興る。 その度毎に村人は海神に祈りを捧げ、彼女はそれに応えて水葬と引き替えの海の幸と安寧を約束する。 そして長い年月が経ち、やがてローカルでマイナーで小さな神は忘れ去られ、ここ百年ばかりは水葬の習慣もなくなった。 ただの鮫の妖怪として暮らすなら、彼女は人を食べる必要はない。ときに人の姿を採り、人の世界をうろつく事もよくあった。 そんなある日、彼女の祠のある小島にボートで一人の青年が訪れ、海蝕洞に入ってきた。彼は神より低位の超常の存在、妖怪だった。 「お初にお目に掛かります。この海域を統べる、美しく麗しく慈悲深き鮫神様。私は亡者『DEAD』と申しまして、贄としての人肉を売っております」 彼は耳を疑う事を言った。 妖怪もまた神と同じく人間の想いが実体化したものであるから、その想いに支えられて身体の恒常性を持つ。 具体的に言えば四肢などを欠損しても時間が経てば元の状態に戻るし、死んでも長い年月の後には再び蘇ることすらある。 四肢などの再生には通常は数ヶ月かかるのだが、青年はわずかな時間でそれをすませる事ができる。その特性を利用して、人食い妖怪や古の神などに自分の血肉を売っているのだと言う。 「ふざけたヤローだ」 お試しにどうぞという彼に対し、彼女は鮫の姿となってその左腕をガブッと食いちぎってやった。彼はわずかに顔をしかめ、そしてその場でズルリと腕を生え替わらせてみせた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/110
111: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:25:08.20 ID:kk4/yCal 「初回でお試しですので、いくらでもどうぞ」 そう言って彼は、嫌がる事もなく幾度も幾度もその身体を捧げた。食いちぎられる度に痛みは感じているのだろうが、ほぼ微かに表情に出るだけで叫びもしない。 食べても食べても短時間で再生するその肉は、記憶にある生きた贄と比べてちっとも不味くはなかった。いや、むしろ美味いとさえ感じるようになった。 やがて満腹となり、久々にすっかり神としての力を取り戻した広海は問う。 「オマエ、何が望みだ? こんなに痛い目をみてまでして、何が欲しい」 「肉の対価として、この海での豊穣と安寧をもたらして下さい」 そう、青年は答える。 「豊穣って言っても、もう漁業なんてやってねーぞ」 隣町に大きめの漁港ができて久しい。それに対して観光客の釣り程度で構わないと彼は答える。むしろ安寧——即ち海難事故の防止——の方に力を注いで欲しい、そう頼んできた。 「そんなもんでいいのか? というか、オマエ余所者だろ? なんでこんな田舎町の事を……」 「僕は観光事業の方と繋がりがありましてね、そちらからの依頼です。人々の安全のために、慈悲深き鮫の女神のお力添えをいただきたいので、僕に白羽の矢が立ったわけです」 言い得て妙だ。白羽の矢とはそもそも生贄の家への目印なわけだから。 こうして青年は、定期的に広海の下を訪れて自らの肉を捧げた。彼女が力を維持するには年に一度で良いのだが、彼は半年に一度は訪れる。何時しか、彼女は彼を心待ちにするようになった。 そして贄であるから、かつての慣例に倣って彼を花婿と呼び、やがて実際に花婿としての関係を結ぶにいたった。彼には多数の顧客——古の人食い女神を多数含む——がいて、何柱ともそういう関係を結んでいる事を承知の上で。 また同時に、人の世に住む彼——本業は学習塾の講師だという——への興味から、地元の妖怪達の協力を得て人間としても生活するようになった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/111
112: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:26:17.60 ID:kk4/yCal 広海はふと目を覚ました。どうやら激しい運動の後に満腹となったので、眠ってしまったらしい。気休め程度ではあるが、身体にレジャーシート——ランプと同じで以前青年が持ち込んだ物——が布団代わりに掛けられていた。 青年はと見ると、すぐ近くで同じく眠っているようだ。ようだ、というのは呼吸も脈拍も体温もないゾンビモードで横たわっているため、一見するとただの屍にしか見えない。それでも暫く見れば寝返りを打ったりするのがわかる。 広海は、しばし彼を観察する。細い眉に垂れ目と間の抜けた印象の口の柔和な顔で、平々凡々な平穏な人生(妖生?)を送ってきたようだ。 それが塾講師という職業もあるのに、なぜわざわざ『人肉屋』などという苦行を背負っているのだろう。そんな疑問が浮かんできた。考えて見れば、彼の生い立ちに関しては殆ど何も聞いてない。 「あ、起きた?」 気配を察したのか、青年はピョンと飛び起きる。生気のないやつれた感じの顔なのだが、喰われた事による消耗はすっかり回復しているようだ。すぐに生者モードへと移行する。 「あれ、寝過ごした? 待たせちゃった?」 「ううん」 広海はフルフルと頭を振る。 「ねえ、ダーリン」 「んん?」 「ダーリンはさ、なんで『人肉屋』なんてやってるのさ。いくら不死身で痛みにも強いっていっても、フツー有り得ないじゃん」 彼女はズイッと詰め寄る。 「そっか、話してなかったね」 彼は思い出すように、少し上を見上げる。 「僕は十年前までは、ごく普通の人間だった」 「え、それって『先祖返り』って事?」 人間と妖怪が結ばれる事がたまにあるが、そうしてできた子孫は普通すぐに血が薄れて人間と変わらなくなってしまう。しかし何代も前の先祖に妖怪がいる人間が、ある日突然何かの拍子に先祖と同じ妖怪になってしまう事もある。 「いいや。正真正銘の人間だよ。妖怪の実在も何も知らない、極々普通の人」 その眼差しには、何か鋭いものが混じっている。 「ある日、友達と遊びに行った帰り、悪の妖怪の集団に襲われて、……友達諸共殺されたんだ」 険しい顔になった彼に、広海は驚きの声を返す。 「え……!?」 それは一浪して大学に合格し入学式を控えた三月の事だった、友人達と一緒に車で出かけた帰り、夜の道路で妖怪に襲われて車ごと崖下に転落させられた。 「そのときに死体にゾンビ化の術がかけられ、それが歪んだ結果、僕が生き返……いや、生まれた」 動かぬ者に仮初めの命を与えて操る類の妖術は、たまに暴走して術者に敵対的な魔物を生み出す事がある。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/112
113: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:26:57.37 ID:kk4/yCal 「不死身と怪力を持ってたんで、その場で相手を皆殺しにして、友達と僕自身の仇討ちをしたよ」 フロントガラスの破片を礫として投げつけて目を潰し、百キロ婆の首と手足をへし折り、首無しライダーの胴を引き千切り、幽霊自動車はひっくり返して折れた標識で滅茶滅茶に叩き壊した。 柔和な顔は、すでに凶悪な表情を帯びている。 「それからはもう、殺戮の日々さ。人間に危害を加える妖怪を探しては殺す日々だったね」 彼は、軽く肩を竦めた。 「すぐに人間に味方する妖怪達から接触を受けたよ。鬼太郎とか見てるから、そういった人……妖怪達は受け入れられた。そして、僕は殺し屋になった」 緊張の面持ちで、ゴクリと広海が唾を飲む。 「戦力や士気的に期待できるからって、人間との共存を脅かすような妖怪を次々に殺して回る処刑人としての役目を請け負ったんだ。不死身だから、そのとき無茶な戦い方を散々したよ。 胸にマンホールの蓋を叩き込まれてもすぐに引っこ抜いて投げ返すとか、全身にガソリンを被って火達磨になって相手に抱きついて焼き殺すとか、もうね、死なないのをいいことに、ズタボロになりながら戦ったよ。 先輩……教師としての先輩なんだけど、その人……妖怪に言わせれば『自分を傷つけるのは、自分だけ生き残った後ろめたさの裏返し』なんだそうだ」 彼女はポカンと放心した表情で彼を見詰める。不死身故に何をされても平気だから温厚な人物だと思っていたが、思わぬ狂気・凶状・魔性を秘めていたようだ。 「よく憶えてないけど、多分、殺した妖怪は百はくだらないと思う。そんな中、屍肉漁りの妖怪に出会ったよ」 不安気な表情でじっと広海を見る。 「人肉を喰わないと生きていけない、でも人殺しはしたくない。だから凶悪な人食い妖怪の後をついていって、そのおこぼれで命を繋いでいる奴らだった」 彼女の顔に、パァッと納得の表情が浮かぶ。 「そう。それで『人肉屋』なんて仕事を思い付いたのさ。僕の体質なら、そういった連中を人間と共存させる事ができるって。 僕は元々人間だから、妖怪の状態……つまり死者の姿でもその肉は人肉と認識される。さらには負傷が酷いと人間の姿を維持できなくなって身体が死体の状態になる。これは『人を殺した』として認識される。だから、人肉や殺人が必要な妖怪を満足させられる。 それで、人肉売りを始めたんだ。勿論、客になるのを拒む奴らもいたし、客になっても結局は人殺しをした連中もいた。そういうのは……処刑した」 殺し屋としての側面を伺わせる、強い眼差し。しかしそれはやや下の方へと向けられていた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/113
114: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:27:44.41 ID:kk4/yCal 「じゃ、じゃあ、アタイも……」 もしもを考えて、その顔をサッと恐怖の陰りが覆う。 「広海は違うだろ。聞いたよ、昔っから生きた人間を食べるのは嫌がってたって」 「ん、まあそうだけどよ」 「そうして『客』が増えるなか、広海に……僕を好きだって言ってくれる女に出会った」 広海はポッと頬を染めつつ、彼の額をペシリと引っ叩く。 「こら、この女たらし。ダーリンには、何人も女がいるだろう!」 両手の拳で彼の両方のこめかみを挟むと、グリグリとねじ込む。 「あだだだだ。いや、だって、まさか、女神の贄になったら、本当に花婿扱いなんて思わなかったんだよ」 「んなもん、ダーリンだって知ってたはずじゃん? 生贄は神の嫁や婿扱いだって」 「それって、世間体とかのための方便でしょ? 喰い殺すなんてストレートに言えないだけでしょ?」 「妖怪なら知っとけよ、アタイ達だって人間の想いに縛られてるんだから、婿だって言われると本当にそうなるって事を」 広海はフゥッと息を吐き、自分の褐色に焼けた右腕をしげしげと見詰める。そしておもむろに歯を尖らせると、ガブリと噛みついた。 「いでででで!」 「お、おい、何やってんだよ!」 青年はあわてて彼女の腕をガシッと掴む。ジワリと僅かに血がにじんでいる。 「いや、さ。ダーリンがどのくらい痛いのかって思って、ちょっと試してみたんだけど、結構痛いじゃん」 「もう、慣れたよ。元々、妖怪退治で何度もミンチ寸前までいったんだし」 「でも、ゴメン。こんな痛い思いさせてたんだ」 しおらしい表情を浮かべる彼女に、彼はポッと頬を赤らめて視線を逸らす。 「でも、その、広海に囓られるのは嫌じゃないんだけどな。なんていうか、ほら、愛されているとか、必要とされてるとか、そんな感じがして。そりゃ痛いけど、その分想いの強さみたいなものを感じられて、その……嬉しいんだ」 広海の腕で、彼の触れているところがポウッと暖かい感じがした。すると今しがた作った咬傷がみるみる治ってゆく。 「え、これって、ダーリンが?」 「うん。余剰生命力を分けて傷を治す妖術だよ」 「ダーリン、優しいんだな」 いつも睨み付けるようだった広海の目付きが穏やかになり、にっこりと微笑む。 「ははっ、よく言われるけど、僕は殺人鬼みたいなもんだからね。この手だって、もう血塗れだよ」 悲しげな笑みを浮かべ、今しがた癒しの力を放った手をスッと上げて見せる。 「殺人鬼は自分の肉なんて食わせないし、そもそも亡者ってのは命を害する能力しかないじゃん、普通。だからこういうのがやれちゃうダーリンはスゴイと思うぜ」 広海はその手をしっかりと握る。 「ありがとう」 彼が優しく微笑んで正面から見詰めると、広海の顔が赤らむ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/114
115: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 [sage] 2020/06/19(金) 00:29:23.36 ID:kk4/yCal 「さてと、遅くなったし、もう戻るぜ」 照れ隠しにそう叫んで、広海はドボンと海に飛び込む。 「ちょっと待って、今片付けるから」 青年もレジャーシートを畳み、亡者状態になってからランプを消す。と、呟く。 「あ、もう夜が明けちゃってる」 「ん? あ、力がでなくなってるのか」 亡者故に夜は怪力で俊敏だが、その分昼間は不死身程度しか能力がない。 「そっか、夜が明けたんなら、ちょっと寄り道するぜ」 海蝕洞の入り口付近が明るくなっているのを見て、広海はニヤリと笑う。 「寄り道?」 「そうさ。今まで夜明け前に戻ってただろ? だけど、今なら海の中が見える。ちょっと観光していこうぜ」 「うん。ただ、この状態であんまり日光には浴びたくないんだけど……」 青年が微かに眉根を寄せて鼻白む。実は直射日光でも消耗してしまう。 「いいじゃん、いいじゃん。どうせアタイが引っ張っていくんだから。それにすぐ近くだぜ」 彼は広海が水中から伸ばした手を掴むと、グイッと引っ張られてドボンと落ちる。 再び鰓呼吸をして高速で泳ぐ彼女に引かれて、彼はその小島——鮫島と呼ばれる——の周りを一周する。 「見なよ! 今ここが、この辺り最高のダイビングスポットさ!」 水中で、彼女は誇らしげに叫ぶ。 青く透き通った海水の下、数m下の砂の海底までは様々な海洋生物の宝庫だった。 ゆらゆらと揺れる海藻の林や所々にある岩礁、その間を多種多様な魚などがスイスイと泳ぎ回り、海底にも様々な動物が棲息しているのが見える。豊かな生態系は水中での視界の及ぶ限りに広がっていた。確かにここは絶好のダイビングスポットだろう。 「ダーリンのお陰で、ついにここまで繁栄したんだ! ここはまさしく、アタイとダーリンの愛の結晶だよ!」 かつて浜辺の漁村を支えた鮫神の力による漁場、それは今、最盛期の姿を取り戻しさらに広がろうとしていた。 人を食わねば力を振るえない悲しき女神と、死の象徴たる亡者、その両者によって作られたのは、豊かで美しい生命に満ちあふれた海域であった。 ——でも、やっぱり一番美しいのは……—— 青年は、無邪気にはしゃぐ褐色の人魚を愛おしげに見詰めた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/115
116: 名無しさん@ピンキー [age] 2020/06/19(金) 00:48:43.47 ID:FJWMYhxC 猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第12章 [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/87 【堀越耕平】僕のヒーローアカデミアでエロパロ 1 [転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1415290549/987 深夜に姑息なスレ立てしても無駄だ即制裁を行う [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1592486801/1 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/116
117: 名無しさん@ピンキー [sage] 2020/06/20(土) 16:59:21.94 ID:NplfvHOb おいおい 長編が投下されるなんて一年半ぶりかよ http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/117
118: 名無しさん@ピンキー [sage] 2020/06/20(土) 22:46:23.32 ID:xr67uR8M Switch/PS Vitaのギャルゲーを語ろうpart1 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/gal/1592644557/5 ゲハの自作自演野郎常に監視しているので [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1592486703/1 (ю:】ニセコイでエロパロ part139 [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1591772998/384 完全しょうりかんせいかくてい [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1549983012/5 姑息なスレ立てしても無駄だ即制裁を行う [無断転載禁止]・bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1592486801/1 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/118
119: 肉屋DEAD繁盛記 巨大娘 [sage] 2020/06/21(日) 02:03:12.42 ID:4ziK6Qs8 麗らかな春の日差しの降り注ぐ休日の午後、とある山を一人の青年が登っていた。 中肉中背の身体を白地に黒のチェック模様の長袖のシャツと黒っぽいスラックスで包み、白黒のスニーカーを履いてリュックサックを背負う。帽子を被ってない頭には短く刈られた髪、そして人の良さそうな細い眉に垂れ目と間の抜けた印象を与える大きめの口。 そんな彼が鬱蒼とした森に挟まれた、踏み固められた登山道を一人テクテクと歩いている。 平野ではもう桜の季節なのだが、登るにつれて季節は遡り次第に咲く割合が減ってやがては冬枯れの森に入る。 不意に青年のお腹がグウッと鳴る。彼は登山道を離れて常緑樹の木陰へと入り、そこでしゃがんで一休みする。 リュックから野球帽を取り出して目深に被り、その鍔で顔を隠す。その手はやけに血の気がなく、鍔でも隠しきれない頬は先程とは異なり妙に痩けていた。 そのまましばし休息をすると、何も口にしてないのに次第に空腹感は収まる。 「ふう、そろそろか……」 そう独りごちて帽子を脱ぐと、元通りの血色と頬に戻っている。 青年はさらに登山道を登っていくと、やがて指定された目印の長い大岩——たしか『鬼の腰掛け』とか——の前に一人の女性がいた。 ボブカットの頭に登山帽を被り、薄茶に赤の格子模様の長袖のシャツを着て、ジーンズと登山靴を履いていて、その背中には小ぶりのリュックサック。近づいてみると女性としては背は高く、円らな瞳のやや幼く感じる可愛らしい顔立ちをしている。 「こんにちは。えっと、山野恵さんでしょうか?」 青年は問う。用件が用件だけあって、相手を間違えるわけにはいかない。 「はい。えっと、お肉屋さんのDEADさんで宜しいでしょうか?」 ニコッと微笑む。とても愛らしい。 「はい。僕が肉屋DEADで、亡者です」 彼はついでにその正体も明かす。 「あたしは今は妖怪『山女』——山中に出現する美しい女巨人——ってことになってますが、正式にはこの山の古いにしえの女神です」 そういう彼女の首より下はまさに山だった。二つの巨大な膨らみによって服は内側からグッと突き上げられ、下の方は裾はベルトでようやくギュッと絞られている。続くジーンズも腰のところはシワがよっているが、すぐ下では大きく膨らんでいる。 彼は視線を彼女の顔から離さず、視界の隅でチラッとそこまでを確認した。それは命を賭ける戦闘において、心理的視野狭窄を起こさずに視界全体から情報を得るテクニック、その応用である。 実は以前に付き合ってた女性の胸をガン見して窘たしなめられた事があるので、以降は注意してこうするようにしているのだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/119
120: 肉屋DEAD繁盛記 巨大娘 [sage] 2020/06/21(日) 02:04:19.13 ID:4ziK6Qs8 「すみません、わざわざお越し頂いて。本当だったら、あたしの方から出向くべきなのに……」 「いえいえ、お気になさらず。土地神ならば、地元に居るのは当然の事ですよ」 そうニッコリと微笑むと、恵も微笑みを返す。 「では、行きましょう。この先にあたしの『隠れ里』——普通の人間は入れない異空間——があります」 彼女は彼の手首をシッカと掴むと、グイグイ引っ張って上機嫌で先導をする。 「うふふ。あたし、嬉しいんです。もう二度と神としての力を取り戻せないって思ってたのに、それが叶うなんて。しかもそれで誰も殺さずにすむなんて、本当に夢のようです」 女神の輝かんばかりの笑顔に、青年も笑顔で返す。 「僕の方でも、そういう優しい方のお力になれるのが嬉しいんですよ」 『鬼の腰掛け』から登山道を逸れて獣道のような踏み分けの道に入ると、不意に一瞬だけ視界と平衡感覚がグニャッと歪んだ気がした。多分それは空間を越えた影響、つまりは隠れ里に入ったという事だ。 景色は今までと同じ冬枯れの森のまま変わらないが、様々な隠れ里や結界を見てきた青年には、今までとは何か空気のようなモノの違いを敏感に感じていた。 恵は手を離すとグルリと振り返って彼を見る。些か緊張の面持ちだ。 「あの……、DEADさん。もし宜しければ、ここに居る間だけでも”旦那様”と呼んでも良いでしょうか?」 ——ブルータス、お前もか—— 青年はただでさえ垂れた目を更に垂れさせて、眉根にグッと皺を寄せてフウッと僅かに溜息を吐く。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/120
121: 肉屋DEAD繁盛記 巨大娘 [sage] 2020/06/21(日) 02:05:18.64 ID:4ziK6Qs8 「え、いや、その、山野さん、ちょっと待って下さいよ。僕らはさっき出会ったばかりじゃないですか」 両手の掌を相手に向けて、グッと押しとどめるような動作も加える。なお、下手して胸に触らないように、ちゃんと距離を取る。 「でも、私にとっては大恩人なんですよ。もうそれだけで好きになってしまったんです。 それに、裸の男の人と”そんなコト”をするのですから、やっぱりそれなりの関係じゃないといけないと思うんです」 数センチ差とはいえ彼女の方が背が低い。その上目遣いの懇願に、青年の心臓がドキッと跳ね上がる。 「で、でも、僕には既に、そういう関係の女ひとが……」 恵は一瞬でその可愛らしい顔を曇らせ目を逸らす。 「そうですよね。こんな素敵な人なんですもの。もう決まった人が……」 ——僕は一般的な意味での”素敵”ってのはちょっと違うと思うけど—— そう思いつつも、心がザワザワする。 「あ、とは言っても、その、山野さんと同じ関係で、その、こういう事をする間だけの関係ってなってますけど……」 ついつい口を吐いて出てくる言葉。口説いてくる美女を目の前にして、彼もまた男なのである。 「では、旦那様とお呼びしても宜しいでしょうか」 その美しい笑顔で迫られると弱い。 「は、はい。喜んで」 その応えを聞いてから、恵はモジモジしつつ口元に手をやり頬をポッと染めて軽く眼を逸らす。 「それから……、あの……、旦那様とお呼びする……夫婦になる以上……、今はまだ心の準備ができてませんけど、多分、次からは、ちゃんと夫婦としての営みもしたいな、と思うんですけど……。ダメでしょうか?」 ——異類婚姻譚のヒロインとは、基本的に勝手に一目惚れしてくれる『ちょろイン』である—— 不意に彼の脳裏に誰だかの言葉がよぎる。そして目の前で真摯な瞳で彼をじっと見詰めているのは、まさにその”異類の嫁”である。 「え、あ、いや、でも山野さん。この場合の夫婦って、あくまでも儀礼的なものじゃ……」 身を引き裂かれる苦痛にすら平然と耐えきるはずの青年が、あからさまに狼狽える。再び彼女の顔が曇る。 「あ、あの。ダメなんでしょうか。で、でも、その、裸で”そういう事”をする以上、きちんと”そういった関係”でないといけないと思うし、旦那様が身を捧げて下さる以上、あたしも相応のモノ……つまりあたし自身で返さないと気が済まないんです」 可愛らしい美女が頬をポッと染め、ウルウルとさせた上目遣いによる懇願。これを断るのは非常に申し訳ない。 「もし、仮初めとはいえ夫婦になるのがお嫌なのでしたら……、折角のお申し出ですが、お断りさせていただくことも……」 ガクリと俯く彼女の、その語尾はモゴモゴと不明瞭だ。頬に一筋光る物がツツッと流れる。 百年? いやひょっとしたら千年以上? 本来の神としての力を取り戻せずに……いや取り戻さずにいて、ようやく希望が叶うと思った矢先にそれが潰える。なまじ希望を抱けただけに、その喪失感は苦痛は悲しみは途轍もなく大きく重く暗いものとなるだろう。 青年の心がズキリと痛む。 「わかった。君のその気持ちを踏みにじる事なんて、僕にはできない」 思わず彼女の両肩に優しくそっと手を置く。 「本当ですか!?」 パッと頭を上げると、涙に濡れた瞳にキラキラと歓喜の輝きが宿り、顔に太陽のような笑顔を浮かべる。 「あ、ああ。本当だ」 彼女の笑顔を見ていると、ついつい頬が赤らむ。 「嬉しいっ! ありがとうございます。旦那様!」 恵はピョンっと飛びつくようにしてギュッと抱きつく。胸に当たる感触は、柔らかながら心身ともに強力な圧力を秘めていた。 ——ごめん、でも決して君達への気持ちが揺らいだわけじゃないんだよ—— 心の中で複数の女性へ謝罪の言葉を呟きつつ、彼は思わず恵を抱きしめた。 「あの、旦那様」 顔が近い。 「な、なんでしょうか。山野さん」 「もう、夫婦なのですから、”恵”とお呼び下さい」 「わかった。”恵ちゃん”でいいかな?」 「はい。ありがとうございます。DEADさん」 「あ、それなんだけど……DEADは通り名で、本名は別なんだ。いろいろと荒事もやってるから、普段は通り名で過ごしてるんだけど。 僕の名は新倉洋次。新しい倉庫に、海の洋に次男坊の次」 「新倉洋次さんですね。お名前を伏せたいのでしたら、普段は旦那様とお呼びいたします」 新妻は新郎に優しく微笑んだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/121
122: 肉屋DEAD繁盛記 巨大娘 [sage] 2020/06/21(日) 02:07:11.16 ID:4ziK6Qs8 彼女の先導で冬の森の中を少し進むと、開けた場所に出る。木製の小屋やら四阿やら、半分に割った丸太のベンチやらがある。 「ここが私の隠れ里での家です」 恵はベンチへと案内して一休みするように促す。 「あ、これ、お土産です。何がいいのかわからなかったんで、何となく無難そうなものを」 青年はそう言って、リュックから地酒の一升瓶と地元銘菓の箱を取り出す。 「ありがとうございます」 恵は喜んでそれを受け取る。 「それで旦那様。お食事、お風呂、それともあ・た・し?」 クスリと悪戯っぽい笑顔を浮かべて彼女は問う。 「えっと、食事は後回しだね、わざわざ消化器官を空っぽにしてきたんだから。……ん、お風呂があるの?」 「ええ。この裏に温泉が湧いてます」 「じゃあ、身体を洗うんで、お風呂をお願いします」 「わかりました。少しお待ち下さい」 恵はそそくさと小屋へ向かい、ガラリと戸を開けての中へと消えていく。 青年がしばし腰掛けて休んだ後、小屋から恵が出てくる。 「旦那様、湯浴みの支度が整いました。どうぞこちらへ」 案内された小屋はカーテンで仕切られており、半分以上が見えない。そのこちら側には簡素な腰掛けに藤製の籠、そして後ろへ抜ける扉。 「ここが脱衣所で、この奥が露天風呂になっております」 彼女は「ではごゆっくり」と言い残してガラリと引き戸を閉める。 青年は服を脱ぎ、畳んで籠に入れる。普通程度の肉付きに見えて、そこそこ引き締まった筋肉質の身体で体毛は濃くはない。持参したタオル二枚を手に、ギイッと扉を開ける。 小屋の裏手には砂利の中に飛び石が続いていた。 それは数メートル先で一度分岐になっており、そこを過ぎた先にはちょっとした石畳。そしてその先にはモワッと湯気を立てる露天風呂。湯気の向こうはちょっとした登りの崖になっており、その中腹からは源泉と覚しきチョロチョロとした流れ。 「さすが山の神の住処だ」 石畳でそう独りごちると、彼は側に置いてあった手桶でお湯を汲んで身体にザバリと掛け、タオルの一本を使って身体をゴシゴシと洗い始める。 やがて汗を流し終えるとドブンと湯につかる。それからしばらくすると小屋の方から声がした。 「旦那様。お背中流しましょうか?」 「あ、いや。もう洗い終わったから」 少し慌てつつも湯船につかったままグルリと振り返ると、飛び石の分岐のところに恵が立っていた。 麻と覚しき素材の長袖の長衣に長ズボン、革製と覚しき長靴を履いており、長衣には遮光器土偶の胴のそれに似た紋様が描かれていた。恐らくは縄文か弥生辺りのファッションで、山の神である彼女が生来持っている”衣装”なのだろう。 「あの、湯浴みが終わったら、……その、裸のままこちらに来て下さい」 彼女はスッと分岐の先を指さす。飛び石の続く先には、人の背丈程の高さの長い台座のような巨石が一つデンと転がっていた。待ち合わせ場所だった”鬼の腰掛け”に似ている。恐らくは両方に跨がって存在しているか、どっちかがコピーなのだろう。 「あの磐座いわくらの上でお待ち下さい」 「あ、ああ、わかった」 青年の返答に、彼女は小屋へと戻って行く。 日も暮れていよいよその刻が近づき、いろいろな意味——裸とか行為の内容とか——で、多少なりとも緊張する。いろいろな相手に何度もやっててもこれは変わらない。 ザバリと湯から立ち上がると、青年は両手で頬をパシンと張る。さあ、出陣だ。まずは二本目のタオルで身体を拭こう。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1496067163/122
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