[過去ログ] 【世界大戦】自由民主党の派閥22【河破朋充】 (609レス)
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187: (ワッチョイ 0533-2GL5) 2022/10/25(火)03:38 ID:hI9Qtk2l0(2/2) AAS
先生はその頃、毎日学生のレポートの作文に目を通されていて、その年の三千を超える作文のレポートを既に大半読み終えていた様であった。
背にしていた襖をさっと開けられると、そこは仕事部屋の様で、段ボールに入って整理された作文の山が目に入った。
先生はその部屋から一枚の紙片と一つの風呂敷包みを持って来られた。
既に読んだ作文を第七識から第十五識に分類し、各段階の作文の数を、その紙片に正を作って書き取ってあった。
風呂敷包みは、各段階の例となるものを集めたものだった。
その包みを広げて、一番上の一つを取って、僕に渡され、読めるかとお尋ねになった。
僕も度胸を据えて、読めますと答えた。四百字詰の原稿用紙六枚のレポートであった。
そして、5~6cmの厚さに積んである他のレポートの方をちらと横目で見る。
これは長い戦いになる、と感じ、全部お読みしますかと尋ねた。
先生は、僕の怯んだのを見逃さず、
『そんな根気の無いことでどうする!』とまた一喝される。
ああこれで追い返されるのかと思いつつまた申し訳ありませんと頭を下げた。
『お前はヤングだな。君はそんなに急ぐ必要があるのですか。』と云われた。
その時まで僕は人と人が会って話をすると云うことを、一種の慌ただしいものと考えていた。
相手の話に一々云々と条件反射的に頷き、その隙を突いて口早に自分の云いたいことを云う、
僕にとって対話と云うのは、そう云う存在の表層での行為だった。
僕が、いいえと答えると、
『全部読むんだ、そうしないで、どうしてそれを書いた人間を理解出来るか。』と烈しく仰った。
この言葉に僕は胸を突かれた。先生が三千に余る学生の作文を二カ月間かかって一つ一つ丁寧に読んでおられることに思い至った。
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