[過去ログ] 【妄想】ショタ小説を書こう!【創作】 (761レス)
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398: 今夜、君の立つキッチンで・4 2008/12/25(木)09:51 ID:c2F4kb9w0(4/10) AAS
【 1−3 】

 それこそが――“マクスウェル家の呪い”それであった。

 あの事故は――そしてドレルの死は、かの虐殺兵器によって死んでいった者達の呪いとして、まことしやかにささやかれ
るようになったのだ。
 そしてそれを期に、マクスウェル家には様々な不幸が降りかかるようになる。
 祖父の死を始まりにその二年後。キトラの妹が病から息を引き取った。喘息から起こる呼吸停止によるショック死――
それが彼女の死因であった。まだ4歳であった。
 そしてそのさらに三年後――今度は父母が供だって他界した。晩餐会の帰り、道を踏み外した馬車が橋から転落する
という交通事故がその原因であった。
 相次ぐ家族の死は、益々もって“マクスウェル家の呪い”それを後ろ押す形となり、屋敷に勤めていた使用人達も
一人――また一人とそこを後にした。そうして見上げるほどに大きく、見渡すほどに広いこの屋敷にはついに、キトラと
エドナの二人だけとなってしまった。
 次々と使用人達が辞めていくその中、家政婦のエドナだけが残ってくれた。
 祖父の代からマクスウェル家に勤めていたという彼女は、キトラが生まれた時からすでに老媼(ろうおう)の家政婦で、
彼の中では唯一“何も変わることのない”存在であった。
 祖父を亡くし、妹を看取り、そして父母を失ったキトラにとって彼女は祖母であり姉であり、そして母とも言える
存在であった。
 あの激動の最中、屈折することなくキトラが成長できたのは、そして全ての悲しみを乗り越えられたのは――全ては
エドナのおかげといっても過言ではない。
 家族を失ったことは不幸ではあったが、それでもキトラにはエドナがいたから今日(こんにち)まで健やかに成長して
こられたのだ。
 そして失いすぎたが故にキトラは盲目に信じた――そんな二人きりの日々がこれからも続くことを。そんな彼女が
この屋敷と供に未来永劫、“変わることのなく”傍にいてくれることをキトラは信じて疑わなかった。

 それでも彼女は、キトラの想いをよそに逝ってしまった――見上げるほどに大きく、見渡すほどに広いこの屋敷には
ついに、少年が一人だけとなってしまった。
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