[過去ログ] 【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】 (982レス)
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920: 一 秘められた恋 1/3 2014/09/15(月)20:50 ID:KapdKcF70(2/7) AAS
とある世界の北西に位置する国、サントハイム王国。
ここで今もなお静かに語り継がれる、悲しくも美しい物語。
唯一の王位継承者たる王女と、幼なじみで腹心の臣下でもあった神官の青年。
やがて成長した二人は、とある長旅をきっかけに想いを寄せ合うようになった。
だが、彼の出自が明らかでないことを理由に周囲から反対の声が根強く、
淡い初恋は実を結ぶことなく散っていった。
青年は報われぬ自分の想いを断ち切るべく、自ら国王に申し出て
長年慣れ親しんだこの城を離れ、一人新天地へと赴いていった。
『それならば、私は国家の花嫁になりましょう――――』
それが執拗に縁談を勧める父王に対する、王女唯一の抵抗でもあった。
そして父王の死後、彼女は女王として即位した。
後に「処女王」と呼ばれ、生涯独身を貫き通すこととなる。
当初は女王の政治的手腕など、それほど期待はされていなかった。
が、後に世界を救うこととなる旅で、多くの経験と実力を培った彼女の判断は
実に的確であり、一般国民はもちろん、貴族や教会からの信頼も次第に勝ち取っていった。
さて、処女王である女王には世継ぎがいないため、父方の親類から
九歳の男児を養子として迎え、王族としての教育を施すことになった。
父王の弟の孫にあたる利発そうな男児。彼女はその子を慈しみ、大切に育て上げた。
やがて立派な若者となった彼は、持ち前の聡明さと行動力で、
養母である彼女の補佐役として、多少の勤めも果たせるようになってきた。
これでこの国も安泰だ。国中の誰もがそう信じて疑わなかった。
しかし、悲劇というものは突然訪れるものである。
長年の無理がたたり、女王が重い病に倒れてしまったのだ。
神官長の見立てによると、余命は長くても半年だという。
一人息子である青年は、養母の病を治す方法を求めて東西を奔走したが、
その努力も虚しく、彼女の病状は悪化の一途をたどった。
ここ二、三日の養母は、ずっと眠ったままのことが多かった。
だが、大事な公務で遠方に赴かねばならず、一切を代行する立場の青年は、
後ろ髪を引かれる思いで出立せざるを得なかった。
当初の予定を繰り上げて城に戻っても、病状は回復どころか好転の兆しすらなく、
彼が敬愛してやまない養母は、今日も夢と現の間をさまよっている。
「養母上、ただいま戻ってまいりました。…養母上?養母上!
ああ、どうかお気を確かに!私です。私がわかりますか?」
床に伏した女王は力なく目を見開き、か細い声でこう呟いた。
「まだ…大丈夫よ。ありがとう、クリフト…」
「…クリフト!?」
青年はこの名前に何度か聞き覚えがあった。
あれはまだ、彼が城に迎えられて半年ほど経ったある日のこと。
初めての試験で満点を取り、結果を報告しようと喜び勇んで女王の部屋へと入った。
その時、彼は誰もいない室内で、机の上に置かれた一冊の本を見つける。
何気なくページを開くと、古ぼけた写真が一枚挟まっていた。
そこには少女の頃であろう若かりし養母と、傍らで寄り添う男性の姿が。
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