[過去ログ] 【妄想】ショタ小説を書こう!【創作】 (761レス)
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416: 今夜、君の立つキッチンで・19 2008/12/27(土)20:27 ID:xKsN2EBR0(5/13) AAS
【 5−2 】

 現在キトラが当主を務めるマクスウェル家は、父と母が亡くなった3年前にそのほとんどの事業から手を引いていた。当たり前の話、
その当時10歳の子供に大小合わせて100を越える企業の経営など出来るはずもなく、一部商品の著作権所有を除き、工場を始めと
する物件や株式は全て売却してしまっていた。
 これによりキトラはすでに、一生を遊んでも使い切れないほどの財産を所有した。……こんなものなどいくらあったところで、大切な
人は一人として戻ってはこない――そう嫌悪感を持ちながらも、キトラはそれを現在の命の糧としていた。
 ともあれしかし、そんな身分のキトラとはいえども仕事はある。
 先にも述べた著作権の使用を許可する際には、その所持者であるキトラとの契約が必要となる。その為に必要な書類に目を通し、そして
それにサイン・捺印をすることが今のキトラの仕事であった。複雑な書類の作成は、あらかじめ雇いの弁護士や行政書士が作成してくれる
ので手間は無い。
 その一方、連日届く書簡にはそんな仕事上のものではないものも多く混ざっている。
 まだ13歳の少年とはいえ、先にも述べた通り莫大な財産を持つキトラの存在は、いまだ各業界や社交界においても絶大な影響力を持っていた。
 そんなキトラと親交をもとうとする貴族・企業からの催事の誘い、はたまたその懐に潜り込んで一山当てようと企む山師にいたるまで、
キトラの元には連日多くの書簡が届いた。
 それら手紙の一つ一つに目を通し返事を書くのもキトラの仕事のひとつである。――もっともそれらは、すべて丁重に断ることになるのだが。
 そうして仕事に明け暮れるうち、いつしか部屋の中が薄暗くなっていることにキトラは気付いた。
「もう、そんな時間?」
 驚いて机の上の時計を引き寄せると、金細工の短針はすでに夕刻5時を回っていた。
「はぁ〜、今日は色々あったからなぁ」
 大きく背伸びをして背もたれに体を沈める。
「…………」
 そうして見る見るうちに暗くなっていく部屋の中――そんな中でキトラの頭の内にもまた、僅かな“闇”が生じていた。それこそは、
一人ぼっちになってしまったあの夜からすっと引きずっているものであった。
 夜になり、この大きな屋敷の中で一人闇に包まれると、キトラの中にある寂しさや恐怖といった負の感情はなおさらその影を深く大きくした。
 この瞬間に何度、エドナを思い出して泣いたことか。何度、彼女の後を追おうかと思ったことか――逢魔刻(おうまがとき)にはそんな
闇がキトラの中で大きくなる。
 しかし今日キトラの心を覆った闇は、いつものそれらではなかった。
 その中にあったものは――
「………リッコ」
 かの少年メイド・リッコの存在であった。
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