[過去ログ] 【世界大戦】自由民主党の派閥22【河破朋充】 (609レス)
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323: (中止 1733-TWMD) 2022/12/24(土)20:10 ID:XnsIb1xV0EVE(1/5) AAS
そうしてお話を伺っている内に夜になって、先生の奥様が夕食を運んで来て下さり、黒田さんと二人でご馳走になった。美味しい夕飯だった。
山椒の葉を蓋の上に載せた澄まし汁が出て来た。
僕はその葉を財布に入れてお守りにしていたのだけれど、ローマからピサへ向かう列車の中で財布ごと掏られてしまった。
そんな訳で先生は我々の相手をしていて巨人戦のテレビ中継を見損ねてしまわれた。
食事を終えて、茶の間のテレビを炬燵に入りながら、先生と一緒に見た。『非情のライセンス』だった。
テレビを見ていると息子さんが入って来られて、『巨人は負けや』と大正義巨人軍の先生に報告されていた。
僕は和菓子を勧められて食べながら、テレビを見ていた。どうぞ召し上がって下さいと先生が勧められた言葉の優しさが忘れられない。
その晩は、春雨村塾と名付けられた、竹内さん、三上さんと云う二人の塾生のいる棟続きの私塾でお酒を飲み、
昼間先生のお話を伺った床の間の部屋で黒田さんと二人で寝た。
その日一日体を硬くして聴いていたのを、ヨガをやって一生懸命解す。
省10
324: (中止 1733-TWMD) 2022/12/24(土)20:16 ID:XnsIb1xV0EVE(2/5) AAS
起きて顔を洗うとすぐ先生が出て来られた。
僕が挨拶をして、一つだけまだ先生にお尋ねしたいことがありますと申し上げると、そうですかと云われて、
顔も洗わず、飯も食わず、ひょろひょろと布団を片付け終ったばかりの部屋に入って、ぺたりと襖を背にした先生の定位置に座られた。
僕も正座して、昨日先生のお話を聴き、晩にいろいろ考えてみました。
結局自分が間違った方向を進んでいると云うことだけが分りました。
これからどっちへ歩き出そうかと迷っています。
そこで、歌を作ってみましたと申し上げた。
そして、こんな風に歩き始めようと思いますが、方向が間違っていたら先生にそう仰って戴きたいのですと申し上げ、
三歳の 童子に教え 乞うて見む このめくらの人を 導いてくれと
背の荷物 降ろしてくれよ 春の野辺
省20
325: (中止 1733-TWMD) 2022/12/24(土)20:26 ID:XnsIb1xV0EVE(3/5) AAS
それから先生は西洋文化が何故日本に較べて二段階低いのかと云うことを話された。
ヨーロッパの文化はモーツァルトの様に天使が降りて来て創ってゆく。
ここでは我執を捨てると云う態度は稀である。
しかしながらキリスト教の影響下にある文化だけが、この我執を離れることが出来る。
古神道は宗教の源泉である。西洋人を救うためにキリストと云う姿で古神道を広めたのであろう。
天は西洋をも見捨てないために、今も何人かの日本人を西洋に配しているに違いない。実際僕は、ピサでスイス人の日本人に会った。
そして、東洋はこの小我を消し去ると云う点で西洋に優っている。
この小我を消すと云うのが仏教であるが、
仏教で云っている衆生済度(しゅじょうさいど)のテーゼは単なるプログラムに終っていて、
きちっとした方法を作っていない。
省23
326: (中止 1733-TWMD) 2022/12/24(土)20:33 ID:XnsIb1xV0EVE(4/5) AAS
あまりに遅くなると云うので、奥さんが我々の朝食を運んで来て下さった。
先生は部屋を出られ、黒田さんと二人で朝食をご馳走になった。
先生がお手洗いに入られ、そのお手洗いの外で女のお孫さんがうろうろしているのを、奥さんが気付いて、我慢出来ると尋ねる。
出来ないと云うので、お爺ちゃんまだですかと内に向かって催促されると、まだやと返事がする。その光景が今以て忘れられない。
食事の後、もうお暇すると云うので、塾の竹内さん、三上さんの所へ伺って少し話をしていると、
先生がふらふらと塾の狭い四畳半か六畳の部屋に入って来て、ぺたりと座り、萩原朔太郎の詩の話を始められる。
そして詩は第十識の理想である美を至上とするものではないと話され、
また悲しみの世界は第七識にあるのでそれも詩ではないと云う意味のことを話され、
すーっと部屋を出て行かれた。
暫らくしてまた、我々の所に現れ、
省18
327: (中止 1733-TWMD) 2022/12/24(土)20:40 ID:XnsIb1xV0EVE(5/5) AAS
そうしている内に、ふっと腕時計を見て、ああ『愛のシリーズ』が始まりそうやとそそくさと部屋を出て、テレビを見に行かれた。
僕は、炬燵でテレビを見ている先生の所へ、お別れのご挨拶に行くと、
ここで失礼しますと云われ、またどうぞお出で下さいと仰って下さった。
奥様とさおりさん、竹内さん、黒田さんに見送られて、先生のお宅を辞した。
奈良の土塀に沿って歩きながら、一首浮かんだ。
ひらひらと 行き交う人の 少女等の 春の手の平 蝶の語らい
道々、何だこんなことだったのかと云う思いだった。
道を行く人達が楽しげに見え、女の人がとても美しかった。
天から絶えず星の様に歌が降っていた。
その足で京都の知り合いの家に行くと、今まで読めなかった額がすらすらと読めた。
省20
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