[過去ログ] 【妄想】ショタ小説を書こう!【創作】 (761レス)
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401: 今夜、君の立つキッチンで・6 2008/12/25(木)09:58 ID:c2F4kb9w0(7/10) AAS
【 2−1 】 

 丘を越え、坂を滑り、道を駆け――少年・リッコはマクスウェル邸を目指し急いでいた。
 リッコは今、ある決意を胸に秘めていた。
 それこそは、マクスウェル家に赴き、そこの小さき当主・キトラと供に在ろうという決意。
 かのキトラはリッコにとって幼なじみであり、そしてかけがいのない親友であった。
 今より10年前――かのキトラ達・マクスウェル家は、ここシランの片田舎へと越してきた。
 目立った産業も工業もないそんな辺鄙な場所では、かの家族の登場は当時、大きな話題となった。
 もっとも話題になったのはやはり、当時まことしやかに囁かれていた、“大量虐殺に加担したマクスウェル家”の噂
それであった。
 現在も然ることながらあの頃の世情はまだ、お世辞にも落ち着いているとはいえなかった。連日戦争による死傷者の
報道がなされ、人々は常に死の影と隣り合わせの生活を余儀なくされていた。それはこの片田舎であっても例外ではなかった。
 そんなところへ、あのマクスウェルの登場である。
 もちろん彼――ドレルの開発したライターが、当初から武器製造の為になされたものではないことを人々も知っていた。
しかしそれでも人々には不安定な情勢の恐怖や政府への不満――そういったフラストレーションの捌け口が必要であり、
またひとり財を成していくマクスウェル家へのひがみもあった。
 ゆえに人の口に戸は立てられず、ここへ来てもまた、マクスウェル家は後ろ指を指されることとなった。
 現にリッコも、『あの家には近づくんじゃない』――と両親に言い聞かされたことがある。
 今もそうであるがその当時――リッコの家はマクスウェル家への食料品の配達を任されていた村唯一の総菜屋であった。
そんな顧客の陰口を両親が囁くようなことはなかったが、それでも必要以上にかの家と接触すること、そして家庭の中で
その話題をすることは極力避けていた節があった。
 もっともそれも仕方のない話ではあったのだ。村でただ一軒の総菜屋として生業を立てている以上、変にマクスウェル家を
擁護して孤立してしまえば、それこそ自分達一家の危機にもなりかねない。
 ゆえに両親は、かの家との必要以上の接触をリッコに規制した。
 しかしながら、そんな両親の口止めも無駄に終わる。
 あるとき定例の配達に父とそこを訪れたその日――リッコとキトラは出会ってしまった。
 裏口から食料品を運ぶリッコと、手入れされた庭の中央でその様子を見守っていたキトラと二人の目は会った。
 しかしながらそれも一瞬のこと、キトラはすぐに視線を振り切って庭の奥へ潜ってしまった。あとにはリッコだけが残された。
本来なら、その出会いもそこで終わりである。
 しかしリッコは――キトラの後を追って庭の中へと入っていった。
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