[過去ログ] 猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第12章 [無断転載禁止]©bbspink.com (217レス)
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114: 肉屋DEAD繁盛記 鮫姫 2020/06/19(金)00:27 ID:kk4/yCal(14/15) AAS
「じゃ、じゃあ、アタイも……」
もしもを考えて、その顔をサッと恐怖の陰りが覆う。
「広海は違うだろ。聞いたよ、昔っから生きた人間を食べるのは嫌がってたって」
「ん、まあそうだけどよ」
「そうして『客』が増えるなか、広海に……僕を好きだって言ってくれる女に出会った」
広海はポッと頬を染めつつ、彼の額をペシリと引っ叩く。
「こら、この女たらし。ダーリンには、何人も女がいるだろう!」
両手の拳で彼の両方のこめかみを挟むと、グリグリとねじ込む。
「あだだだだ。いや、だって、まさか、女神の贄になったら、本当に花婿扱いなんて思わなかったんだよ」
「んなもん、ダーリンだって知ってたはずじゃん? 生贄は神の嫁や婿扱いだって」
「それって、世間体とかのための方便でしょ? 喰い殺すなんてストレートに言えないだけでしょ?」
「妖怪なら知っとけよ、アタイ達だって人間の想いに縛られてるんだから、婿だって言われると本当にそうなるって事を」
広海はフゥッと息を吐き、自分の褐色に焼けた右腕をしげしげと見詰める。そしておもむろに歯を尖らせると、ガブリと噛みついた。
「いでででで!」
「お、おい、何やってんだよ!」
青年はあわてて彼女の腕をガシッと掴む。ジワリと僅かに血がにじんでいる。
「いや、さ。ダーリンがどのくらい痛いのかって思って、ちょっと試してみたんだけど、結構痛いじゃん」
「もう、慣れたよ。元々、妖怪退治で何度もミンチ寸前までいったんだし」
「でも、ゴメン。こんな痛い思いさせてたんだ」
しおらしい表情を浮かべる彼女に、彼はポッと頬を赤らめて視線を逸らす。
「でも、その、広海に囓られるのは嫌じゃないんだけどな。なんていうか、ほら、愛されているとか、必要とされてるとか、そんな感じがして。そりゃ痛いけど、その分想いの強さみたいなものを感じられて、その……嬉しいんだ」
広海の腕で、彼の触れているところがポウッと暖かい感じがした。すると今しがた作った咬傷がみるみる治ってゆく。
「え、これって、ダーリンが?」
「うん。余剰生命力を分けて傷を治す妖術だよ」
「ダーリン、優しいんだな」
いつも睨み付けるようだった広海の目付きが穏やかになり、にっこりと微笑む。
「ははっ、よく言われるけど、僕は殺人鬼みたいなもんだからね。この手だって、もう血塗れだよ」
悲しげな笑みを浮かべ、今しがた癒しの力を放った手をスッと上げて見せる。
「殺人鬼は自分の肉なんて食わせないし、そもそも亡者ってのは命を害する能力しかないじゃん、普通。だからこういうのがやれちゃうダーリンはスゴイと思うぜ」
広海はその手をしっかりと握る。
「ありがとう」
彼が優しく微笑んで正面から見詰めると、広海の顔が赤らむ。
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