[過去ログ] 【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】 (982レス)
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93: ヴァルプルギスの夜(中編)2/2 2013/05/20(月)21:27 ID:9sezZsy10(2/2) AAS
「確か、私はトルネコさんとヴァルプルギスの夜の話をしていたハズですが――」
ふと気づくとクリフトは闇に飲み込まれていた。それは唐突にあっという間の出来事だった。
(飲み込まれたというより、何かに掴まれ引きこまれた感じですが、しかしこの気配は、あまり良くないモノですよね)
周囲に漂っているのは、ザギやザラキを唱える時に何処からともなく漂ってくる死の気配だった。
「姫様やブライ様や皆様に心配をかけない内にここを脱出し戻らなければ」
自分がいなくなれば、無鉄砲に飛び出す主と、それに付き合わされるであろう老師の顔が過ぎりった。そして自分の心を落ち着かせる
為と魔除けの意味があるベルトにくくりつけているサシャを握りしめようと手をやった。
「あれ? 」
(どこで落としたのでしょう)
本来サシャがあるべきところは、切れた紐が残っているだけだった。それは何か悪い事が起きる先触れのようにクリフトは感じ、身震
いをした。
「魔除けの意味もあるサシャが切れてしまうとは、何も起こらなければいいのですが……」
何も分からない状態でため息しか出なかった。
「クリフト、よく来ました」
聞き慣れない、だが懐かしい女性の声が、クリフトの名を呼んだ。
「ごめんなさい。幼い貴方を残して逝った私達を許して、貴方の悲痛な姿に母はいつも心を痛ませていたのですよ」
振り向けば自分によく似た男女の姿――、それは幼き頃に永遠の別れをした父と母だった。
(父と母がいる筈がない。トルネコさんが言っていたのは、この事ですか)
「貴方の姿を見て、母は居ても立ってもいられなくなり、幼き頃のように貴方の手を引いたのです。クリフト驚いたでしょう」
「ええ、まぁ」
背中に寒々とした居心地の悪さを感じながら、クリフトは曖昧な返事をした。
「もう貴方に苦しい目を母は合わせたくありません。だから、私達と一緒に逝きましょう。今まで一緒にいられなかった分――」
母の手には柘榴の実。それからは死の香りが漂っていた。いや周囲から死の香りがクリフトを押さえつけているかのようだった。
「さぁ、これをお食べなさい」
嫌な圧迫感がクリフトを縛り付けていた。
(姫様!! )
 心の中で叫んだのは愛しい人への呼び声。サシャのオレンジとクローブの残り香が名残惜しげにクリフトを守るように包んだ。

「クリフト!! 」
闇の中で浮かび上がって見えたのは深緑の法衣。探していた人と探していた人とよく似た男女。
かの人が何かを飲み込んだように見えたのは気のせいだっただろうか。

死の国の食べ物を食べたらもう戻れなくなる――
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